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終焉前のコーヒータイム

作者: keisei1

エンペラーが靴紐の結び方も分からない。奴隷は首の吊り方が分からない。貧民は手にしたお金の使い方を知らない。庶民は傘を立ててエンディング前のコーヒータイムを楽しむだけ。あっちを向いてたはずがこっちを覗き見て、驚いたのは宦官たちで。彼らが楽しんでる前戯は恐らくアリ・エナ・イ

喧嘩っ早い政治家さんが寄ってった居酒屋では空手家が本気の殴り合いをしてて、宇宙規模の世界大戦がおっぱじまっても、あいつらの迫力には及びもしないらしい。気がかりなのは女がテキーラを飲んだついでにあいつに嵌められた薬指の指輪。男は何だかんだ言って嫉妬して愛してほしいって叫んでる。男は泣き崩れては俺も彼女もあの娘も彼もあいつも口にするのは全肯定の。

誰が何と言おうと大好きだ。

誰も彼もがそっぽを向いたって愛してる。

誰かが石を投げて後ろ指を指しても大好きだ。

地底の底から響くのは恐竜の陣痛まがいのアイシテル。

ガラの亡骸の前で泣くピンッと立ったヒゲのサルバドールも

ジョルジュ・ブラックに唾を吐くキュビズムでズタズタのピカソさんも

トンデモ本を出すパヨクも馬鹿と指さすネトウヨさんも

泣きっ面に蜂の女子アナさんも裸体に夢中の男性キャスターも

赤道を巡ってたどり着くのは全肯定の。

踊り狂うヒッピーの頬にキスをするのは愛で。

火照った体に触れるのもそれもやはり愛で。

エンディング間際に席を立って涙を拭く女もそこは愛で。

振られたと思った男がかいま見たのは俗に言う、卑俗な言語分野における愛という言葉で。

退屈しのぎにほう起した市民が王の首を掻っ切って、仲間をギロチン送りにした時も口の裏側に張りついていたのは世界中へのアイシテイマス、でした。

ホームレス崩れの芸人さん、本物気取りの二世さん、スポーツマン上がりの俳優さん、霊感商法のマルチタレントさんも、あっちこっちへばら撒かずにこちらへ集めてみませんか。

誰が何と言おうと大好きで。

宇宙軸の捻じれが起きようと無限大の愛をプレゼント。

誰かが死に際に妬みがましい恨み節を零しても大好きだ。

温かい母体の奥底から響くのは、終焉前の世界へ贈るアイシテル。


副題・「愛の崩壊と変容」

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― 新着の感想 ―
[良い点] 個人的に「愛してる」ってすごく薄っぺらい言葉だなと思っていて、この詩の中でもちゃんと薄っぺらく使われていたのが好印象でした。愛とは何かとか、愛するとはどういうことかとか、そういう文章よりも…
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