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不可思議道具店  作者: 伊達幸綱
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第41話 アトラクトストラップ 後編

どうも、伊達幸綱です。それでは、早速どうぞ。

「……はあ、今日も疲れたな」


 雲がちらほらと浮かぶ空に星が瞬き始めた夕暮れ時、店主の男性はシャッターを閉めながら独り言ちたが、その顔はどこか嬉しそうな物だった。


「それにしても、この前ウチで食事を出した人がまさか人気の女優さんだったとはな。すごく綺麗な人でどこかで見た事があるとは思ってたけど、流石に気のせいだと思ったから、後からそれを聞いてビックリしたし、その人がSNSでウチの事を宣伝してくれたから、前よりは若いお客さんも増えたのは本当に助かった。

それに、あの女優さんも時々お忍びで来てくれるようになって、連絡先も交換出来てる上に何度か一緒に出掛けられたのもまたとない幸運だよな。まあ、流石にこれ以上関係が進む事はないと思うけど」


 そう言いながら店主の男性が苦笑いを浮かべていると、そこに二人の人物が近づき、その足音に気づいた店主の男性が顔を向けたその先には『繋ぎ手』と助手の少年の姿があった。


「君達はこの前の……」

「こんばんは、お兄さん。嬉しそうですけど、お客さんが入るようになったんですか?」

「ああ、おかげさまで。訪れたチャンスの内容には驚いたけど、若いお客さんも増えたよ。本当にありがとう」

「いえいえ。私達は『アトラクトストラップ』もお兄さんを出会わせただけで、お兄さんがあの子にちゃんと挨拶をしたりしっかり仕事を頑張ったりしたからですよ」

「挨拶……そういえば、それを破るつもりはないけど、その場合は一体どうなってたんだ?」

「しなかった時間によって起きる事は変わるんですが、朝だと大切な人に関する不幸が、昼だとお店や家に関する不幸が、夜だとお兄さん自身に関する不幸が訪れてましたよ」

「幸運じゃなく不幸が訪れるのか……それは怖いし、これからも守るようにするよ」


 店主の男性の言葉に『繋ぎ手』が嬉しそうに頷いていると、助手の少年は少し不安そうな顔で店主の男性に話しかけた。


「あの……この前は聞き忘れたんですが、この子に似た女の子ってどこかで見かけましたか?」

「似たような子……いや、俺は見てないな。何かあったのか?」

「実はその子をちょっと探してて、その子に会った人は色々な悪事に手を染めるようになるみたいだったのでもし見かけてたら教えてもらおうと思ったんです」

「なるほど……それはちょっと不安だな。それなら、もし見かけても少し警戒するようにするし、その時には教えるから、また来てみてくれ」

「ありがとうございます。後、もしも他の子にも興味が出たら、お店にも来てみてくださいね。『アトラクトストラップ』にお願いすれば、お店に来られる道も教えてくれるのでお時間がある時は是非お願いします」

「ああ、わかった」

「それじゃあ私達はこれで失礼しますね」

「失礼します」

「ああ、気をつけて」


 そして、『繋ぎ手』達が去っていった後、店主の男性が勝手口へ行こうとしたその時、ポケットの中の携帯電話が鳴り出し、店主の男性は手に取って電話に出ると、とても嬉しそうな顔で電話の主と話し始め、その様子を付けていた『アトラクトストラップ』が静かに見守っていた。

いかがでしたでしょうか。

今作品についての感想や意見、評価などもお待ちしていますので、書いて頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。

それでは、また次回。

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