ナイトメア
夢の中で知らない人と会った事はあるだろうか。
ある、と答える人の方が多いだろう。
しかしそれは覚えていないだけだったり、いろんな人が混ざったものだったりする。
ナイトメア、それは悪夢。恐ろしい夢。
怖い何かから逃げる者もいるだろう。
高い場所から落ちる者もいるだろう。
殺されるという者もいるかもしれない。
昔の恐怖が蘇る者もいるだろう。
繰り返す悪夢、うなされて起きたら汗をびっしょりかいていた。そんな事もあるだろう。
夢の中で痛みを感じた事もあるだろう。
夢の中で臭いを感じた事もあるだろう。
夢の中で味を感じた事もあるだろう。
しかし、夢の中で死んだからといって実際に死んだ者はいない。
脳の引き出しに「死んだ時」の情報が無いからだ。
キャパシティーを越えれば起きてしまう。
仮死、臨死、そんな経験をした者も完全な死は理解できない。
自分の記憶の引き出しに「それ」が無い。
記憶の水底まで探しても「自分の」それが無い。
もう一度聞きたい。
夢の中で知らない人と会った事はあるだろうか。
あるいは顔の無い人と、あるいは仮面を付けた人と。
本当に知らない人、脳の引き出しのどこにもいない人と出会ったら気を付けて欲しい。
それは、あなたの「外部」から情報をもたらす者であるからだ。
もう一度聞きたい。
夢の中で知らない人と会った事はあるだろうか。
今、あなたは本当に起きているだろうか。
私は、あなたの知っている人だろうか。