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八十二話 宜しくお願いします

先週、初めて予約投稿したんですけど思いっきり午前と午後間違えてしまいました。

 朝の8時に投稿してしまいました。

 びっくりした方がいたら申し訳ないです。

昼飯食べてたら、ルファーとルナが来た。

 そしてすごい顔された。

 何だよ、別に変なことしてないだろ。普通に飯食ってただけだよ?


「ねぇ、イフリート」

「はい」


何でそんなに怒ってるんだよ。まあ確かにルファーに言われたこと破って、動いて飯食ってるけど、正直それだけだぞ?


「私たち、すごい心配したの」

「はい」

「すごい心配しながら、人ごみに流されて、そこから全速力で戻ってきたの」

「はい」

「なのに、どうして普通に、私たちの心配をよそに、ご飯食べてるの?」

「………………………すいませんでした」

「別に謝罪が欲しいわけじゃない。理由を聞いてる。あと、その二人は誰?」


こわ! こっわ!

 有無を言わさない感じだ。これは………逆らえば死ぬ。

 そのルナの後ろで、突っ伏していたルファーが復活した。

 さらに一人だけいなかったリエルも走って来た。

 もう下手なこと言ったら、確実に数回死ぬ。そう思わせる殺気が俺に向けられる。


「理由と致しましては……………………理由、と致し……ましては………」

「どうしたの?」


やべぇ、特にルナ達を納得させられるような理由が何もない。

 なし崩し的に買ってしまった奴隷の男の子の方の腹が鳴ったから、ルナ達のことを忘れて飯食ってました。

 と言ったら、絶対に殴られる。

 なので頑張って違う理由を作っている。


「特にないの」

「…………………はい」


違う理由を考えつくまでにバレた。

 冷や汗が止まらない。

 どうしてこんなに殺気がすごいのか。


「………………この二人は僕が買いました」

「あれ、買わないって言ってませんでしたっけ?」

「そうですよ、主様」

「僕も買うと思わなかったです。ただ、あのチャンスを逃すともう買う機会が無くなった気がしたので買いました」


あぁ、遂にルファーとリエルも、ルナの側についてしまった。

 まあ、全面的に俺が悪いんだけどさ。俺に味方がいないのは確実なんだけどさ。


「ご、ご主人様をいじめるな」

「へっ?」


こ、ここで思わぬ助け船が!

 ありがとう、男の子! 夕食は豪華にしよう!

 ルナ達は一瞬キョトンとしてから、すぐに平静を取り戻し、なぜか俺の方を向いた。


「イフリート、何したの?」

「はい?」

「イフリートがこんな短時間で信頼されるほど会話できるとは思えない」

「お前っ! 言ってはいけないことを言ったな、全く否定できないけど!」

「確かに、主様が知らない人と話すのは絶望的ですね」

「何を根拠にそんな主人を貶めるようなこと言うんだよ!?」

「街に最初に来た時、はしゃいでましたけど、ちゃんとビビってましたよ。主様が人と普通に話せる時はだいたい勢いに身を任せてる時です」


何も言い返せないです。

 ルナはともかく、ルファーにまでそう思われてたら終わりだ。つまり俺は終わった。

 そ、そういえばリエルは? リエルはどうだ?


「へー、そうだったんですか」


すごい意外そうにしてから、俺の視線に気づいたリエルは、


「そ、そうですよ!」


あからさまに便乗した。

 ……………………まあ、リエルはいいや。


「何でそんな諦めた表情するんですか!」

「まあ、それはともかくイフリート。何したの?」

「それはともかく!?」

「うーん、服買って、昼飯食わせたくらいしかしてないが」

「スルーですか!?」


落ち込むリエルを、珍しくルファーが慰めていた。なんとなくリエルの立ち位置が決まってきたな。

 それより、確かに何でこんな懐かれているのかは謎だ。


「あっ、そうだ。何でか分かりますか…………えぇっと」

「アーノルドだ。アーノルド・エイク。あと敬語はいらんだろう………あ、主よ」


主と言うことへの抵抗がひしひしと伝わってくる。

 本当に申し訳ない。

 アーノルドは男の子を見て、少しアイコンタクト、かな。それをして意思疎通っぽいことをしてから、話し始めた。

 いや、かっこいいな。


「この子はアクト・エイク。私の孫だ。訳あって奴隷になった。この子が主をかばったのは小さいなりに主従関係を守ろうとしてのことだ。懐いている訳ではない。勘違いするなよ」

