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愛しい君へ。  作者: 紫染-シゾメ-
8/9

全て

___なんて、すべて嘘だったというのに。




やっと手に入れた。

やっとこの手で。


僕は君を助けるために生まれた人格。



・・・どうしてなんだろう。




なんで君がそこにいるの?

どうして何も出来ない君がその身体で動いているの?


僕は、君の為の人格なんかじゃない。

僕は主人格になるべくして生まれたはずだ。


父さんと母さんが死んだから僕が生まれた?

違う。僕は父さんと母さんが死ぬ前からいた。

この身体は僕が使う。


僕が人格として生まれた時から、僕は霊体のようなものを手に入れていた。

一番この身体を有効活用できる僕がこの身体を手に入れる為のいい事を思いついた。


もとより邪魔だった(人格)を消す方法。


僕は君以外には見えていなかった。

だから、僕は君に積極的に話しかけるようにした。


案の定、学校の人たちはそれを気味悪がって、君を遠ざけるようになった。

無視や暴力が行われるようになった。


もっとも、暴力は僕が事前に止めていたけど。

だって身体が僕のものになった時に傷だらけは嫌だから。


でも君は勘違いをしてくれた。


僕が君を助けていると思い始めた。

それに乗ってあげよう。


だって君を愛しているから(全ては僕の為だから)



しばらくして、君は僕に依存するようになった。

これはきっと思い違いではないだろう。


味方がいないこの環境下で、僕だけが君の味方でいた。

ずっと、全てを君から奪うために。


・・・・・・全てをこの身体から奪ったら、僕が困るだろうなんて過ぎた心配事はもとより無い。


僕は、人から好かれる術を知っている。


人間は人が変われば近付いてくる。

人間はその人の第一印象で物事を決めたりもするが、話しかけてみると違った、なんてことあるだろう?


君を僕としか喋らせない。

君は周りが全て敵だと思い始めると止まらない。

僕は後押ししただけ。


そんな君を助けようなどと話しかけてきた人はいたが

、僕に話しかける君を目の当たりにして、気味悪がったのか近寄らなくなった。


君は僕の事を愛しく感じていたのだろう。

人格に愛されるなんて変わっているが、これも計画の内。

少しの優しい言葉、優しい声でかければ君は言うことを聞く。


「僕は居なくならないよ」


そんな事を言って、君を消す為に。


僕の計画は終わりを迎えようとしていた。

最後は少し背中を押すだけ。

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