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運命の経済学 Economics of Fate  作者: キズナ
第2章 リスクと危険回避
8/38

2  リスクの考え方

ちょっと投稿が遅くなりましたが、更新です。

集合時間の9時にもうなろうかとしていた頃、ようやく最後のメンバーがやってきた。

 「はぁはぁ……。間に合ったぁ~。」

 「遅いぞ響。だからあれ程早く寝ろと言っておいたのに。」

 「お姉ちゃんは早すぎるんだよ。今時の女子高校生が夜9時に寝るとか無理だよ~。」

 会長はそんなに早起きをするのか。一体何時に起きてここにいたんだろう。


 ピピピ…ピピピ…

 どこからか時計のアラーム音がする。


 「よし、時間が来たようだな。早速本日の部活を開始するぞ。」

 響さんは急いでパイプ椅子に座る。


 「今日はテーマをまず皆に言っておく。今日のテーマは『リスク』だ。」

 「会長、リスクと一概に言いましても色々な捉え方があるかと思いますが、具体的には何のリスクなんでしょうか?」

 「日高、ではお前にまず問おう。お前の考えるリスクとは何だ?」

 「そうですね、例えば、お金を落とすとかですか?」

 「じゃあ響、お前はどうだ?」

 「私!?んー……遅刻する事とか?」

 「そうだな。まさに今日の響はリスクと隣合わせだったわけだ。遅刻すれば下級生が上級生を待たせてしまう、迷惑をかけてしまうわけだからな。」

 「うぅ…ごめんなさい。」

 響さんがもう泣きそうだ。


 「ひーちゃん、私達は気にしてないから気にしないで?」

 高橋先輩が響さんを慰める。

 「もう、会長のそういう性格もリスクなんじゃないですか?」

 会長は何も言わない。おそらくこの性格だ。周りが離れていっているのだろう。


 「私は敢えてこのリスクを取っているのだ、気にするな。ではなくてだな。リスクとは我々人にとって身近にあるものなんだ。私達は常に何かを取捨選択し、リスクを回避する行動を取っている。」


 「つまり常にリスクを回避しているって事ですね。あ、でも…」

 私は響さんの方を向いてしまった。

 「はぅ!?な、何ですか?」

 響さんと目が合ってしまった。


 「橘君、そうなのだよ。人は常にリスクを回避しようと考えて行動しているが、別の要因を優先するがためにリスクしかとりようの得ない状況を生むことがある。今日の響のようにな。」

確かに昨日早く寝るもしくは今日早く起きるための何か策を取っていれば、ここまでいじ2られることはないだろう。


「ではリスクについてもう少し掘り下げてみよう。」


 1 必ずもらえる1万円

 2 50%の確率でもらえる3万円

 3 5%の確率でもらえる10万円


 「ここで挙げた3つでどれか一つを選択してくれ。」

 会長は何が言いたいのだろう。この間のケーキとはまた違う話だ。

 「私は1ですかね。必ずもらえるものの方がいいですね。」

 「私も同じです。」

 栞は私と同じ意見か。でも、まだ他の人は悩んでいるようだ。


 「悩むのもわかるぞ。ここで見極めるのは期待値だな。」

 「期待値って、よくクジとかで言われたりするあの期待値ですか?」

 「あぁ、もちろん。橘君と南条君は必ずもらえるものと確率が半分だが倍もらえるものを比較した際に必ずもらえるものを選択しただろう?」

 「えぇ。そうですね。」

 「その選択こそがリスクを回避しているわけだ。しかし期待値の点から考えるとその選択はベストではないんだ。経済学的に言えばだがな。」

 「どういうことですか?」

 栞が会長に問う。私もそう思った。

 

 「期待値と言っただろう?期待値は1と2を比較した際に1は変わらず1万円。2は1万5千円になる。つまり、期待値から見ると2を選択する事がベストになるわけだ。3は考えやすいように極端な選択肢だから割愛するが。」


 「んーでも実際は1を選んだ方がいいですよね?」

 「そうだな。これこそが、人間だからこそ起こる事象と言うべきか。」

 「人間だからこそ?ですか」

 栞がどんどん会長に質問している。会長はやや悩みながらも説明してくれている。

 「経済学上は自分の利益を追求する事がベストなのだが、誰もがベストな選択を出来るわけではない。リスクや感情、周りの人との関係など色々な事柄があって答えを出しているのだ。」

 「つまり考えながら行動するが故にベストな行動が取れていないということですかね?」

 「簡単に言えばそうなる。しかし、それが必ずしもベストとは言えない。なぜなら、その選択は周りを巻き込む可能性があるからだ。」

 行動は常に慎重かつ先を見据えて行動するべきと言うことかな。


「じゃあ今から人生ゲームでもしようか。」

「じ、人生ゲームですか?なんで今…。」

「わぁーいゲームだ、ゲーム。」

「人生ゲームって小学校以来かしら。少しワクワクするわ。」

 急遽始まった人生ゲーム。会長は生徒会室のロッカーからボード盤を引っ張り出してきた。

 『人生リスクばっかりだ!リスク回避ゲーム!(商業用)』

 とんでもない見出しの人生ゲームだな。しかも商業用って…。


 「会長、これ私物ですか?」

 「え?あぁ私の家にあったものだが?」

 「いいんですか?これ商業用って書いてますよ?」

 「問題ない。10年以上倉庫にしまわれていたんだ。今更使うなど言わないさ。」

 突如始まった謎の人生ゲーム。どんなゲームか実のところ楽しみだ。


次回から人生ゲーム編です。


ここまで読んでいただきありがとうございます。

次回の最新話更新は午後10時を予定しています。

よければブックマーク、感想等お待ちしています。

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