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百一話 降神

百話記念みたいなのはやりません。書いてないから、というか書くの忘れてたから。楽しみにしてる人いたらごめんなさい。

あの後、トボトボと寮へ戻り、ふて寝して1日を終えた。

 起きたら朝だった。


「おお、イフリート。起きたか、昨日はどうしたんだ?」


フィンレー、迷惑をかけて申し訳ない。

 が、まだ俺の気分は晴れていない。


「大丈夫かよ………怪我とかするなよ?」


おう、任せろ。怪我してもすぐ治るから。



   ↓



授業中も上の空だった。

 はぁ。

 ため息しか出ない。


「おい、イフリート! お前もうちょっと集中しろよ」


すいません、レイ先生。

 でも俺は多分あなたが思ってるより深刻な悩みを抱えてるよ。


「だんまりかよ。まあいい。やるだけやれよ?」


それくらいはしますよ。


「あと、今日放課後職員室来い」


えー。


「今不満をたらそうとしたことは分かったぞ。とりあえず来い。必要なことだからな」


何かよく分からないが、とりあえず行かないとダメか。



    ↓



 放課後、職員室に来ると、ルナとリエルもいた。

 昨日のこともあって二人とも少し俺と顔を合わせづらそうだ。

 俺は別にお前らには怒ってないから安心していいぞ。


「よーし、揃ったな……って一人忘れてた。フィンレーのやつまだ来てないのか」


フィンレーもいないとダメなのか?

 一体何するんだよ。

 ルナとリエルもよく分かってなさそうだしなぁ。


「す、すいません! 遅くなりました!」

「遅いぞフィンレー。これで全員揃ったか。それじゃ行くぞ」


結局説明してくれないのかよ。

 レイ先生についていくと、学校を出た。そして街の中心辺りに向かい、教会に辿り着いた。

 教会になんて来て、一体何するんだ? 全く予想ができないんだが。

 あれ、フィンレーは何か分かってる風だな。聞いてみるか、ってできないんだった。


「ここでちょっと待ってろ」


そう言うと、レイ先生は教会の中に入っていった。

 しばらくすると、女の人を連れて戻ってきた。


「こいつは……まあ、俺の元同僚だな。今はここでシスターやってる」

「どうも。レイがお世話になっています」

「そう言うのはいいんだよ」


何か夫婦みたいだな。夫婦が何かもよく知らないけど。


「リリーです。シスター・リリー。よろしくお願いします。『猫人』ルナさん、『森人』リエルさん、『人種』フィンレー君」


リリーさんがこっちを向いて、少し微笑んだ。


「そして、『龍人』イフリート君」


どうぞよろしくお願いします。何するのか聞いてないんだけどな。


「どうぞ入ってください」


言われた通りに入ると、そこにはおおよそ教会としての設備が整った空間があった。

 ただ一つ、奥にある怪しい光を放つ円卓のみ。クリスタルか何かでできてるのか?


「まあ、全員見るのは初めてだろ。これは降神板だ」


こーしんばん?

 俺には全く分からないが、ルナとリエルはどうだ?

 あっ、全く分からないって顔してる。


「あなたたちには今からあなたたちを見守ってくださっている神の姿を、自分の魔力を通して見てもらいます」

「そして、あわよくば加護を頂こうって話だ。本来なら、10歳になった時に行うんだが、お前ら全員ちょっと特殊だからな。今ここで行うってわけだ」


神に加護を貰う………あれ、俺持ってるけど。

 ということはしなくてもいいのでは?


「神様の姿って見えるの?」


ルナが不思議そうに質問した。

 まあ、確かにそうだな。


「はい、見えます。あなたたちが使っている魔力、つまり体力には少なからず『神種』の力が流れています。それを増幅させ、その『神種』の姿を見るための道具なんです。この降神板は」


そんなんで見えるもんなのか?


