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四十四話 新技能

えぇ、皆様。作者が何を言おうとしているか、もうお分かりだと思います。

 先週投稿できず、すいませんでしたぁ!

 忙しかったんです。なので、二話投稿しようかと。お楽しみにはしなくてもいいので、読んでいただけるとありがたいです。

村では基本的にルナと戦っていたから、ルファーとやる機会はほとんどなかった。

 なので、ルファーがどんな技能を持っているかなどは、一切知らない。教えてはくれるらしいが、俺が捕まってルファーを討伐するための隊が結成されているみたいな状況がもしあった時に、俺が情報を吐いてしまって、ルファーが倒される、みたいなことがあると後味悪いので、聞いていない。

 そもそも捕まるなんてないと思うけどね。地味に過ごすつもりだし。目立つとしたら、龍人っていう種族ってことだけだろう。

 いや、そんなこと考えてる場合じゃない。いつ攻撃してくるか分からないからな。

 あっ、でもさすがにちょっとタイミング合わせたいな。


「あ、やっぱ待って。悪いけど、技能使うから攻撃の方法変えながら行こう。まずは殴打で頼む」

「了解しました」


『身体硬化』を発動させる。硬化させるのは全身でいいかな。魔力は加減なしで全開に込める。なくなっても大丈夫。いや、なくなっちゃダメなんだけどな。

 一瞬魔力がなくなった時の脱力感はあるものの、『自己再生』は魔力も回復するから安心して魔力を使える。

 だが、あんまり体が硬くなった気はしないな。これ、本当に発動できてるのか? まあ、きっと大丈夫だろ。発動してなくても一応『自己再生』で治るし。いや、治るかな………ちょっと怖くなってきた。ルファーには殴れって言ってあるが。


「主様、行きます!」

「よし、来い」


ルファーに言われて身構える。

 吹っ飛ばされては参考にならないと思うので、魔術で足を地面に固定する。

 そして、殴られた。魔術で固定しているとはいえ、それでも吹っ飛ばされるかも、と思うくらいの衝撃が体を走る……………わけでもなかった。

 今までなら確実に致命傷を食らっていただろう。だが、『身体硬化』で相当な魔力を注ぎ込んで硬化した体はルファーの拳を受けても壊れなかった。

 魔力を込めるのに、多少の時間はかかる。だが、それを差し引いても圧倒的に有用! 今までの技能の引き運が悪かっただけにこれは嬉しい。『身体強化』がそれだ。頑張ったのに効果時間5分はふざけていると思う。

 まあ、それはいい。

 とりあえず殴打に関しては大丈夫か。


「じゃあ、次は斬撃で」

「はい!」


斬撃と言うと、さすがに狼の方の姿に戻るか。

 と思っていたら、まさかの人型のままだった。おい、武器も持たずにどうやって斬るんだよ。はっ、まさか手刀か!? やったらかっこいいな。ルファーのステータスなら出来てしまいそう。

 おっ、構えた。来るか。

 俺も一応身構えるものの、『身体硬化』はまだ発動したままだし、魔術で足を固定したのもそのままなので、他にすることはない。なので、今楽しみなのはルファーがどうやって人型の状態、しかも武器を持っていない状態で斬撃を放つのか、だ。

 するとルファーがすっと右手を前に伸ばす。そしてその右腕を下ろした。

 直後、俺の体の表面が何かとぶつかり、硬度故に拮抗しだす。体は大丈夫だ。だが、ステータス的な問題で膝が曲がりだす。なんだ、何が肩に乗っている!? 見えないので魔法や技能の類だろうが、重すぎる。


「ぬ、ぐああぁ!」


 もう少しで一気に倒れそうになる、というところでルファーが見えない何かを俺の肩から離してくれた。痛みはある。だが、どちらかといえば斬られた痛みではない。ずっと押さえつけられた時のような痛みだ。肩に触れるが、血が出た痕跡もない。

 あそこまで重かった攻撃にも耐えるのか。しかも明らかに剣のようなものだった。これに耐えるとなると、『身体硬化』はすごい。やっぱり当たり技能だ。まあ、魔力を込めすぎたかもしれないというのはあるかもだが。今更気にしても仕方ない。今から硬度を変えると、こうして試している意味がなくなってしまう。


「これを耐え抜かれるとは思っていませんでした」

「なんだ、お前殺す気だったのかよ!」


まじかよ、お前。一応主人ですよ!? え、分かってるよね!?

