表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不可思議道具店  作者: 伊達幸綱
133/317

第43話 チェンジブック 中編

どうも、伊達幸綱です。それでは、早速どうぞ。

「……さてと、それじゃあそろそろ試してみようか」


 空に幾つもの星が瞬く夜、少年は自室の机に向かって楽しそうな笑みを浮かべた。机の上には鉛筆と一冊の本が置かれており、少年は本を愛おしそうに撫でた。


「……この『チェンジブック』はページに書いた事が実際に起きた出来事と入れ替わるってあの人は言ってた。話を聞く限りだと、自分に関連した事しか変えられないようだけど、それでも十分だよね。

さて……それじゃあ早速変えていきたいけど、まずは何を変えようかな。変えたい事が多すぎるから、選ぶのも苦労しそうだけど……」


 鉛筆を手に持ちながら少年が腕を組んで考えていた時、ふとある事を思い付き、少年はニヤリと笑った。


「そうだ……ウチのクラスのあの子が僕と付き合ってる事にしよう。彼氏はいるようだけど、正直どうして二人が付き合ってるのかわからない程だったし、それなら僕と付き合う方が断然良いに決まってる」


 呟くように言う少年の目には悪意が満ちており、少年は『チェンジブック』の白紙のページを開くと、楽しそうな笑みを浮かべながら鉛筆を走らせた。


「日にちは……一ヶ月前にして、時間と場所は放課後の中庭、告白自体はあっちからした事にして、僕以外の男には目もくれないくらい好きで……」


 書き換えたい事実を鉛筆で書く事数分、ページに時がびっしりと書かれると、『チェンジブック』は仄かに白い光を放った。そして、少年が『チェンジブック』に更なる変化がないか注目していた時、机の上に置かれた携帯電話がぶるぶると震え、少年が携帯電話に視線を向けると、画面には一人の少女の名前が表示されており、少年は嬉しそうな笑みを浮かべてから携帯電話を手に取った。


「も、もしもし……?」

『あ、まだ起きてたんだね。よかったぁ……ごめんね、突然電話なんかして』

「ううん、別に良いよ。それで、どうかしたの?」

『……ちょっと声が聞きたくなっちゃったんだ。いつも学校で直接会って話してはいるし、キスやデートまでしてるけど、もしも私から離れていっちゃったらどうしようって思って……』

「なるほどね。心配には及ばないよ、僕が君から離れる事はないからね」

『……うん、ありがとう。それじゃあ私はそろそろ寝るね』

「わかった。それじゃあおやすみ」

『うん、おやすみ』


 電話が終わると、少年は静かに携帯電話を置いたが、少年の笑みは見た者を嫌な気持ちにさせる程に醜悪な物だった。


「ははっ、やった……! これであの子は僕の物だし、あの子が僕から離れる可能性は絶対に無い。よし……それならもっと変えていかなくちゃ……!」


 少年は目をギラギラとさせながら再び鉛筆を持つと、変化させたい出来事を思い付く限り『チェンジブック』に書き込み始めた。

いかがでしたでしょうか。

今作品についての感想や意見、評価などもお待ちしていますので、書いて頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。

それでは、また次回。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