開催告知
その日屋敷内はとある話題で持ちきりだった。いや、屋敷内だけではないだろう、おそらく世界各地で同様の内容について盛り上がっているはずだ。
というのもついに神界主催で行われる初めての祭りの詳細が発表されたのだ。
俺はシロさんやフェイトさんから聞いていて、リリアさんもクロノアさんから相談を受けたりしていたみたいなのでそういうお祭りの企画が進行しているとは知っていた。
だがまだ詳細までは知らなかったのだが、今回の発表と共にクロノアさんが詳細を書いた案内を持ってきてくれた。
祭りの名前は『白神祭』。これはおそらくというか、間違いなくシロさんを示す名前だろう。ただ、今回はシロさんが企画運営する祭りではなく、あくまで三人の最高神が主催する祭りであるため、創造神という直接的にシロさんを示す言葉は使わなかったのだろう。
ただやはり神族にとって冠とすべき存在はシロさんを置いて他には無いので、シロさんをイメージできる名前を付けたのではないかと思っている。
開催日は天の月1日目、今後も勇者祭が無い年の同日に継続して開催していく方針とのことだ。比較対象として思い浮かぶ魔界の祭り六王祭と比べると、六王祭が七日間かけて行われたのに対し、こちらは一日のみの開催ということだ。
普段は訪れることが非常に難しい神界の中層が解放されて会場となるので、話題性もかなり強い。
「……入場制限は、無し……これはかなりの人数が集まりそうですね」
リリアさん、ルナさん、ジークさん、陽菜ちゃん、葵ちゃん、アニマにイータとシータといった屋敷メンバーで案内を見ていると、ルナさんが案内の一文を見て呟いた。
そう、六王祭では初開催の時は招待制で招待客かその同行者しか参加できなかったが、今回の白神祭では特にそう言った制限はなく、自由に参加できる。
「メインとなるのは中層みたいですが、下層も解放されるみたいなのである程度は混雑も緩和されそうですね」
「……下層には申し込みを行えば一般人も店を出すことができるって、なんだか賑やかになりそうですね!」
葵ちゃんと陽菜ちゃんも案内を見ながら、開催が待ちどおしそうな表情を浮かべていた。
そう、白神祭のメイン会場は神界の中層ではあるが、そこ以外にも下層も丸ごと解放されて、そちらには事前に申請することで出店などを出すことができる。
この白神祭への注目は凄まじいものがあるだろうし、売り上げも期待できる以上応募も凄いことになりそうな気がする。
「……中層は凄いですね。個数限定でグロリアスティーやシャロ―グランデまで販売されるとは……それに聞き覚えのない特産品も多数、凄まじいですね」
ジークさんの驚愕したような言葉に、他の面々も頷く。
中層は完全に神族が取り仕切る祭りであり、様々な行事が予定されているが、それ以外にも神界のみにしかない食べ物や飲み物の販売もある。
俺も聞き覚えがあるグロリアスティーやシャローグランデだけでなく、良心的な価格設定の食品もあるみたいで、これは欲しがる人は絶対に多いと思う。
ただやはり神界主催の祭りだけあって、神族らしい催しも存在している。例えば、中層に仮設された神殿で、正しい祈りの所作を教わって、お祈りを行うこともできるみたいだ。
ただこちらは人数に制限があり完全予約制で、事前の申し込みが必須である。
「このお祈りって、予約制になってますが……やっぱり、無制限だと問題があるってことですかね?」
「おそらく、無制限にしてしまうと神殿に入りきらない程の人が押し寄せるかと……なにせ、シャローヴァナル様のお膝元で祈りを捧げられる機会などまずありませんし……」
俺の疑問にリリアさんが答えてくれた。なるほど、たしかに神界の中層となれば、人界などで祈るよりシロさんの住む神域が近いわけだし、お祈りしたいという人も多いだろう。
特に神官だとか信心深い人はなんとしてでも予約を勝ち取りたいだろうし、倍率は凄いことになりそうな気がする。
「……そういえば、ご主人様は我々と一緒に回っても大丈夫なのでしょうか? シャローヴァナル様から神域に招かれる可能性もあるのでは?」
「あぁ、それに関してはさっきシロさんから連絡を貰って、18時に招待したいからそれ以降の予定はあけておいて欲しいって言われたよ。それまでは、自由に回ってて大丈夫みたい」
アニマの疑問はもっともというか、俺自身もどうなるのだろうと思っていた部分だ。今回の白神祭はあくまで最高神が主役とのことで、シロさんは顔を出したりはせず最後まで神域に居る。
そうなると俺はどうなるんだろうかと思っていたが、その疑問を察していたシロさんから連絡が来ており、俺も皆と祭りを回ることができるみたいだ。
ただ、18時以降に神界の天候を夜に変更して行われる花火に関しては、一緒に見ようと誘われたので、神域でシロさんと一緒に見ることになるだろう。
まだ開催まではある程度日数もあるが、この世界にとってもいろいろ初めてで注目の高いお祭り、非常に楽しみである。
シリアス先輩「……ふむ①とかついてないってことは、すぐに白神祭に入るわけでは無く、準備期間みたいなのが開く感じかな?」
???「っぽいですね。その間に他の六王幹部への挨拶とかも済ませちゃうのかもしれませんよ」
シリアス先輩「……そう言えばそうだった。十魔が濃すぎて、もう終わった感があった……」