 まあ、耐えきれたからよかった。

 そして他に試す必要がありそうな攻撃方法はなんだろうか。

 あっ、魔法。そういえば試した方が良さそうだな。ルファーだし、魔法くらい使えるだろう。


「ルファー、次は魔法で…………魔法使える?」

「主様、さすがに失礼ですよ。魔獣にも適正属性などはありますから、魔法くらい使えますよ」

「ふーん………使えるのか。俺使えないのに」

「そういえばそうでしたね」

「俺、ちゃんと言ったよね!? 魔法使えないって! なのにどうして魔法『くらい』って言っちゃうかな!?」

「すいません。そこまで魔法使いたいと思う人がいるとは知らなかったもので。生まれた時から使えるような代物だと聞いていましたし」


的確に傷が増えていく。

 あの野郎、覚えてろよ。今度ルファーができないことをさも当然みたいに自慢してやる。

 まあ、ルファーが魔法使えるってことは分かったので、撃ってきてもらおう。こっちは『身体硬化』を発動しっぱなしなので準備万端。


「よし、来い」

「了解しました。撃ちます」


と言った瞬間に、撃ち込まれた。

 はっ? え、いや……速すぎだろ! なんだ、あのスピード。目にも止まらないスピードで俺のところまで向かってきたぞ。

 やばい、今度はちょっと衝撃が……………クラクラしてきた。なんの属性の魔法なのかも確認できない。

 だが、それでも後ずさることはなかった。魔術のおかげだ。使っておいてよかった。

 長く感じた時間をどうにか耐えきり、魔法が当たった場所、腹の辺りを確認する。血が出た気配なし。今回も『身体硬化』の勝利です!

 それにしてもなんの属性の魔法を使ってたんだろう。属性特有の痛みを感じる以前に、速すぎて衝撃がすごかった。『自己再生』で傷は治る、それ以前に傷を負った様子もないわけだが、痛みは残るもんだから。

 とりあえずこの世界での攻撃方法はこんなもんか。地球だと鉛玉がすごい速度で飛んでくるとかあるんだが、ルファーのステータスなら、それすら超える速度で拳を打ち込めそうなので、別に候補に入れなくてもいいだろう。極狼のステータスは、この世界での最高峰だろうし地球での攻撃よりも凄まじい攻撃なんてわんさかあるんだろうな。


「うーん、全くどうしてこんな強い魔獣と主従契約結んじゃったんだか」

「何か言いました?」

「あー、いや。別に何も言ってないぞ。それより俺のやりたいことはやらせてもらったし、次はルファーのやりたいこと、やろうぜ」

「やりたいことと言われましても、特にはないのですが。つい先ほどやりたかったことももうやり終わってると言って差し支えないですし。そうですね、遊びます?」

「この森の中にそんな娯楽があると思えない自分がいるんだが……」


各自やりたいことを………って言ってもルファーはついてくるだろうし。そうなると単独行動指示した意味がないし。

 やべぇ、面倒くせ。

 とりあえず何しよう。さっき言った通り、この森の中に娯楽があるとは思えないし。


「本当にどうするか」

「あっ、そういえば! あいつ! えぇと…………主様の腕を何回も切り落としたやつ。あいつ探しに行きましょう」

「えっ、何で? 恨み持つのは違うと思うけど?」

「いえ、それではなく、何か主様がわざわざ助けた、あの小娘を姉と呼んでいたではないですか。気になりませんか?」

「まあ、そりゃ気になるけど、そもそも会うのが難しいだろ。この森、だいぶ広いぞ? 探すの一苦労だと思うが」

「大丈夫です。ぬかりはありません。奴の匂いは覚えています。追跡可能です」

「お前! …………仕方ない。頼んだぞ。見つけたところで特に言うことないけど」


というわけで、謎のテンションのせいで、別に恨んでもないのに助けた少女の妹(仮)を探すことになった。

 まあ、別に俺が探すわけじゃないので、すごい楽。さっきまで痛みとの戦いだっただけに。

 ルファーが匂いを嗅いで歩いて行くから、俺はそれについていくだけ。

 だが、そこは俺。並列思考が地球で使えたら、授業中に使って他のこと考えながら授業受けてやろうと考えるくらいには効率厨。いや、効率厨の定義をよく知らないが。この時間をただボーっとして過ごすわけがないだろう。

 とはいえ、することと言えば、魔術以外にないが。『自己再生』の能力のほとんどを解明済みだ。他に能力を試した方がいいような技能は特にはないし。ならば、魔術を試した方がいいだろう。

