白神祭中層⑩
二問目にしてとてつもない難問ではあるが、不意に思い出したのはシロさんとデートをした際と六王祭の開催式に関してだ。
というのも当初に俺とシロさんがデートした際に、リリアさんの屋敷の前に居たのは全神族だと思い込んでいたのだが、六王祭の開催式で見た神族はもっと多かった。
六王祭の時はシロさんが神族を全員同行者として連れてきたという話だったし、たぶん開催式で見たのが総数だろう。
その上であのデートの際に見たのは、リリアさんから庭を借りたクロノアさんがある程度配慮して人数を絞った上での集合だと考えれば、その選定をどこで区切るか……もし、仮に上級神と下級神で分けたのだとしたら……あの時リリアさんの屋敷の庭に集合していたのが、上級神ではないのだろうか?
推測の域は出ないが、そうだとすると……あの時の人数は大体200人ぐらいだったと思う。よし、ほかに判断材料もないし、2を選ぼう。
『正解は……2です! 神族は下級神が800、上級神が200、最高神が3という形になります』
お、やった! 正解だ。判断材料があった分だけ他よりも有利だったのかもしれない。というか、神界の情報はそれほど知られていないわけだし、もしかして俺は割と有利なのかもしれない。
シロさんやフェイトさんとの話でいろいろ聞く機会もあるし……。
『では第三問目……最高神様は、シャローヴァナル様に創造された際に権能と名前以外にもうひとつ、あるものを下賜されています。それはなんでしょう? 1神殿、2聖典、3神衣、4なにも下賜されていない……制限時間は同じく2分です』
あっ、これもわかる。前にフェイトさんとデートした時に聞いた覚えがある。3の神衣だ。3の場所に移動しつつ周囲を見て見ると……1を選んでる人が多い気がした。上層に最高神の神殿があるのでそう思う人も多いのかもしれない。
これ、結構ガッツリ減るかもしれないな……。
『そこまで! では正解は……3の神衣です! 最高神様は創造された際に、シャローヴァナル様の衣服を模した神衣を特別に下賜されています。おや、今回でかなり人数が減りましたね』
そう言いつつ司会の神族は、わきに置いてあった箱に手を入れる。最初は気付かなかったが、あそこからクイズの書かれた紙を引いて出題しているみたいだ。
その後も問題は進んでいき、9問を終えた時点で、20人ほどになっていた。リリアさんたちは……残念ながら途中で外れてしまったのか、一緒に参加したメンバーの中で残っているのは俺だけである。
残っている人のうち半分ぐらいは物凄くガチっぽい神官とか、高位魔族っぽい人もいて、見た目の雰囲気だと割と俺は場違いのような気もする。
『そろそろ決まりそうですね。それでは、第十問目……おっと、コレは超難問です。果たして最高神様でも、正しい答えを知っているのか……』
それはまた、勝負が決まるかという場面でとてつもない難問である。う~ん、ここまで残ったのだから、なんとか最後まで残りたいものだが……そんなに難問というのなら、難しいかもしれない。
『では第十問! 神域に咲く花の種類は現在何種類でしょうか! 1《18種類》、2《32種類》、3《61種類》、4《86種類》……制限時間は2分です。これは、神族でもあてずっぽうで答えるしかないほどの難問なので、外れても恥ではありませんよ』
……正解は4じゃねぇか……少し前にシロさん本人から聞いたばっかりである。
高難易度と聞いて意気込んだわりには、なんというか変な気分である。いや、でも、たしかに最高神でさえ許可なく立ち入れない神域に関する問題は、神族でも分からない超高難易度問題で間違いないのだろう。
なんとも言えない気持ちになりつつ周囲に視線を動かし、他の人たちが動き出すのと同時に俺は4に移動した。
『そこまで! 割れましたね。人数を見る限りこれで決まりそうです。では、正解は……4! 86種類です!! 正解は……6名ですね! おめでとうございます!』
俺と同じ4にいた人たちが、正解を聞いて喜びの感情を爆発させる。これで景品が貰えるのは確定であり、あとは順番だけである。
景品を受け取って、皆の元に戻る。
「おかえりなさい。カイトさん、流石ですね」
「ありがとうございます。たまたま知ってる問題が多かっただけですよ」
微笑みながら迎えてくれたリリアさんと軽く言葉を交わす。
「まぁ、最後にミヤマ様が残った時点でくじで1番を引くのは分かり切っていましたが、結局景品はなにを選んだんですか?」
「スカイさんが言っていた永久の花ですね。植木鉢にでも入れて部屋に飾ろうかと思ってます」
そう、あのあとくじの結果俺が最初に景品を選ぶことになったので、永久の花を選んだ。グロリアスティーは、シロさんに貰った減ると勝手に補充される瓶があるし、シャロ―グランデに関しても美味しかったと感想を伝えた際に、シロさんがいっぱいくれたのでたくさんある。
それ以外の景品もこれというものは無かったので、永久の花を選んだわけだ。とりあえずマジックボックスにしまっておいて、どこに飾るかはあとで考えよう。
シリアス先輩「よくよく考えてみれば必然か……」
???「まぁ、最高神と創造神が恋人で、結構な頻度で神界にも訪れているカイトさん以上に神界に詳しい人なんて、そうそういませんからね。特に今回は一般にはあまり知られていない問題が多かったわけですし、その辺は有利ですね」




