十三話 決闘
ユーザー名を変えさせていただきましたぁ! あれで『こやしま きゅうきゅう』と読んでください!
読み名の通り、休むの大好きです! 投稿のだいたいが休日なのはそのせいですぜ! あと、休日はテンション高くなるので暖かい目で見てください! 仮面ライダーとか未だに見てます! よろしくお願いします!
決意してから、一日たった。
倉庫でまた一日を過ごしてしまった。本を読みふけっていたら、一日なんて早いんだよ。ちょっと寒いのと開放感がすごいことに目をつぶれば、快適な場所だ。
不健康じゃないから。ちゃんと飯は食べたから。ルナに飯を運んでもらったけど。
ムーヤは途中で寝てしまったので、ミーヤさんが回収していった。結婚目前という時期に申し訳ない。反省してます。これからは気をつけます、はい。
目的に必要だった本はだいたい読み終わった。本を勢いよく閉じる。
「あ、やっべ。やっちまった。大丈夫か、この本。…………よし、目立った外傷なし。大丈夫そうだ」
独り言は虚しい。
今はルナもいないから、倉庫に一人。孤独には慣れてるが、世界が変わるとちょっと辛い。
だが、これでだいたいの知識は吸収し終わった。
次は、実行かな。
どんな感じにするかは決まった。あとは場所の確保。こればかりは村長たる爺さんに任せる他ないな。
と、思っていたら、ちょうどその爺さんが倉庫の扉の前に立っていた。
「うお、ッバ! ビックリしたぁ。気配消すのはやめてくれないですかね? 毎回ビックリするのもアレなんで」
「おっと、失礼しました。イフリート様にお伝えしたいことがありまして」
「お伝えしたいこと? はあ、なんでございましょう」
「ミーヤ、マルサ、ムルサ、三人の結婚が決まりました」
「お、おおおぉぉ! 決まったのか!」
「はい、三人揃って私の前に立って、この三人で結婚させてください、と言われた時はさすがに驚きましたがね。イフリート様のご提案とお伺いしたのですが」
「あっ、そうです。出しゃばってすいません」
「いえいえ、こういう独創的な発想はあまり出ないですからね。久しぶりに楽しませていただきました」
「そう言ってもらえると気が楽です」
よかったー。俺の案、アウトで村から追い出されるんじゃないかと気が気でなかったが大丈夫そうだ。
あれ?伝えたいことってそれだけじゃないの?なんでまだそこに立っていらっしゃるの、爺さん。
「あの…まだ何か?」
「……村の男のみを集めて、飲みたい、と。マルサとムルサの言い分です。お付き合いいただけないでしょうか?」
「へぇ? いや、全然構いませんけど。あの二人、相当浮かれてるな。嬉しいのは分かってたんだけど」
「申し訳ありません、お手を煩わせてしまい。あいつら、自分の立場が分かっているのか。付き合わせていいと思っているのか? バカじゃないのか!」
「あはは、あんまり熱くならないでください。俺は分かりませんけど、結婚ってのはそれだけ嬉しいことなんじゃないですか? そこは素直に喜んであげたらどうですか、村長?」
「耳が痛い限りです」
「分かっているなら、治してください」
「善処します。それでは、夜に行いますのでそれまではどうぞ、ご自由に」
「了解です」
言いたいことだけ言って帰って行った。
あっ、どこでやるのか聞くの忘れてた。まあ、言ってみれば分かるだろ。多分賑やかだし。
さてと、そんなことよりも由々しき問題が。
そう、することがない。
爺さんに場所とっていいか、許可取るのも忘れたし。
あの三人の様子でも見に行くか。することないわけだし、村の様子を見るのもいいだろう。村の全貌を見たことなかったし。
息抜きにもなるし。
「ふうー、おおああー」
伸びをしてみる。缶詰だったから、ちょっと疲れたな。