「なるほど。かばってくれてどうもありがとうございます」

「べ、別に敬語じゃなくていいです!」


見た目が年下なので、なんとなく敬語を使って話してしまうが、体が震えないということは、エルフの時のように、見た目以上の年なのだろう。

 やっぱり異世界ってすごいな。前世では見た目イコール年齢だったのに、ここでは見た目イコール年齢でないケースもあるんだから。

 俺に少しは優しい世界だ。

 あと、アーノルドとアクトの間に血縁はない、と。まあ、種族が違うっぽいからな。


「ちなみに二人とも年は?」

「私は73だが」

「ぼ、僕は……………」

「ああ、別に言いたくなければ言わなくていい」


できればアクトの年が知りたかったんだが、まあ仕方ない。

 というかアーノルド、73って。いや、全くそうは思えないんだが。


「! そうだ、お前ら。とりあえずお前らも昼食食べろ。俺たちはもう食べたから」

「イフリート、私まだ怒ってるから帰ったら洗いざらい吐いてもらう」

「私も怒ってますからね、主様」

「わ、私もです」

「……はい」


…………………帰ったら、土下座して謝ろう。



    ↓



 ルナ達は俺が想像していた以上に飯を食い、その後、特に用もないとのことだったので帰ることになった。

 帰り道は、アーノルドとアクトがいたため、その二人をルファーに乗せてもらい、俺、ルナ、リエルは走った。まあ、俺は走ってるっていうか魔術で進んでるだけなんだけどね。

 そうして、家の目の前に来た時に、アーノルドとアクトがあんぐり口を開けて突っ立った。

 まあ、そうなっちゃうよな。俺だってやりすぎた感あるし、広すぎて正直落ち着かないし。


「えっと、とりあえず上がって」


なんとかリビングまで来させて、全員座らせて、とりあえずみんなで話すことになった。

 まず俺がルナ達に土下座しながら、はぐれてからのことを全部言い、許してもらった。完全に悪いのは俺なのに、本当にありがとうございますだよ。

 そして次に、


「これが俺の本来の姿ね」


仮面を取り、ローブも脱いで、いつもの目が痛くなるような鮮やかな赤色の龍人の姿になった。

 まあ、主人の種族とかくらいは知っといたほうが良いよねってことで。


「なるほど、主は龍人か」

「でも龍人って30年前に滅んだはずじゃ」

「ああ、そのはずだ」

「俺は転生者ってやつで、違う世界で死んでこの世界に来たんだけど、目が覚めたらこの姿だった」

「ちょ、ちょっと待て。転生した時からその姿なのか?」

「うん」

「それはおかしいぞ。転生者は赤子からのはずだ。なのに、なぜ多少なり成長した姿で転生している?」

「それは俺にも分かりません」


俺も不思議に思ったんだが、今の所その原因を解明する手段がないので、とりあえず保留にしている。

 アーノルドに言われて、そういえばそんなこともあったなと思い出すくらいには、忘れてた。


「龍人…………その姿……………イフリート…………………ふむ、偶然というのはあるものだな」


なんかすごい気になること言ってるけど極力気にしない方針で行こう。

 さて、俺にとってはここからが鬼門だ。

 奴隷を買うとなった段階で、これはやろうと思っていたことだ。


「突然だが、あなたたちは俺の奴隷ですよね、一応」

「そうだな」

「そうですね」

「じゃあちゃんと俺の家の面倒見てくれますね」

「ああ」

「はい」

「絶対ですか?」

「何を言っているんだ? そうするしかないだろう」

「も、もちろんです」

「嘘ではありませんね?」

「ここで嘘をつく必要があるか」

「本当です」

「たとえ、あなたたちが奴隷じゃなくても?」

「しつこいぞ、やってやるとも!」

「任せてください!」

「…………………おい、待て主、お前まさか!」


よし、嘘をついている素振りはない。反応もない。

 アーノルドが感づいたようだがもう止められないだろう。

 ふぅ、お願いだからうまくいってくれ。


「では俺はあなたたちを信じて、あなたたちを奴隷から解放します」

「やはりか」

「え?」


緊張しちゃって、思わず全部敬語になっちまったが、とりあえずうまくいったようだ。

 なんかアーノルド、アクト、二人の胸から光が出て、はじけた。

 何が起こったのかは、何となく分かったが、一応聞いてみよう。


「どうでした?」

「奴隷から…………解放された。主人であるお前が奴隷から解放すると宣言したからだ」

「こ、こんなことしてよかったんですか!?」

「最初からこれはしようと思ってから、あんまり怒鳴らないでくれ」

「お前、これでよかったのか? 私たちは逃げるぞ、奴隷から解放された今」

「いやいやいや、それはないでしょう」

「なぜ言い切れる?」

「さっき約束したじゃないですか?」

「なっ、それだけで私たちを信用するのか!?」

「男に二言はなんとやらですよ」

「…………………」


考えてるな。

 俺の人間性についてか、それともどういう逃げ方をするのかとか、あとは…………まあ、色々か。


「俺が二人を奴隷から解放したのは、俺が奴隷を使うっていうのに抵抗があるっていうのが一つ。人は人だよ。物みたいにはしちゃいけないと思う。俺がおかしいんだろうけど、これは変えない。あと、俺がお願いして働いてもらうんだ。使うっていうより、雇用っていう形の方がいいと思うんだ。どうだろう?」