 まあ、試すとしたら風の龍でいいかな。でも、ここであんなものぶっ放したら、森がやばい。となると小さくしないと。名前はもう安直でいいかな。


「『風天龍・小』」


直列思考を使ってしまった。ちょっと鼻血出た。やべ、垂れそう。拭おう。

 構築する時間は掛からなかったし、急に魔力で風の集合体作ったからルファーはびっくりさせたかもしれない。まあ、いっか。別に驚かせてもこっちに害ないし。

 そんなわけで作り出したのは『炎天龍』の風バージョンの小さい版。まあ、ややこしいが、そういうことだ。おお、すごい。手のひらサイズだ。可愛い、かは俺では判断しかねるが、まあ小さい。

 ………………さっき小さいと言ったな。むしろ俺がチビだってことを思い出させるからダメだ。この龍、ブサイクだ。

 さて、このブサイク龍。威力はいかがなものか。試しに指を龍の中に突っ込んでみる。


「いってぇ!」


痛みを感じて、指を抜くと多数の切り傷から血が出ていた。

 なるほど、龍の形を取っているいるとはいえ、風でできているので、そりゃあ風で構築されてる魔術と威力とか効果は変わらないか。中でかまいたちが荒ぶってるよ。

 これ命中したら、だいぶ威力がすごいのでは…………いや、それよりも、これが小さくなかったら、普通の『風天龍』で、日本の龍をイメージした魔術なら、一体どれだけの威力が出るのだろうか。

 ああぁー、『風天龍』打ちてぇ! でも、こんなところで打ったら、森がやばいことになってしまう。落ち着け、落ち着くんだ。

 今はこの小さいブサイク龍で我慢しよう。

 ………………まあ、一本だけポツンと生えてる木なら大丈夫だろ。

 ルファーに気づかれないように、すごい速度で飛ばす。すると、一本だけあった木が爆発した。いや、爆発したような壊れ方をしたぞ。それだけ魔術が強力だったのか。

 うわ、こっちにまで木の破片が飛んできた。馬鹿野郎、目に入ったらどうするんだ! やったやつ出てこい! ……俺だわ。

 まあ、ルファーはなぜか気にしてないようだし、俺も実害なし。別に他に被害もないし、大丈夫か。

 とりあえずこのことは黙っておこう。大丈夫、言わなきゃバレない。

 それにしても、だいぶ歩くな。一体どこまで行くのか。


「ルファー、まだか?」

「もう少しです。安心してください、匂いは確実に近づいています」

「なら、いいけど。そろそろ暗くなってきたし、寝る場所見つけないと。別に野宿でもいいけど」

「あっ、匂いが近づいてきました。速度からして歩いてきてますね」

「ちょっと隠れる?」

「…………もう少し堂々としていてもいいのでは?」

「いやだよ、俺が偉そうとか一生無理だ」

「そうですかね、案外似合うと思いますけど」

「ほっとけ」


とりあえず茂みに隠れる。

 すると、ルファーが言った通り、あの妹(仮)が現れた。しかも、あの時助けた少女も一緒だ。

 普通なら仲良い姉妹だな、くらいしか思うことがないんだろうが、どうにもいやな予感がする。詳しく言うならば、これ以上踏み込んではいけない気がする。

 姉妹は何かの建物に入っていった。

 ルファーは後を追おうとする。俺はそれを止める。


「どうして止めるんです?」

「俺の野生の勘が言っている。これ以上はいけない、と。だからダメだ」

「主様、これだけは譲れません。私の方が野生です」

「ですよねぇ! でも、本当にやばい気がするからダメだ! 冗談じゃないから!」


くそ、ルファーの力が強すぎる。ズルズルと引きずられる形で、建物の入り口に向かってしまう。

 チクショー! もうルファーがドアを開けてしまう。

 ルファーによって開かれた扉の先にあったのは……………なんだろうな。言葉にするのが大変な光景が広がっていた。

 えぇと……………女子二人が………絡み合ってる? んん? どういう状況だ?

 ちなみにルファーも後から怖くなったのか、俺と同じように少しだけ開いたドアの隙間から覗いている。もちろんノブを回すことさえ、ゆっくりやっていた。


「「はぁ……」」


 そして俺たちは、一瞬ため息を吐いてから扉をゆっくり閉める。

 まずいものを見たかもしれない。どうするよ? これ、言い出しっぺが尻拭いするやつでは?

 まあ、いい。気付かれてはいないはずだ。

 大丈夫、言わなきゃバレない。

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