倉庫は村の中心部、建物がある場所からは少し離れた場所にある。建物がある場所までは徒歩でゆっくり行くことになる。
空気がうまい。いや、缶詰から解放された瞬間はこういうことになるんですよ。冗談でもなんでもなく。
平地、柵を挟んで、森。これが左側の景色。
平地、柵を挟んで、また平地。これが右側の景色。
大して変わってないな。暇だ。出ても出なくても暇だった。仕方ない、ちょっと痛いけど『自己再生』の検証でもしてるか。
とりあえず爪で傷をつける。鱗がまるで仕事しない件についてどう思いますか。軽く弾くだけでそのあとすぐに爪でも食い込む。そういえば爪って割と硬かったんだな。今までの俺の体の脆さのせいで忘れていた。それでも大して硬くないんだろうな。
今回知りたいのは、固有技能『自己再生』の傷の再生に俺の意識は関与できるのか、ということだ。
もしも傷の再生までの時間を多少操作できるなら、使えることないと思うけど、そんな状況はないと思いたいけど、使う時が来るかもしれない。
なのでできる限り、傷の治りが遅くなるようなイメージをしつつ、また傷をつける。
すると、二回目にして効果が出た。一瞬、一瞬だけだが、傷の回復が遅くなった。これならもっと傷の再生を遅くすることができるかもしれない。
もっと強くイメージする。そして爪で傷をつける。すると、目に見えて傷の再生が遅くなった。
よし、多少の関与は可能なようだ。死んだフリに使えるかもしれない。再生の速度を速めるのは、元の速度が速すぎるから、よく分かんないんだよな。じゃあ、やめよう。
他にすることがない。やろうと思ったことが即座に終了していく。これほどまでにスムーズに進んだことがなかったから、やることがないなんてなかったからな。生前ではパソコンが俺の心の支えだったからな。ゲームも出来たし。
あの頃は楽しかった。いや、今も楽しいんだけど。異世界は楽しい。痛いこともあるけど。ていうか、今の所ほとんどが痛いんだけど。
どうしてこうも痛みを伴うことが多いんだろう。『自己再生』で治るんだけどさ。治るからって問題じゃないんだよ。
「はぁー」
ため息が出た。
今までの出来事を思い出して、だ。ひどい出来事しか起きてないと思って。まともじゃない経験をしたと思って。
………やっぱり暇だ。もう『身体強化』使って、一気に中心部まで行ってみようかな。
と思っていた時期が僕にもありました。
うざったい。視線がうざったい。
視線は村の中心部近くから。数は多いな。四人、か五人。さあ、どうやって炙り出そうかな。どう言う言い訳をするのか、楽しみだな。まずい、ニヤけてしまう。
さあて、どうしたものか。
「おおーい! 俺のこと見てる奴らー! 遠くから見てないで出てこいよ、つまんないだろ、そんなところじゃ!」
近づいてくる、気がする。どうしたもんか。めんどくさいな。
十分に近づくのを待っていると、予想はしていたが姿を現したのは猫人だった。
男か。
猫人の皆さんは今までそういうことしてこなかったから無警戒だったが、快く思っていない奴もいるはずだ。いないはずがない。
なんて要求してくるかな。
「よく俺のことを気づきましたね。さすがはB級冒険者を退けた人だ」
「お褒めにあずかり光栄だよ。そう思っているにしては遠くから観察とは、趣味が悪いんじゃない?それで、俺は何をすればいい」
「話が早くて助かります。今すぐにでもルナを、監視役から降ろしてください。あいつは落ちこぼれです」
「監視役がどうのこうのを決めるのは、俺だよ。それに俺が自分から指名した人選にケチつけるのはどうかと思いうよ。落ちこぼれ、ねぇ。俺はそうは思わないね」
あいつは落ちこぼれじゃないはずだ。