「………………少し考えさせてくれ」


そう言うと、アーノルドは顎に手を添えて、考え出した。

 予想としては、結局逃げるか、俺の言うようにちょっと家事を手伝ってくれたあとに急にいなくなるか、ずっと家事手伝ってくれるかのどれか。

 俺としては一番最後がいいんだけどな。そう上手くはいかないと知ってるけど。


「分かった、私たちを雇ってくれ」

「いや、いいんだ。そうなることは分かってたか、えー」

「どうした?」

「承諾してくれる可能性はとんでもなく低いと思ってたから、まさかOKしてくれるとは……」

「ただし条件がある」


アーノルドはこっちまで寄ってきて、小声で、


「私とアクトの関係については詮索するな」

「別にいいぞ」

「ならば成立だ。これからよろしく頼む、奥様」

「は? 奥様? 何言ってるんだ、お前?」

「言葉遣いこそ男だが、その容姿と声の高さからして女だろう?」


あー、そういえば忘れてたな。自分の姿が女寄りだってこと。

 説明しないといけないな。


「俺は男だ」

「と言っていますが、特にそれを証明することはできませんので悪しからず」

「代わりに説明ありがとう! そういうわけで特に証明もできないが、男ってことで頼む」

「り、了解した」

「分かりました」


よし、説明終わり。

 いやー、良かったぁ。

 これで家事してくれる人ができた。掃除の負担が軽減できる。



   ↓



「はあ、美味かったぁ」


もう夜になってしまった。

 あの後思っていたより時間が経っていて、アーノルドが夕食作ってくれたんだが、すごい美味しかった。

 そして今は風呂に入っている。もちろん男湯です。

 ルナとリエルは女湯の方に入っている。リルファーは面倒臭いから女湯の方に入れている。

 アーノルドとアクトは後で入ると言っていた。

 にしても、やっぱり風呂は良いものだ。作って良かった。

 ぼーっとしていると、ガラガラと出入り口の方で音がした。

 音のした方を見ると、そこにはアーノルドとアクトがいた。


「よう、遅かったじゃん」

「待っていたのか?」

「ぎゃぁ! す、すいません。出ます!」

「えっ、おいちょっと待」


言い切る前にアクトが風呂場から出てしまう。

 どうしたんだ?


「アクトをいじめてやるな」

「いじめてねぇ!」

「精神は子供なんだ」

「体も子供だろ」

「そういえばアクトは年齢を言っていなかったな。3…」

「うわあぁ!」


アクトがアーノルドを止めた。

 そして、ブンブン首を横に振った。


「そうか。アクトが言うまで待ってくれ」

「分かった」


今、気のせいじゃなければ3って言ってなかったか? 十の位?

 まあ、別にいいか。

 ここで変なことを言って、アクトから恨みを買われて逃げられるのは嫌なので何もしない。


「早く風呂入れよ。ほら、アクトも」

「あっ、はい」


二人とも、素直に頭と体を洗ってくれた。


「アーノルド、アクトにも家事の仕方教えてやってくれ。お前がいなくなったら、アクトだけが働くことになるから」

「無論だ。まあ、アクトが成人するまでは死なないつもりだがな」

「が、頑張ります!」


むむむ、これは言うべきか、言っていいのか。

 やっぱり言った方が…………いやでも、さっき思ったことが起きたのは嫌だし…………まあ、いいか。

 思っていたより思考時間が長かったみたいで、気づくとアーノルドもアクトも風呂に浸かっていた。

 よし、アクトに言ってみよう。


「なあ、アクト」

「は、はい、何でしょうか?」

「別に敬語使わなくていいぞ?」

「い、いや、そういうわけには」

「もう奴隷じゃないから、強制力なんてないんだけど、敬語やめてほしい」

「で、でも……そういうわけに、は………………………分かりまし、分かった」

「ありがとう」


うん、自分より身長低いやつに敬語使われるのはなんか違和感があったからな。

 前世では子供には舐められてたし、そもそも話しかけられないので敬語使われることがなかった。この世界でも子供には普通に敬語使われてなかったからな。

 よし、これで違和感もないな。


「改めて、よろしく頼む」


こうして、買って奴隷から即座に解放し、雇用した二人と、その日のうちに、多分打ち解けることができたのだった。

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