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【本編完結】君のために繰り返す~前世から続く物語を終わらせます~  作者: 夜桜詩乃
第一章 召喚、出会いと別れ
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そのころ、勇者達は。

遅くなってしまい、申し訳ございません。

なかなか、納得がいかなくて書き直していたら遅くなってしまいました。

 これは、裕が運命の女神と出会う数刻前の話。 




 私がその昔話を聞いたのは、幼少期の頃でした。

 当時、城に出入りしていたとても優秀な魔法使いのおばあさんがよく話してくれた昔話です。

 数千年前に実際に起こった出来事を元にして作られた昔話。

 異世界に召喚された一人の男性が、一人の女性を守るためだけに世界を敵に回して戦いぬくという、とても勇敢で、とても悲しい物語。

「はぁ……」

 当時の私はその昔話が大好きで、おばあさんが城に来る日はいつもおねだりをして話してもらっていました。

 そして、その話を聞いた私はおばあさんに言ったのです。

『その男の子が可哀そう! 私がその場に居たなら絶対に助けたのに!』

 だって、悲しいじゃないですか。

 この世でたった一人の自分よりも大切な最愛の人を守りたかっただけなのに、『裏切者』と呼ばれ世界から敵対されるなんて。

 そんな事はとても許される事ではありません。

 小さいながらにそう思って私が発した言葉におばあさんは驚いた顔をした後に、優しく微笑んで私の頭を撫でてこう言いました。

『かつてのいつか、あの時あの場所にシエル姫のように心優しいお姫様がいらっしゃったら、彼もきっと救われた事でしょう』

 その時のおばあさんの顔は今でも鮮明に覚えています。

 とても穏やかに、とても優し気に、とても悲しそうな……。

「そういえば、その時以来でしたね」

 その表情が私がおばあさんを見た最後の記憶。

 それ以降、おばあさんはパッタリとほんと城に来なくなりました。

 おばあさんが来なくなった事により、あの昔話をしてくれる人はいなくなってしまった私は独自に調べ始めましたが、どの本を読んでも、どれだけ人に聞いても『裏切者は悪である』の一点張り。

 そのことが気に入らなかった私はさらに調べましたが、時期にそれを嫌がった父上――国王によって私はその昔話に関わることを禁止されました。

 後に知った事ですが、あの昔話は現代では禁忌と同レベルに扱われており、迂闊に触れていい物ではなかったのです。

 そこから、数年の時が経ち私が18歳になった時に魔王が復活し、我が国で『勇者召喚の儀』を行う事が決まり、三兄弟の中で一番魔力保有量が多かった私がその儀を執り行う事になりました。

 そして、召喚されたのは40人の男女。

 私とそう年齢の変わらない人たちです。

 最初は混乱していた彼らでしたが、一人の男性――確か、カシワギと言いましたっけ?

 そのカシワギがその場をまとめて、どうにか落ち着きを取り戻し王の間に連れていく事に成功しました。

 そして、現在。

 私は王の隣に立ち、彼らはその前に並んでいます。

「つまり……ここは異世界で魔王が復活したから、それを倒してほしい、と?」

 カシワギが王の話を要約して確認を取ってきました。

「左様。そなたらには、それを成し遂げる力がある」

「でも、僕たちは争いとは無関係な世界で生活をしていました。とても戦えるとは……」

 カシワギの言葉に他の男女数人が同調して騒ぎ始めました。

 それを王は拍手する事で静まらせます。

「それは、運命の女神が見定めてくださる……シエル」

「はい、国王。今からあなた達は運命の女神と対面して頂き、そこで潜在能力を引き出していただきます」

「潜在能力?」

「はい。人間は誰しも隠れた才能や力を持っています。従来、それはいきなり発現したり一生しなかったりするのですが……今回は我がエスティル王国に伝わる秘儀を使って、運命の女神と対面し引き出していただきます」

