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百三話 まさかの女体化

な、なんで………体が女になってるんだよ。

 確かに昨日、女にでもなってしまえば……みたいなことは思ったが、本気じゃなかったんだが。


「ど、どうしよう」

「とりあえず落ち着いて」


落ち着いてられるか! 男なのに! 女になってるんだぞ! しかも龍人の女じゃなくて、普通の女だぞ!

 おかしいだろ! どう考えてもおかしいだろ!


「部屋から出てるね」

「……お願いします」


どうすれば……いや、そもそもどうして女になってるんだよ!

 と、とりあえず服着よう。ん? なんで服脱いでたんだ? 俺、寝るときは服着てたと思うんだけどな。

 服を着た後、とりあえずこの状況を整理しようと思った。

 まず、俺は昨日女になれば、みたいなことを思って寝て、起きたら女の体になっていた。

 いやどういうことだよ!?


「はぁ」


ため息がこぼれたが、今はどうしようもない。

 ほとんど背は変わっていないが、何やら動きにくい。女の体になったからか。

 鏡で一回自分の体をちゃんと見るか。

 部屋を出ると、すぐそこで心配そうにリプロとリルファーがいた。


「大丈夫ですか主様?」

「司、大丈夫?」

「多分……とりあえず鏡で自分の体見てくる」


洗面台に行って、自分の顔を見てみるが、特に変わりない。

 顔は変わってないか。

 だが、体の方は………。


「変わってる。どう考えても女子のだ」


いや、俺はほとんど女子の体の作り分かってないけど。

 でも、男の体ではなく、今までの中性もしくは無性の体でもない。となれば、もう女の体以外にないだろ。

 はぁー、なんでこんなことに………。


「学校どうしよう…」

「あの……理由、話した方がいい、よね?」

「分かるの!?」

「う、うん。だからとりあえず前隠して」

「え、あ、ああ」


まさかリプロが理由を知ってるとは。

 というか知ってるのかもしれないけど、また言わないと思ってた。

 とりあえず服を着直す。


「今回は言うよ」

「ありがとう」

「あの……昨日今まで見えなかった神技能が解放されたでしょ?」

「うん」

「あの神技能、『神之怒』は私が君に憑依するためのものなんだけど……私が憑依するには女の体じゃないとダメなの」

「なんで?」


別にどっちでも良さそうなのに。


「私は女だからね。完全な憑依をするためには女の体じゃないとダメなんだ」

「神にも性別とかってあるんだ」

「あるよー。それで昨日『神之怒』が解放されたでしょ? だから私の憑依に必要な体である女の体に、司がなるようになっちゃったんだ。私が憑依した時に抵抗がないように癖をつけるためにね。多分月一くらいでなると思う」

「つまり?」

「私のせい」

「この神、許さん!」

「わー、ごめん! 完全に忘れてたんだよ!」


忘れるんじゃねぇ! 俺にとっては重要なことなんだけど!?

 おかしいだろ。起きたら女になってるとかホラーだからやめてくれ。


「いつ戻るの?」

「今日1日はそのまま」

「本当に早く言って欲しかった!」

「ごめんね?」

「もういいです」


今日学校どうしようかな。

 まあ行かないという選択肢はないんだけど。


「というわけで今日1日はそのままだから、頑張って」

「他人事だな!」

「ごめんね」


くそ、そろそろ向かわないと遅刻しちまう。

 部屋に戻って、制服を着てみる。

 ……………バレるか? いや、正直膨らみはほんの僅か。目に見えるような変化ではない。

 だが、客観的に見た時、どうなるのかは俺には分からない。


「どうしたもんか……」


ローブがあったら、なんの不安もなく行けたんだが、今は二年生に貸してるからな。

 うーん、他にローブの代わりになるようなものはないのか?


「主様、何してるんですか?」

「いや、ローブの代わりになりそうなものを探してる」

「確か貸してるんでしたか」

「そう。あっ、そうだリルファー。今の俺、どう見える?」

「えっ? 主様は主様ですけど?」

「そうじゃなくて、お前から見た俺は今女子に見えるか?」

「………………主様の元々の体型が女子寄りでしたし、そこまで違和感はないですね」

「それならいいんだけど」

「ただ、接触したりしたらバレると思います」

「んー、まあそれはないかな」


とりあえずこれで大丈夫だということが分かった。

 はぁ、これから月に一回、これが起きるってどういうことだよ。

 毎月最悪の事態に陥るってどんな悪夢だよ。


「はー、じゃあ行ってくるか。リルファー、送ってって」

「分かりました」

「あっ、私も行くよ」


リプロも? なんでだ?