やることはやっている。頼りにもなる。子供からも好かれている。そんな奴が落ちこぼれなはずがない。俺は知っている、冒険者との戦闘で、心配と言わんばかりの視線を一番送ってくれたのはルナだ。人を心配できるやつだ。
俺に子供が何たるかを、昨日の夜に教えてくれた。教養のあるやつだ。良さの分かるやつだ。
俺はこの世界での基準を知らない。もしかしたら、ルナはこの世界では確かに落ちこぼれなのかもしれない。でも、それはあくまでもこの世界での基準だ。俺には関係ない。
俺が認めた、俺の監視役だ。ルナを馬鹿にするやつは、認めた俺を馬鹿にしたのと同じだ。通りはできた。
あいつを潰す、完璧に。立ち上がれないほどに、完璧に。
「ならば…俺と決闘していただきたい。俺が勝ったら、ルナを監視役から降ろしてもらいます」
「上等だ。俺が勝ったら、ルナに謝ってもらう。あと、俺に一生近寄るな。ルナにもだ」
「交渉成立だな。決闘を行い…ましょう」
話が早い。
そして、男の言葉が途中で一度止まったのはルナが現れたからだ。
続けざまに、俺を倒し、そのまま抑え出す。
馬乗りになり、肘のあたりを押さえつけられる。
「何をする。お前のために決闘をしよう、という話をしていたところだ。お前に止められる理由が分からない」
「うる…さい! 下手なことをするな! これは私の問題だ! イフリートは関係ない!」
「お前はいいのか、それで?見下されたままで?これ以上は他人であるはずの俺でも無視できない。死にたくなかったら腕を離せ」
「殺せないでしょ、龍人のイフリートには!」
「お前も俺を見下すのか。さすがにルナなら見下すことはないと思っていたんだけどなぁ」
言いつつ、感覚を集中させる。
痛覚を最低限にまで抑える。加えて『身体強化』を発動。抑えられた状態はそのまま、腹筋の要領で一気に起き上がる。押さえつけられる力が強すぎて、肘から血が出るが幸い今の俺にはプラスに働く。
血で滑って、拘束を振りほどくのが楽になる。それでも力はそのままなので、妙に滑って鈍い音を立てて、腕が折れた。
痛い。だが、そんなことは関係ない。
ルナの額に思いっきり自分の額をぶつける。俺の額の方が割れた。また痛い。それも関係ない。
額をぶつけたことで少しルナがのけぞった。その隙を見逃さず、横に抜け出す。そして、魔術を発動させる。
「『土縛・改』」
前回の『土縛』は地面に縛り付けるものだったので、今回は地面が動いて、立ったままでも拘束ができるようにした。その分、イメージに時間がかかるし、さらに魔力も必要になる。
魔術は本来、イメージを固めるまでの時間に少しずつ魔力を消費する。適性率も関係ないから俺も使えるわけだが、魔術のイメージの完成までに魔力が少しずつかかることが、俺が魔術を使える要因なのだが、俺は今回も魔術を使うためのイメージを固める時間が数秒しかなかった。
イメージを固める時間を短縮する術を俺は持っている。だが、脳への負担がおかしい。
今も鼻血が出た。脳への負担のせいですー。ルナと顔が急接近したからではありません。
手で拭き取る。
「さあ、邪魔もんは消えた。始めようか、決闘を。場所はここでいいか?」
「構いません。始めましょう」
「了解。じゃあ、『土場』」
コロシアムのような場所を土で形成する。
これで場所はできた、と。
「ルナ、合図を」
「……はじ、め」
「うぅぅおおおおおおおらあああっ!」
「……」
すぐに叫びながら、俺の方に走ってくる。
素直だな。負担がある分、間空けないと脳がやばいんだが、『自己再生』がどうにかすると信じる。一日しか空けてないのは初めてか。
やってやる。でも、ギリギリまで魔術は使わない。
相手は素手だ。だが、俺の今の体なら致命傷ができてもおかしくない。致命傷でも治る、という確信はあるが、痛いのは避けたい。
『身体強化』はまだ効果時間中。なら、回避!