 私が説明を終えると、男女は再度騒ぎ出します。

 ただ、今回は子供が新しいおもちゃが手に入る事を知って喜んでいるような騒ぎ方です。

 本当にこの人たちに任せていいんでしょうか……。

「まぁ、そういう事だからさっそく秘術の間に移動してもらう」

 王がそう言うのと同時に、入り口の大扉が開きそこから騎士が数人――王族の近衛騎士達が入ってきて彼らを誘導していきます。

「あれ……?」

 ぞろぞろと移動していく集団の最後尾に、一人の女性を支えるように二人の女性が寄り添っているのが目に入りました。

「シエル、では頼んだぞ」

「あっ、はい」

 私は、王に返事をして集団の後をついていきます。

 支えられている女性は落ち着けなさげに周りを見渡していました。

「あの……どうかしましたか?」

 気になって声を掛けてみると、女性三人が一斉にこちらに振り返り支えていたうちの一人が私の前に立ちました。

「あっ、えっと……別に危害を加えようとしてるわけではなくて……」

 私がそう説明すると、支えられている女性が口を開く。

「美紀ちゃん、大丈夫だよ」

「美咲……わかったわ」

 私の正面に立っている人がミキさんで、支えられている女性がミサキさんというらしい。

「えっと……シエル姫でしたっけ」

「あ、はい。ミサキさん、で合っていますか?」

「合ってますよ。私が美咲で、この子が美紀ちゃん。こっちの子が由美ちゃんっていうんです」

 ミサキ、ミキ、ユミ……よし、覚えました。

「それで、ミサキさんは何かを気にしているようでしたが……?」

 私が問いかけると、ミサキさんは表情を暗くして俯いてしまいました。

 何か、聞いてはいけないことを聞いてしまったのかもしれません……。

「あっ、すみません……聞いてはいけない事でしたか?」

「あぁ、違うんです……ただ、幼馴染が見つからなくて……」

 幼馴染……。

「そうでしたか……こちらでも探してみるので特徴を教えて頂いても?」

「あ、はい。えっと……黒髪黒目で、目つきが少し悪いです」

「美咲ちゃん、たまに毒を吐くよね……」

「えぇ!?」

「ふふっ、わかりました。それらしい人が居たら、お教えしますね」

 私がそういうと、ミサキはようやく笑顔になってお礼を言ってきた。


「うおおおおおおおおお! すげぇ!」

「私、本当に魔法が使えてる!」

「俺なんて炎の剣だぜ! かっけぇ!!」

 一時間後、彼らは運命の女神によって発揮された潜在能力で大はしゃぎしていた。

 全員の潜在能力が発揮された今、私にはどうしても確認しておかなければならない事があった。

「この中で、称号に〇〇の勇者と書かれていた人はいらっしゃいますか?」

 私がそう聞くと、集団の中から6人の男女が出てくる。

「えっと、とりあえず自己紹介をしていただいてもいいですか?」

 すると、6人の中で一番小柄の少女が一歩前に出る。

 地毛だろうか? 少し茶色い髪のショートで身長は140前後しかないように見える。

「私が槍の勇者! 小宮こみや 杏子あんずだよ! よろしくぅ!」

 続いて一歩前に出て来たのは明らかに素行が悪そうな男性。

 髪を金髪にし、耳にはやたら金属を付けている。

 目つきは鋭く、体はとても鍛え抜かれている。

「俺が籠手の勇者、加藤かとう 俊吾しゅんごだ」

「おいおい、そんな言い方をしたらお姫様がビビっちまうだろ?」

 やれやれと言った感じで出て来たのは、シュンゴさんよりも鍛え抜かれた肉体を持つ男性だった。

「おっと、自己紹介だったよな? 俺は盾の勇者、馬込まごめ 健一けんいちだ」

「そういう健一も体が大きいんだから、初対面じゃ結構怖いと思うよ?」

 ケンイチさんの後ろから出て来たのは、カシワギさんだった。

「僕が剣の勇者、柏木かしわぎ 春斗はるとです。と言っても、もう知ってますよね」

「そうですね、みなさんをまとめて頂いて感謝しています」

「いえいえ、アレは当たり前の事をしただけですよ」

 私がお礼を言うと、カシワギさんは笑って手をひらひらとさせた。

 なるほど。この甘いマスクで女性を虜にしているんですね。

「あら? 姫様と知り合いって事なら、私もそうよ?」

 そう言って出て来たのはミキさんだった。

「さっきぶりだね。私は弓の勇者の野宮のみや 美紀みき。よろしくね」

「あ、はい。よろしくお願いします」

「これで残るはウチだけか~」

 そんな声と一緒にミキさんの後ろからひょっこり出て来たのは、メガネを掛けたボブカットの女の子だった。

「ウチは杖の勇者、佐藤さとう 麻耶まやよろしく~」

「よろしくお願いします。さて、これで全部ですね」

 私はこちらを見ているほかの人たちに身体を向ける。

「こちらに居られる方々が、6武器種それぞれの勇者様です。みなさんには、勇者様方を筆頭に魔王を討伐していただきます」

「「「うおおおおおおおおおおおおおお!!」」」

 宣言と同時に多くの拍手と歓声が上がる。

 だが、これで終わりではない。

 私の真の目的はまだ達成されていない。

「勇者様方とは別に、【スキル:刀剣術】を所持している人はいらっしゃいますか?」

 そう言った瞬間、周りがシンとする。

 その反応で、誰も持っていないことがわかり、私は人知れず肩を落とす。

「あの……その【スキル:刀剣術】って僕が持っている【スキル:剣術】とは違う物なんですか?」

 カシワギさんが疑問を口にする。

「はい。【スキル:剣術】は刀を除く剣を扱うことができます。それとは違って【スキル:刀剣術】はありとあらゆる刀を自在に扱う事ができるんです」

「この世界にも刀があるんですか?」

「ええ。相当昔に召喚された勇者様が所持しておりそこから生産方法が解明されたと言われています」

「そうだったんですか。ところで、そのスキルと魔王討伐は何か関係が?」

「いえ。ただ、とても珍しいスキルなので……」

「なるほど。確かに、珍しいスキルなら見てみたいですよね」

 私の言葉にカシワギさんは笑った。

 ここで私は嘘をついた。

 【スキル:刀剣術】は珍しいというレベルではなく、過去に持っていたとされる人物は二人だけ。

 一人は刀をこの世界に伝えたとされる大昔の勇者。

 そして、もう一人は【裏切者】と呼ばれ世界を敵に回した男だけなのだ。

「そうですね」

 だが、コレを言ったところで何にもならない。

 私はカシワギさんに作り笑いを返した。

少しでも面白いと思ってくださりましたら、評価を押していただけると作者のモチベーション向上になりますので、よろしくお願いいたします。

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