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【本編完結】君のために繰り返す~前世から続く物語を終わらせます~  作者: 夜桜詩乃
第一章 召喚、出会いと別れ
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出会い

リアルの仕事が忙しく、投稿するのが遅れてしまい申し訳ございません。

これからは一日最低一話は更新していきます。


短いですが、楽しんでいただけたら嬉しいです。

 目を開けると、白い空間に居た。

 周りを見渡してみても白以外何もない空間。

『兄さん、大丈夫ですか?』

 不意に右手に持った日本刀――凍華から声を掛けられビックリして日本刀を落としそうになる。

「おっとと……」

『……兄さん、もしかして私の事を忘れてましたか?』

 正直に言って忘れてた。

 というより、右手に持っているはずの日本刀の事を完全に失念していたのだ。

「わ、忘れてないぞ。うん、忘れてない」

 俺の言葉に軽くため息をついた凍華。

 正直、すまないと思ってる。

『まぁ、いいです。とりあえず兄さんにはここでこの世界で生きていく上で必要な技能を身に付けて頂きます』

「必要な技能?」

『はい。まずは、ステータスを開きたいと思ってください』

 お、これはアレですね。

 異世界転生・召喚物でよくある【ステータスで俺つぇぇえ!】の流れですね。

 そうと決まれば、話は早い。

 さっそく、ステータスを開きたいと思う。

「うぉっ!」

 思った瞬間に俺の目の前には半透明な正方形の板が出現していた。

『出たみたいですね。それが兄さんのステータスです』

 凍華に言われてステータスに目を落とす。


名前:一ノ瀬 裕

種族:人間

性別:男性

職種:学生


STR:100

DEX:80

VIT:80

INT:50

AGI:300


称号:異世界者

スキル:刀剣術


「なるほど、本当にゲームみたいに表示されるんだな」

 だが、このステータスは高いのか?

 AGI(素早さ)だけ俺のステータスでは異常に高いけど。

『ステータスの説明ですけど、上から力・器用さ・生命力・賢さ・素早さ、です』

「ちなみに、この世界の一般人はどれくらいのステータスなんだ?」

『年齢などによりますが、兄さんと同じ年齢ならば50がステータスの限界値ですね』

 なるほど。

 となると、STRとAGI以外は大体この世界の同年齢と一緒って感じか。

「ステータスはどうやったら上がるんだ? やっぱり、魔物を倒したり?」

『それで上がるステータスは微量ですね』

「じゃあ、この世界の人間はどうやってステータスを上げるんだ?」

『経験、ですね』

 経験?

 それは、ドラゴンと戦った! とかの経験だろうか?

「それは、俺が説明しよう」

 悪寒・殺気・数秒先に見える死――。

 それらが一気に来た瞬間、俺は大きく後ろに跳んでいた。

『あっ……』

 凍華が声を上げ、俺は先ほどまで立っていた場所でを振り切った状態で止まっている男性に目を向けた。

 黒いローブを羽織って顔がよく見えないくらいまでフードを深く被った明らか不審者だ。

「この世界でステータスを上げる経験とは、【敵と戦い、どういう戦いをしたのか】という経験だ。傷を受ければVITが上がる、みたいな感じだな」

 なるほど、つまり勝利したという事実よりも【過程】の方が大事というわけか。

「もちろん、取得できる量は少ないが地道な訓練でステータスを上げる方法もある。訓練も経験だからな」

 男性は刀を鞘に納めながら俺を真っ直ぐに見つめる。

「……男に見つめられても嬉しくないぞ。てか、目元見えないから見つめてるのかわからねぇ」

「俺も男を見つめる趣味はない。ところで、ここで問題だ」

「ん?」

『兄さんっ! 逃げて!!』

 凍華の声が聞こえた瞬間、視界から男性の姿が消えた。

「――っ!!」

 突然襲ってきた背後からの衝撃と背中から左胸に向かって走る激痛。

「死に掛けたとしたら、ステータスはどのくらい上がるんだろうな?」

 背後から聞こえてくる男性の声。

 下げた視界に入ってくる俺の左胸から生えている日本刀の刀身。

「がはっ……!」

 血を吐き、体から力が抜けていき前のめりに倒れそうになるが、男性が俺の首を掴んでそれを止める。

 俺は、背後からこの男性に刺されたらしい。

 心臓を一刺しだろう。なんせ、痛くて悲鳴を上げたいはずなのにそれさえも出来ないのだ。

 つまり、俺がこうして意識を取り留めているのは世界が時世の句を読むために用意してくれた時間というわけだ。

「じゃあな。あっちではアイツによろしくな」

 男性は俺の首から手を離し、背中を思いっきり蹴って刀を引き抜く。

「くそっ……たれ……」

 地面とキスする前に俺はそれだけ呟いた。

 意識を失う寸前、最後の力で顔を動かすと男性の隠された表情が見えた。

 その顔は、どこか俺に似ていて――

 俺よりも少し年上な感じがして――

 ――悲しそうな目をしていた。

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