「ちょっとこの国のトップと話したくてね。街までいいから送ってほしいんだ」

「何話すのかは気になるけど、とりあえずいいよ。リルファー、お願いできるか?」

「分かりました」


そんな不服そうな顔をするなよ。

 別にいいだろ。


「それでは行きますよ」

「ちょっと待て、旦那様。朝飯はいらないのか?」

「ごめん、今日はいい」

「はー、作ったこっちの身にもなってもらいたいものだ」

「申し訳ないです」


狼になったリルファーの背に乗って、街へ向かった。

 すぐに着いた。毎回お世話になってます。


「主様、本当に着いていかなくて大丈夫ですか?」

「大丈夫…………多分」

「私が途中までついてるし、学園に着けば、ルナとリエルがいるんでしょ。大丈夫だよ」

「むぅ、主様。困ったらすぐに呼んでくださいね」

「分かった」


リルファーと別れて、学園に向かう。

 今の所、人からの視線は特に気になっていない。体が女になったとは気づかれていない…かな。

 と思っていると、急に空から人が降ってきた。


「昨日顕現された『神種』ですね?」

「そろそろ来ると思ってたよ、『強欲』の魔王からの使者、ということでいいんだよね」

「その通りです。どうぞこちらへ」

「それじゃあ、つ……イフリート、またね」


俺は手を振って挨拶とした。

 もう街中だし喋れないんだよ、ごめん。

 俺はリプロと別れると、一人で学園に向かった。

 俺以外に生徒がいない。全員寮生活だから、皆寮から学園に行ってるんだろう。

 とりあえず学園に急ごう。



   ↓



 今日もちゃんと遅刻せずに来れた。良かった。


「イフリート、昨日は大丈夫だったか?」


フィンレー、別に大丈夫です。ご迷惑をおかけしてすいませんでした。

 結局昨日はフィンレーを守ってる『神種』が誰なのか、分からなかったな。


「とりあえず大丈夫だったっぽいな。お前の神様は…?」


まあ、その……気にするな。

 魔王様と話に行ったよ。


「なんかよく分からないが……もうそろそろ授業始まるな」


あー、割とギリギリだったのか。

 とりあえず授業に行くか。



   ↓



 はー、疲れた。今日は色々とあった。

 なんとか今日の俺の体は女であるということは隠し通せた。

 レイ先生の授業の時とかバレるかと思ったんだが、案外大丈夫なもんである。


「イフリート、そろそろ寮に戻ろうぜ」

「ちょっと待ったぁ! イフリート君は今日も私が預かるわ!」


今一番聞きたくない声の乱入である。

 また来たのか、エミリー。俺は今君に一番会いたくなかったよ。


「えぇっと……確か、エミリー王女……………………………ん? 王女?」


あっ、フィンレーがフリーズした。

 エミリーが王女であるという事実を理解したのか。


「な、なあ、イフリート。なんで王女がいるの?」


俺に聞かないでくれない?

 俺だってどうしてこの人がよく来るのかは分かんないんだから。

 とりあえず、今の俺の体は女。

 そしてエミリーが来たのだから、また服を着させられるんだろう。また脱がされるんだろう。

 バレる、逃げなきゃダメだ。

 魔術を使い、本気で逃亡を試みる。前は失敗したが、今度こそは…!


「イフリート君、逃げないの!」


出来かねます。

 ごめんなさい、今日は帰らせていただきます。


「逃げ切れるわけないのに逃げないの」


ですよねー、ステータス高すぎだろ。

 もう追いつかれた。

 だが、そこは想定済みだ。俺はすぐに魔術を逆方向に放ち、逆を突く。


「ちょっ!」


よし、上手くいった!

 あとは距離を詰められないように!

 魔力感知で校舎の道を把握して複雑な道を選ぶ。

 えぇと……この角を右に行って! そして真っ直ぐ! あと左に……


「ぃぃぃ!」

「この学校のことはあなた以上に分かってるから。先回りは簡単よ」


くそ、テンパっちまって先回り出来ない道を選ぶのを忘れてた。


「ほら、行くわよ」


ガシッと掴まれて、動けなくされた。

 あのー、拒否権の方は……、


「ちなみに拒否権はないから。強制だから」


さすがに分かりやすかったか。

 はぁ、こうなったら技能で重ねがけしようが逃げられない。

 あそこに行くのは諦めるしかないのか。いつものことではあるが。

 ため息しか出ない。



   ↓



 また来てしまったよ、この場所に。


「さあ、今日も色々と着てもらうわよ」


無理無理無理無理無理! 今日は無理! いつもだけど今日は一段と無理!

