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神様の後継者  作者: 眠い人
出会い、成長
1/9

神様との出会い

※暖かく作者の成長を見守ってください〜


色々物語に修正を加えて行くと思います。


1話 修正 20221115〜20221122 完了







 

   

「ここは?」


 気がつくと僕は見知らぬ場所にいた。目の前には真っ白な世界が広がっており、辺りを見渡しても誰もいない。


 現実とかけ離れた光景に夢でも見ているのではないかと思い僕は頬をつねってみる。


「……痛い」


 痛みがある。どうやらここは夢の世界ではなく現実のようだ。


 いったいここは何処なんだろう?


 見知らぬ場所で戸惑っていると、僕の目の前に女性が現れた。


 その彼女は透き通るような白色の肌と対照的な緋色の瞳を持っており、肩まで伸びる美しい金髪は彼女の美貌をさらに上げている。純白のレースは華奢な体の彼女を優しく包み込み胸元にある僅かな膨らみは、大人の魅力を醸し出していた。


  彼女は緋色の瞳を僕に向けながら小さな口を開いた。


「私は世界を創造し管理をしている者よ」


「もしかして……神様ですか?」


「神様?ああ、なたが記憶している知識によると私は神様といったとこかしらね」


「そうなんですか」


「あら、もっと驚くと思っていたんだけどね」


僕の気の抜けた返答に、神様は残念そうに呟いた。どうやら神様は、僕が驚くことに期待していたみたいだ。残念がる神様の態度を見て何故か少し申し訳なさを感じてしまい、僕は慌てて取り繕う。


「驚きはあるんですけど、神様と言われてもあまり実感が湧かないんです。それに神様は人間と見た目が変わらないですし」


「人間と同じ姿をしているのは貴方に合わせる為よ。私の実態は人間である貴方には見ることさえ出来ないのだから」


その事が事実である様に神様は色々な姿を見せてくれた。子供から大人まで、様々で女性だけではなく男性にも変身した。


「す、凄いんですね神様って」


「ふふっ。そうでしょ」


僕が驚きの声を上げると、神様は嬉しそうに笑みをこぼした。


「ところで神様。目が覚めたらここに居たんですけど、ここはどこなんですか?」


「貴方がいるこの場所は神域よ。本来は人間が立ち入る事さえできない神の領域なの」


「何でそんな場所に?」


「それは、貴方が死んだからよ」


「え、僕って死んだんですか?」


「ええ、そうよ」


 死んだ……。分からない。ここに来る前のことを思い出そうとしても、何も思い出せない。自分自身の名前すら分からない。だけど、日本という場所で暮らしていたことは覚えてる。誰と一緒だったとかそういう記憶はないが、生活していた記憶や知識は何故か残ってる。


 なんだろう。前にもこんなことがあった気がする。そして、僕は何か忘れている気がする。とても大切な事を……。


 釈然としない気持ちを抱いていると、ふと自分が泣いていることに気づく。


「あれ?なんで涙が……」


 記憶を思い出そうとすると何故か、涙が溢れてくるのだ。訳が分からず僕は混乱する。


「落ち着きなさい」


 神様の透き通る美しい声が真っ白な世界に響き渡る。その声はどこか心地よく暖かい。神様の声は、悲しみに染まっていた僕の心を平穏なものへと変えてくれた。


ーー


 僕が落ち着きを取り戻したのを見ると、神様は事情を説明し始める。


「記憶がないのは私が消したからよ。別世界での思い出の記憶を持っていると、色々支障をきたすから消させてもらったの。それ以外の記憶は役立つから消してないのよ」


「そうなんですか……。何か大切な事を忘れている気がするんですけど、その記憶はもう蘇らないのですか?」


「ごめんなさい。それは出来ないの。だけど、安心して貴方が大切にしている記憶は保管しているわ」


「どういうことですか?」


「それに関しては今から説明するわ」


  そう言い神様は話し始めた。


 ーー


 神様の説明によると、大切な記憶を無くしているのは神様との契約をしたからだそうだ。契約内容は僕が神様と変わりその役目を請け負うというものらしい。つまり、神様になるという事だそうだ。その見返りに僕が望んでいた事を叶えてくれるそうなのだけど、何を望んだかの記憶も消されているので分からない。


 ちなみに、神様になる条件は純粋な魂を持つものが100回目の転生をする事らしい。


 日本で99回目の転生で死んだら神様の役割を受け継ぐ筈だったそうなのだけど、どうやら早く死にすぎたせいでカウントされなかったらしいのだ。


 神様は「日本は安全だから何も力を与えなかったのに」と少し愚痴っていた。死因については話してくれないけど、一番可能性があるのは事故で死んだ可能性だと思う。まあ、今更そんな事知っても意味がないので聞かない事にしてる。聞いたところで生き返る訳でもないしね。


 転生は本来赤ちゃんから始まるらしいのだけど、前回の日本での肉体で別の世界へと転移させる事が可能だから僕は別世界に転移する事になるそうだ。引き継ぎができるみたいで、少しゲームみたいだなと思ってしまったのは仕方のないことだと思う。


