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話の終わり

「私が知っているのは、ここまでですね。他に何か知りたい事などはありますか?」

 と言っても、もう情報は出し切っちゃってますけど、苦笑いを浮かべるシエル姫。

「そうだな……純は最終的に何本の魔刀を保持していたんだ?」

「あっ、それを言うのを忘れていましたね。全部で6本の魔刀を保有していたという記録があります。そして、その全てと契約をしていたとも言われていますね」

 6本全ての魔刀と契約……つまり、それだけの対価を支払ったという事だろう。

 という事は、純は魔刀なしでは動かす事さえ出来ない所まで来ていたのかもしれない。

「そうか……ちなみに、凍華以外の魔刀はどこに?」

「わかりません……6本中3本は過去の戦いで折れてしまったと言われています。そして、残った3本のうち1本しか封印する事が出来なかったとも記録されていますね。ただ一つわかる事があるとすれば、ヤガミ ジュンが死んでから今まで、一度も使ったとされる魔刀が確認されていないという事です」

 シエル姫の言葉からするに、凍華以外に残った2本は今もまだ存在しているかもしれないし、もう無くなっているかもしれないという事か。

 残っている魔刀を目標にして動くのは悪手か……

「そっか……最後に一つだけ【龍剣山】ってどこにあるか知ってるか?」

 俺の言葉にシエル姫は一瞬だけ目を見開いた。

 龍剣山について知っていると踏んで間違いないだろう。

「龍剣山ですか……少し、お待ちください」

 シエル姫はそう言ってから席を立って、近くの本棚に置いてあった巻物を片手に戻ってくる。

「それは?」

「この世界の地図です」

 そう言ってテーブルに広げられる巻物。

 なるほど、詳しい地形などはよくわからないが、大体どこに何があるか程度にはわかる地図だ。

「まず、ここがエスティアです」

 シエル姫が指を指すのは、地図の中でも内陸の方に位置している国。

 国に被せるように文字が書いてあるが、それを読む事は出来ない。

 これは、この世界の文字を覚える必要がありそうだな……言葉が通じるようにしてくれてるなら、文字も読めるようにしてくれれば楽だったのに。

「そして、ここが龍剣山です」

 俺がそんな事を考えているうちに指が差されたのは、エスティアよりも内陸の方に位置した場所。

 距離としては、北海道から山口県ほどだろうか?

 地図でこの距離という事は、実際に行こうとしたら相当な時間を要する事になるだろう。

「かなり遠いな」

「距離もそうですが、それ以上に龍剣山には更に問題があります。まず、この付近は魔族に占領されている場所があるという事。そして、もう一つが赤龍が龍剣山に住んでいるという事です」

 赤龍と来たか。

 確か、俺の前世は黒龍を倒したって言っていた。

 もし、赤龍が黒龍と同じくらいに強いとしたら、今の俺ではとても太刀打ちできないだろう。それどころか、見つかった瞬間に即死だ。

「赤龍ってのは、強いのか?」

「この世界には、龍が全部で6体存在しています。この6体というのは、属性が全部で6個だからと言われていますね。そして、龍は竜種の頂点に位置していますので、強いなんて話じゃないです。暇つぶしに一体の龍に滅ぼされた国さえあるくらいですよ?」

 そいつはまた……。

 とてもじゃないが、そんなヤツに勝つなんて無理だ無理。

 いや、待てよ……? 別に倒さなくてもいいんじゃないか? こういうファンタジー系の龍って基本は知能が高くてコミュニケーションが取れるものだし。

「龍って、知能が高かったりしないか?」

「確かに、龍は知能が高く会話もする事も出来ますけど、基本的には人間に友好的じゃないので交友を深める事は出来ませんね」

 はい、プランが破綻しました。

 どっちにしろ、戦うしかないのか……

「なので、あそこに行くのはオススメできませんね……」

「……ダメだ。俺は、あそこに行かなくちゃいけない。どうしても、必要なんだ」

 そうだ。

 いくら強敵が待っていようとも、美咲を助けるためには絶対に凍華は必要だ。

 そのためにも、例え俺が死に掛けるとしても行かないという選択肢は最初から存在していない。

「……止めてもダメみたいですね。わかりました、流石にエスティア全体とは行きませんが、私個人で出来る限りの支援はします」

「そこまでしてくれなくていいんだぞ? 言ってなかったが、俺はエスティアを……」

 守る気はない。

 そもそも、エスティアに何かあったとしても美咲をわざと矢面に立たせるような噂を流した事もあって、手を貸そうとは思わない。

 そのことを伝えようとすると、シエル姫はそっと俺の前に人差し指を立てる。

「さっきも言いましたけど、私は【裏切者】に味方したかったんです……そんな時に、ユウさんが現れました。貴方は、【裏切者】に似ています」

 似ているも何も、ソレ、前世です。とは、言えないから俺は曖昧に返事をしておく。

 そもそも、この世界にソレに似ていると言われて喜ぶ人間が居るのか?

「とりあえず、個人レベルですけど支援はさせて頂きますね。そうと決まったらさっそく準備しなくては!」

 シエル姫はそう言って早足に部屋を出ていく。

 それを俺と佐々木は呆然と見送った。

「んん……」

 ちなみに、桜花は俺に抱き付きながら寝ているのだった。

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