「まあ、疑問はあるだろうが、とりあえずやってみろ。そうだな、最初は一番肝っ玉太そうなルナでいいだろ」

「はい」


ルナが降神板の前に立つ。

 が、ここからどうすればいいのか分からないようで、戸惑っていた。


「魔力を流してください」


言われた通り、ルナが降神板に手をかざし、魔力を注ぐ。

 すると、降神板が光り輝き、何かを映し出す。


『お呼びかしら? 私の可愛い子』


虎を従えた、露出度高い服着た白髪のお姉さんだった。

 俺はすぐに視線を反らす。


『あら、他に可愛い子もいるみたいね…………って分かってるわよ。それで、呼び出したってことは加護が欲しいの?』

「欲しい。私はもっと強くなりたい」

『私の名前も聞かないなんて、せっかちな子ね。可愛い可愛い』

「茶化さないで!」

『別に茶化したつもりはないのだけどね。あなたがどれだけ強さを欲しているのかは知っているつもりよ』

「それなら!」

『あなたは急ぎすぎなのよ。もう少しゆとりを持ったら?』

「そんなわけには……いかない」

『ふーん……………そうねぇ。そこのあなた』

「は、はい!」


リリーさんが呼ばれた。

 先ほどまでの優しげな雰囲気が嘘のように、緊張していた。

 それだけ『神種』への尊敬が深いのか、それとも『神種』ってのは怒らせると怖いのか。まあ、両方だろうな。


『私とこの子だけで話せるようにできるかしら?』

「ま、任せてください!」


何やらブツブツ言った後、結界のようなものが展開された。

 あれ、声が聞こえなくなった。そういう結界だったのか。


「時間かかりそうだな。全員が終わったら言ってくれ。俺は外出てる」


こいつ、本当に教師かよ。

 生徒ほっぽり出して教会出てっちゃったよ。

 ルナはというと、たまに赤くなったり、焦ったような表情をしたりしていた。

 『神種』の方は、終始ニヤニヤしていた。

 一体どんな話してるのやら。

 10分くらい経った時に、結界が解かれた。


『話は終わったわ。ルナに加護をあげることにするわ』

「良かったですね、ルナさん!」

「うん」


俺もおめでとうとか言いたいんだけど言えない。


『言い忘れてたけど、私は『猫人』を司る『神種』、『猫神』のキャストルよ。よろしくね、イフリート君』


ん? なんで俺にそんなこと言うんだ?

 特に関係性もないと思うんだけど。


『さて、それじゃあルナに加護あげましょうか。えい! はい、終わりね』

「もう終わり?」

『そうよ、それじゃあ私はこれで。じゃあね』


パッとキャストル様(便宜上様をつけることにする)が消え失せた。

 ルナ含め、全員がポカーンとする中、リリーさんが咳払いをして、


「それじゃあ次はリエルさんね」

「は、はい」


リエルが降神板に魔力を流す。

 すると、また光り、何かを映し出した。


『お呼びですか、お姉様!』


まあ、そりゃエルフが出るよな。

 リエルも想像していたようで、特に驚かずに、


「加護が欲しいのですが……」

『加護ですか? もう差し上げてますけど?』

「えっ、そうなんですか?」

『あげたじゃないですか! お姉様は『森神』になれるんです!』

「そういえばそうですね」

『と、いうわけでもう終わりですか? それなら帰ります』


そうして、エルフは消えた。

 嵐のようだったな。


「さて、それでは次にイフリート君、お願いします」


あれ、俺なのか?

 フィンレーは最後なのか。それだけすごい『神種』が見守ってるってことなのか?

 とりあえず俺の番だな。降神板の前に立ち、魔力を流す。

 あれ? 何も起きないな? 『自己再生』が間に合う限り、魔力をひたすら込めてみるか。

 ……………………………………………む、まだいるのか。いったいどれだけ必要なんだ?


「あ、あの……それ以上はいらないかと」


でも、まだ『神種』出てきてないぞ? ってことはまだ必要ってことじゃないのか?

 考えてる間にも魔力を流していると、遂に降神板が光った。

 が、前の二人とは様子が違う。

 なんかシルエットが今までよりしっかり見えるというか。映し出されてる感じとは違う気が……。


「! イフリート下がって!」


ルナが叫んだ。どうしたんだ急に?

 別に危ないことなんてないだろ。


「イフリートぉ!」

「へ?」


降神板から誰かが出てきて、俺に抱きついてきた。

 勢いがすごくて、教会の壁まで吹っ飛ばされる。

 ぐおおぉぉ……痛ぁ!

 一体誰が!?