大ぶりの右拳での攻撃を、割とギリギリで左に避ける。
あっぶね。ルナほどじゃないがこの速度は驚異的だ。強化系の技能覚えておいてよかった。
とりあえず回避を続ける。『身体強化』が切れたら、『血への渇望』でカバーする。
「逃げるなぁ!」
「いやだよ。俺当たったら、やばいからね」
冒険者の時と立場が逆だな。
そのまま回避を続けていたら、ちょっと余裕が出てきて周りを見てみた。
異様に人がいた。ルナもいた。しかし今戦っているやつの仲間だと思われるやつに捕まっていた。
それを見た瞬間に、怒りがこみ上げてきた。
あいつらは俺なんかに勝つためにそんなことをするのか。バカじゃねぇのか。
『技能『??』を技能『??』に一時的に変更します』
うっせぇ、バカが。ピーって音しか聞こえないんだよ。
ああ、うざい。うざいうざいうざいうざいうざいうざいうざいうざいうざいうざいうざいうざいうざいうざいうざいうざいうざいうざいうざいうざいうざいうざいうざいうざいうざいうざいうざいうざいうざいうざいうざいうざいうざいうざいうざいうざいうざい!
殺すか、殺そう。殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す。
ふぅー、はぁー。
憎い、ただただ憎い。うざったい。
なんで俺がこんなことしなきゃいけないんだよ。俺はこの世界で生きていければいいんだよ。なんで、なんでこんなことを。
休んでいたい。平和が欲しい。俺が何もしなくてもいい、そんな平和が、世界が。欲しい。俺が何もしなくても、なんでも手に入る世界が欲しい。
『条件を達成しました。魔人技能『憤怒』『怠惰』『強欲』を獲得しました』
うるさい、やっぱりうるさい。
気づかれないように攻撃を仕掛ける。それをするための属性は『風』だな。
「全員伏せろ、……『風刃・散』」
魔術を発動させる。
効果としては風の刃を散らばらせて放出する、というものだ。
敵に囲まれている状況では威力を十分に振るうが、一対一では大した威力は出ない。
だが、今回はルナを取り押さえているやつらにも攻撃を与える必要がある。なので相手のグルのやつらにも当たるように多少操作している。ゆえに伏せろと言った。まあ、グルのやつらが伏せても当たるようにはするが。
聞こえた全員が言われた通りに伏せた状況で、戦闘の中の相手には肩に当てて少し抉らせた。
他の奴らは腕が少し抉られるようにしておいた。
なんて喚くかな。楽しみだ。
「あああああああぁぁぁっ! 腕がぁ!俺の腕がぁっ!」
「うるせぇ、俺はそれより痛かったから。それくらいで喚くな」
グルのやつらも痛みにもがいている。
いい気味だ。これからどうしてやろうか。
爺さんも見ているだろうし、村の外に出てもらうかな。
ルナに土下座してもらうとか?ああ、それ楽しそう。いやー、悔しがるだろうなぁ。
「俺は、こんなところでぇ! ああああぁぁあ! 『大炎球』!」
魔術のようにイメージを固める時間がなかった。ということは魔法か。傷をつけた方の腕だ。狙いが定まらず、的外れの方向へ魔法が飛ぶ。魔法は、でかい炎の玉だ。名前からして『炎球』の進化版だろう。
そして、魔法が相手の腕から発射されてから、一瞬を置いて、気づいた。
ルナの方向に炎の玉が発射されたのだ。
『技能『身体強化』の効果時間が終了しました』
このタイミングでか!?
悪すぎる。なんてタイミングだ。なんて日だ!
クッソ、時間が足りない。爪で傷をつけて、出た血を舌で啜る。『血への渇望』でどうにかする以外にない。
間に合え! 間に合ってくれ! どうにか『大炎球』がルナに到達する直前で、到着した。
だが、この後は? 俺を盾にしてもいいが、それだけじゃ勢いが消せない。衝撃や炎がルナにまで届く。
あいつの魔法のどこかに弱点は、弱点はないのか?
観察するが、あるのは炎だけ。
炎、炎の何かないか、ないのか。弱点は……………水、水か? だが、水はあくまでも酸素をなくす手段の一つ。なら、風か?