 俺は技能も使って全力で首を横に振る。


「…いつもより諦めが悪いわね」


そりゃそうだよ! 今までと状況が違うからな、割と劇的に!

 誰か助けて! 本当にお願い!

 部屋の扉が急に開いた。嘘だろ、俺の願いが通じた!?


「イフリートさん、大丈夫ですか!?」

「やっぱりここにいた」


ルナにリエル!

 ん? ルナにリエル?

 ちょっと待て、この二人だとむしろ悪ノリするのでは?

 ま、まあ、さすがにそんなことは!

 リエルが近づいてきて小声で、


「イフリートさん、そんな面白…ごほん!」

「今面白いって言ったよね?」

「言ってないですよ……とりあえずそんなことになってるなら早く言ってくださいよ!」


だって、言ったら面倒くさいことになるな、という直感があったもんだから。


「リエルさん、何かあったんですか?」

「えぇっと………実は、ですね。イフリートさん、おん」


俺はリエルの口を手で抑える。

 やめてください、それを言うのは! ダメダメ!

 それ言ったらエミリーが一層面倒臭くなるんだってば!

 ダメダメダメダメダメダメダメ!

 言っちゃダメだってば!


「イフリート君、何やら面白いことになってるみたいね。ほいっと」

「プハッ! すいません、エミリーさん。イフリートさん、今女の子になっちゃってまして、ちょっとおかしくなってます」

「…………………え? 女の子? 今?」


言っちまったぁ!

 もう終わりだ。俺の元から楽しみでも何でもなかった学園生活が終わりを告げた。

 魔王様に言って、この学園を退学にしてもらおう。


「ちょっと待って、本当に? ごめんね、イフリート君。確認させて?」

「嫌です、無理です、ダメです」

「じゃあ強制で」


あー、いつものパターンだ。

 服ひん剥かれた。


「鱗がない。よく見れば角もないわね。本当に女の子なのね、今」

「そうなんですよ! 私もちゃんと見るのは初めてですけど」

「白い肌、きめ細かいし、とっても綺麗」


そんなこと言われましても。

 ただひたすらに恥ずかしいだけですので、やめてください。

 なんで風呂以外で何度も全裸になる日があるんだ。


「とりあえずイフリート君が本当は女だったっていうことも分かったし」

「違います、俺は男です!」

「はいはい、そうね。それじゃあ色々と着てもらうからね」


地獄の始まりである。

 いつもよりエミリーの視線が痛い気がする。

 そして、今までより服が女っぽい。今まではもしかして手加減した服選びをしてくれていたのか?

 現在は本気である。仮面も問答無用で外されたし。

 いや、やめてくれ! 本気出すのとか。


「いくらなんでもこれ以上はやめろ!」

「えっ、でもまだまだあるんだけど?」

「俺はもう寮に戻る!」


今、普通にドレスみたいな服着てるけれども!

 もう知ったことではない!

 部屋から出る。

 すると、


「まだ着て行ってよ!」

「うわっ、嫌です!」


追ってきた。

 ホラーかよ。

 俺は動きにくい服装のまま、魔術で加速。

 もう一度逃亡を試みた。

 が、もちろんステータスで勝っているエミリーは普通についてくる。

 くそ、とにかく逃げるんだ! 魔力感知も使って、今度は先回り出来ない道を選んで逃げるぞ!

 あれ、この反応は………。もしかしてあの人たちのところに行けば助かるかもしれん!

 進路変更! こっち!


「ん? 何やら変な物体が………」

「そっすね。何すかね、あれ?」

「ちょっと匿うか、助けるかしてください!」


頼ったのは生徒会の人たち。

 入学式の時に助けてもらったメガネ先輩もいるし、これなら大丈夫か。


「その目が痛くなる髪色、もしかして入学式の時の…」

「そうです、そうです! ちょっと助けてください!」


学園案内の時に案内してくれた三年生の先輩も言ってたからな。頼りにさせてもらおう。


「あれ? 先輩、この服、エミリーさんのじゃないっすか?」

「む、確かにそうだな。となるとお前が逃げているのは…」


は! 近づいてきた!

 俺は素早くメガネ先輩の後ろに隠れる。


「イフリート君! 待って! って、あら?」

「おお、これはこれはエミリー王女ではないか。何か用かね?」

「そちらこそ生徒会副会長じゃないの。久しぶりね」

「こちらこそ、お久しぶりです」


何かちょっと危ない感じ出てるけど気にしないぞ。

 頑張ってくれ、メガネ先輩!

我ながらちょっとおかしい気がしないでもない。

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