「また会えた……また!」


抱きついてきた奴を見ると、少女がいた。

 顔は整っていて、金髪。なにやらひらひらしたワンピースみたいなの着てる。

 なんだろう………どこかで見たことある気がしなくもない…ような?


「むぅ、この仮面邪魔! 外すよ?」


ちょっ、え?

 少女は仮面を掴むと、強引に取ろうとした。

 けどこの仮面は外れない!


「よいしょっと」


えっ、嘘!? なんでそんな簡単に外れるの!?


「へぇ、魔力でくっついてるんだ。ごめんね、私『神種』だから」


か、神!?

 えっ、でも降神板って『神種』の姿を見れるだけじゃないのか!?


「『神種』を顕現させた!? 嘘、どれだけ膨大な魔力が必要だと思ってるの!?」


リリーさんが何か言っている。

 確かに魔力はたくさん込めたけど……でも、ブラクに神器って言われた剣を作ったときくらいしか魔力込めてないぞ? そんなもんで『神種』って顕現できるの?


「私の方からも魔力を準備しておいたからね。イフリートの方からはそこまで魔力を込めなくても大丈夫なの」


な、なるほど? っていうか今の口調からして俺が教会で降神板を使うって分かってたのか?

 そんなことを考える俺の不意を突く形で、唇が何かで塞がれた。

 ………………………………………………………………………………………へ?

 目の前に少女の顔が至近距離である。

 えっ、ってことはこれ……キs、いやいやいやいや! そんなはずないだろ! 『神種』だぞ!? そんなはずがない。

 そう結論づけた俺を嘲笑うかのように、少女が離れた。その時唇に柔らかい感触がして俺は今まで頑張っていた現実逃避が砕け散った。


「ふふん、私が初めてだね」


俺は現実を受け入れるまでに時間を要し、そして理解すると同時に倒れた。


「ちょちょちょ! そんな嫌だったの!?」

「イフリート!」

「イフリートさん!」

「大丈夫かよ!?」


自分で言うのもなんだけど、俺まだそういうの早いと思うんだ。

 はぁ、少し落ち着いた。

 起き上がると、ため息が漏れた。


「いくらなんでも酷くない!?」

「無理矢理しておいて何言ってるんですか!」

「それは………確かに悪かったけど」


いいぞ、リエルもっとやれ。


「み、皆さん! 『神種』に対してなんて無礼なことを! 申し訳ございません、神よ!」

「い、いや大丈夫。私も非はあるしね。さて、イフリート。私を呼んだんだもの。用があるのよね?」

「もう、大丈夫です」


なんか流されてここまで来ちゃったけど、特に用ないしなぁ。


「そう言わずにぃ! 私の加護ならあげるから!」


そんな簡単にあげていいものじゃないと思うんだけど。

 少女は俺に近づいてくると、耳打ちしてきた。


「イフリート、ううん。司にならいくらでもあげるから」


俺は本能的に離れる。

 俺の前世の名前………なんで知ってるんだ!?

 この少女、危険かもしれない。


「そんなに避けられると、悲しくなるよ」


ただの少女みたいだが、さっき自分で『神種』って言ってたんだから『神種』だろ。

 油断できない。


「司を転生させたのも、その体にしたのも私なのに」


は? それって…………。


「おっ、興味出てきた? それじゃあもうちょっと真面目に話してくれる?」


俺は首を縦に振る。


「良かったぁ。わざわざ顕現までしたのにちゃんと話せなかったら更に悲しくなるところだったよ」


少女は俺の方を見ながら、


「私は『再現神』。『再現』という概念を司る『神種』。名をリプロ。よろしくね」


リプロと名乗った少女は優しく微笑んだ。

 近い。めちゃめちゃ近い。

 そして、その、あの………キス、されたことを意識してしまって………あぅ。

 倒れた。


「わわっと!」

「イフリート、大丈夫!?」

「イフリートさん!」

「し、シスター・リリー!」

「あわわわ、どうしましょう!?」

「へー、なかなか面白い事になってるな」


レイ先生、戻ってきたのか。


「面白がってないで! 手伝ってください」

「分かってるよ」

「ごめんねぇ、私のせいで」


まさか2日連続で倒れるなんて。

 不甲斐ない。

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