クッソ! 悩んでてもめんどくさいだけだ。なら…炎で相殺する!
イメージしろ。炎炎炎炎炎炎炎炎炎炎!
その瞬間、語彙力が失せたのか知らないが、炎と一体化したような気分が訪れた。
髪からも炎が出た、気がする。
そして腕を交差してガードする。炎が…熱くない。まるで熱くない。熱が感じない。むしろ冷たいくらいだ。
魔法はすぐに消えた。そして、訪れた変化も消えていった。
「あああぁぁぁ! キッチィなぁ! もう無理だろ、戦うの! 割に合わない! 命かけた結果が女子一人救っただけかよ!」
愚痴を盛大にこぼす。
そして倒れこむ。大の字になった。
そして、我を思い出す。
「があっ! はあ……はあ……俺は、今まで何を? さっきの感覚は、一体。クッソ、怒りかなんかで我を忘れてたな。インターバルはもっと空けないとダメってことか。地球でもあんなことなかったんだけどな。ああ、そうだ。大丈夫か、ルナ? 怪我は?」
『技能『??』を技能『??』に戻します』
やっぱり、この頭の中に直接響いてくるみたいな感覚の、この声嫌だな。というか、ついさっきまで連呼しかしてなかった気がするな。
それにしても本当にさっきの感覚はなんだったんだろう。例えばなしとかそんな感じじゃなく本当に炎になったみたいだった。そして、炎の魔法の無効化。あの感覚を再現できれば、魔法を使えない俺でも、切り札として使える。というか、あれは魔術はなんだろうか。ずっと隠し玉使ってたから、よく分かんないな。隠し玉使えば、魔法も魔術も同じくらいの時間で発動できるからな。判別できない。
そして、隠し玉使いすぎたせいで鼻血がすごい。それだけなら『自己再生』でどうにかなるのだが、精神的に今はきつい。このままここで休むか。
「……俺の勝ちですね。イフリート様は場外だ」
「ああ、悪いがどうすれば勝ちとか言ってないからね、俺は。てか、観客に攻撃加えようとした時点でお前の負けだろ」
「なっ! それはないでしょう!」
「だって、言ってないのは本当だしー」
あいつ、絶句してやがんの! ああ、楽しー。やっぱ他人の不幸は蜜の味ってのは間違ってないね。
はあ、疲れたのは本当だし俺はもう寝るわ。
あれからさらに二日経った。
俺はその二日間、精神的にキツかったので寝込んでいた。状況は爺さんから起きた直後に聞いた。
俺に決闘を申し込んできた猫人の男は村から追放、グルだったやつらは謹慎通告だった。
はっはっは、ザマァ味噌汁。あっ、古かったですか。それならそれで大丈夫。学校では喋りかけられなかったのに、珍しく話しかけられたかと思えば、ジジ臭い、だそうです。傷つかなかったけどね。
ふぅー、楽しかった。二度言おう! 他人の不幸は蜜の味!
さて、と。この後どうしたものか。体はだるくない。というか元気すぎて困る。よし、実行に移す、か。一日だけだが、温めておいた作戦を。
「くそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそ! なんで俺が追放されなきゃいけないんだぁ! 俺は…俺は、あの子と。イフリート『ちゃん』と友達になって、関係を深めて、結婚して、楽しいこと、したいだけなのに。もう嫌だ。だめだ、この世界はだめだ、終わりだ。イフリートちゃんを救い出さないと!そして…犯さないと」
危険な思考を持って、危険な目標を達成せんと、狂人と化した猫人の少年が動き出した。
それを祝福するかのように、催促するかのように、そして導くように少年は一つの技能を獲得した。
『条件を達成しました。魔人技能『色欲』を獲得しました』
その言葉を聞き、猫人は大仰に手を広げ、高らかに笑った。
ここに魔王になれる素質を持った存在が、一人。
そして二日前に一人、合計二人、誕生した。