「それで神様。僕はどんな世界に行くのでしょうか?」


「貴方がこれから行く世界は魔法が存在する世界ね。魔物と呼ばれる危険な存在がいるけれど、貴方には特別な力を与えるから大丈夫よ」


 魔法や魔物が存在する世界。アニメや小説でしか見たことがない世界が実際に体験できるんだ。僕は未知なる世界について想像してしまい気持ちが昂っていく。


そんな気持ちの昂りを、僕は深呼吸をして落ち着かせる。これから僕は何も知らない別の世界へと行くのだ。浮かれたままの気分でいると足元を救われるかもしれない。ここはしっかりと神様に話を聞いておかないと。


「神様。僕が貰える特別な力とはどの様なものなんですか?」


「まずは全属性の魔法適正かしらね。貴方が向かう世界では火、水、風、光、闇の5属性があるのだけど、その全ての属性を使える様にしておくわ。それと魔法には魔力と呼ばれる力が必要なのだけど貴方には普通の人より多めの魔力量を与えておくわ」


全属性適正と人より多い魔力。もしかして、チート系の力だったりするのかな?あまり目立ち過ぎても厄介ごとに巻き込まれるだけだと思うんだけど……。


僕は少し不安を抱きながら神様に尋ねてみると、全属性の魔法適性は珍しくないそうで魔力の量も普通の人より少しだけしか変わらないそうだ。それに加えて普通の人よりは身体能力を高くしてくれているらしい。これは直ぐに死なれたは困るからだそうだ。


聞いた感じだと特別凄い力を手に入れあ訳では無いから特に悪目立ちする事は無いだろうと納得していると、神様は思い出したかの様に声を上げた。


「ああ、そうだったわ。神様になるには純粋な魂を持つものと言ってたけどね、貴方には純潔も守ってもらうわ」


「純潔?」


「ええ、純潔。言うなれば恋愛禁止ってことね」


 ……恋愛禁止?


確かに僕はまだ12歳で子供だから恋愛をするのは早いかもしれないけど、いつかは好きな人が出来て一緒に過ごして行くかもしれないのに……。


「何でそんな制約が?」


「ごめんなさい。その理由も消えてる記憶の中のことだから消教えられないの」


「……そうなんですか」


 一体過去の自分は何をしていたんだろう。


でも、実際に好きな人が出来たら神様の言葉でも破られそうな気がする。そんな僕の疑問が顔に出ていたのか、神様が答えてくれる。


「左手の甲を見てみなさい。そこにマークがあるでしょ?」


 言われた通り見てみると、そこにはハート型のマークが記されていた。


「な、何ですかこれ?」


 慌てて手で擦って見るが取れることはない。掘り込まれているような感じだ。こんなの人に見られたら変な人だど勘違いされちゃうよ。


僕の内心を見透かしたのか神様は笑いながら答えてくれる。


「他の人には見えないからそんなに焦らなくて大丈夫よ。その印はね恋愛感情を封じている呪いみたいものね。だから私をみても何とも思わなかったでしょ?」


 確かに神様は綺麗だけど……。僕は言おうとしていた言葉を飲み込む。目の前にいる神様の顔が険しくなったからだ。


「何とも思わなかったでしょ?」


「は、はい」


 神様の威圧的な笑顔に僕は頷く以外の返答は出来なかった。初めて神様の恐ろしさを体験したかもしれない。


「それで、貴方にはその契約を守ってもらうわ。決して私が恋愛をした事が無いからと言うわけでは無いからね。私情じゃないからね」


そんなに否定されると逆にそれが理由なんじゃないかと思ってしまうんだけど……。


「何か言ったかしら?」


「いえ、何でもないです」


 微笑む神様の裏に少し怖いものを感じるのは気のせいではないよね。


恐れを感じつつも僕は異世界への事を質問していく事にする。主に言葉は通じるのかなどの基本的なものだ。


 ーー


 契約のせいで答えて貰えない事もあったけど、自分が疑問に思っている事を大分知れたと思う。偶に神様の生活は退屈だと言う愚痴を聞かされたりしたけどね。


「そろそろ、貴方には別世界へと旅立って貰うわね。もっと話しておきたいのだけど、この神域では人間である貴方が止まれる時間は限られているのよ」


 「え、そうなんですか……」


 会ったばかりだけど、神様は思ってた以上に親しみやすくて別れるのが少し寂しい。


「そんな悲しそうな顔しないで。また貴方とは会えるのだから」


「そうですよね。また会えますよね」


 神様の言う通り何十年後かにまた会えるのだ。その時を楽しみに待っていよう。


「ふふ、良い顔になったわね。それじゃあ最後に貴方の名前を教えるわね。貴方の名前は「ルーク」それが貴方の名前よ」


 神様から名前を告げられた瞬間、封じられていた記憶が蘇るように、僕はルークと言う名前だった事を思い出す。今まで忘れていたのが不思議なくらいだ。


「ルーク、無理はしないでね。新しい人生を楽しんでね」


「はい」


 神様と別れを告げた後、僕は眩い光に包まれ異世界へと転移した。





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