白神祭中層⑦
キャラウェイの話を聞いたあと、リリアさんたちを待たせていることを思い出して、アハトとエヴァに一言断ってからリリアさんたちの元に戻る。
軽くショッピングのあとは景色などを楽しめる場所ということでスカイさんに案内されたのは、ひらけた場所に観覧車のゴンドラのようなものが置いてある場所だった。
「ここは空中に浮かぶゴンドラに乗って神界の景色を眺めることができる場所です。中層と下層の景色をお楽しみいただけますし、今回の祭りに合わせて景観なども調整しています」
「それはまた凄そうですね」
「私、こういうの好きです! 前に飛竜便に乗った時のことを思い出しますね!」
スカイさんの説明に陽菜ちゃんが非常に嬉しそうな表情を浮かべる。たしかに、イメージとしては前に乗った飛竜便が近いかもしれない。
これは、陽菜ちゃんの言う通りかなり楽しそうだ。神界は形が綺麗に整っているので上空から見るとかなり綺麗だと思う。
しかし、やはりというべきかかなりの人がいる。神界の景色を見る機会なんて本来はそうそうないのだし、当然と言えば当然だ。
普通であればそこそこの時間並ぶことになりそうなものだが……シロさんの祝福を受けた俺とクロノアさんの祝福を受けたリリアさんが居る以上、そういう展開にならないのは分かっている。
案の定通常の列とは別の場所に案内され、明らかに俺たちように確保しておいたであろうゴンドラが用意された。
「……なんか、他のゴンドラより大きいですね」
「ええ、通常のゴンドラは6人乗りでして、ミヤマさんたちが全員一緒に乗ることは難しいので、全員で乗れるサイズのものを用意させてもらいました」
「なるほど、それは凄くありがたいです。もしかしてですけど、先にショッピングにいったのは……」
「ええ、元々通常のものでは足りないとは考えていましたが、正確な人数が分からなかったので、人数を確認後にご用意させてもらったので、少し後回しにしました」
やっぱり、スカイさんって相当有能な気がする。中層で俺たちの人数を確認しつつ、おそらく移動しながらゴンドラの調整を指示して、自然に完了したタイミングで来られるように間にショッピングを挟む。
ライフさんの直属って言ってたし、やっぱりかなり上級神としても高い地位に居たりするのかな?
「……スカイさんって、上級神の中でも結構上の方の立場なんですか?」
なんとなく気になったので、順番にゴンドラに乗りつつ尋ねてみる。
「上級神の中で言うのなら、いちおう上から2番目になりますね。私のひとつ上に災厄神が居て、私の一つ下に時空神様の直属である閃光神が居る形ですね」
「なるほど……ちなみに、その直属とかってなにかしら決まる法則があったりするんですか?」
なんの気なしに尋ねてみると、他の皆も気になるのかこちらに視線を向けているのが見えた。
「いくつかありますが、大きいのは権能の系統ですね」
「系統?」
「はい。例えば時空神様の権能はできることは絞られますが、その効果自体は絶大な……特化型と言えるものです。対して生命神様の権能は、生命にかかわるものであれば権能の範囲内であり、出来ることが非常に多い複合型といえます」
つまるところ、例えばクロノアさんの時の権能は、時間の停止や加速といった出来ることは限られるが、その効果は非常に強く、オンリーワン的なもの。
ライフさんの生命の権能は、身体能力の強化、回復や蘇生、生命の創造など出来ることは非常に多いが、他の……例えば上級神の権能とかでも似たようなことができるものもあるってイメージかな?
「……フェイトさんは?」
「運命神様の権能は少し特殊で、概念型というべきものですね。権能を三種類に分別するなら、この概念型が最も強力だと言われています。まぁ、下級神の権能などになると本当に多種多様で分類が難しいものもありますので、あくまで大雑把な傾向といった感じですね」
「その基準で言うと、スカイさんの権能はライフさんみたいな、出来ることの多い複合型ってことですか?」
「はい。私の天空の権能は、空に関わることなら基本的になんでもできると思ってくだされば結構です。飛行能力や天候の操作もそうですし、空にいるだけで能力も上昇したりします」
それはまたすごい権能だ。空中にいる間は常にバフがかかっており、空に関連することならなんでもできる。雲を自在に動かしたり、雷や風を操ったりも出来るんじゃないかな?
「それはかなり凄い権能ですね」
「いえ、なんといってもミヤマさんのシャローヴァナル様の権能には遠く及びませんよ。シャローヴァナル様の祝福は世界の祝福ですから、ミヤマさんは言うならばこの世界に居るだけで強力な補正がかかっているようなものですしね」
「……バフかかってる割に、俺弱いんですけど……」
「……その、基礎能力を上昇させるものなので、基礎能力が上がれば……補正も大きくなったりとか……するんじゃないでしょうか? 伸びしろがとても大きいということだと思いますよ!」
……俺の素の能力が壊滅的で、バフが大きかろうがあまり意味をなしていないみたいだが、そんな弱小に対しても優しいフォローを入れてくれるとか……スカイさんって滅茶苦茶いい人である。
シリアス先輩「えっと……この話が993話かな?」
???「ですね1000話まであと一週間ですね」
シリアス先輩「……毎日更新が継続した場合は、ね」




