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ふたりでリゾート・中編



 触れ合いエリアには、本当に大小さまざまな動物や魔物が居て、まるで動物園のような光景だった。こちらにも係員のような人はいないが、魔物たちはしっかり躾けられているみたいで非常に大人しい。

 動物が大好きなジークさんは、到着後から傍目に見ても分かるほどはしゃいでおり、いつもよりどこか子供っぽく見えた。そこがまた可愛らしくもある。


「見てください、カイトさん! ファニーラビットですよ!」

「あぁ、これがジークさんの言ってた……モフモフですね」


 以前ジークさんが飼いたいと零していたファニーラビットは俺も以前モンスターレース場で見たことはあるのだが、かなり遠目だったので角のあるウサギ程度の認識だった。

 近くで見てみると、かなり毛がフサフサであり触り心地が素晴らしい。少しやる気なさげな雰囲気も、可愛らしい見た目と相まって癒される。

 アリスの話では獲物を追う時以外では素早く動いたりはしないとのことだが……全体的に動きがのんびりしてる気がする。

 ふつうのウサギよりは二回りほど大きい印象だが、実際は毛が多くて大きく見えるだけで、ふつうのウサギとサイズは変わらないみたいだった。

 ジークさんと交代で抱っこしたり撫でたりしていると、かなり癒される。触れ合いエリアに備え付けられているマジックボックスには餌も入っているので、餌をやることもできるみたいだ。


 触れ合いエリアにいる魔物は俺にとって初めて見るものも多く、ジークさんと共に時間を忘れて楽しんだ。まぁ、無論ベルやリンの可愛さには及ばないのだが、それでも自然と顔がほころぶ癒される空間だ。

 なによりジークさんが楽しそうで、結局他のエリアを見る時間は考慮せずに触れ合いエリアに居る全ての魔物を一通り見て回ると、あっという間に数時間が経過した。


「もう、こんな時間ですね」

「あっ、そうですね。つい、時間を忘れて楽しんでしまいました。申し訳ない……もう他のエリアを回る時間はなくなってしまいましたね」

「気にしないでください、ジークさんが楽しめたのならなによりですし、俺も本当に楽しかったですから」

「はい……それにしても、カイトさんは流石ですね……物凄く懐かれてますね」

「あ、あはは……結構重いです」


 どうも俺は魔物や動物に好かれるみたいで、現在俺の頭や肩には小型の魔物や動物が乗りまくっており、なかなかの重量になっているし、足元にも様々な魔物たちが集まってきている。

 しっかり躾けられているとはいえ、ここまで懐くのは別の要因がある気がする。精霊であるラズさんが俺の魔力を心地よいと言っていたみたいに、なにか魔物に好かれるような……。


「……ジークさん、ひとつ質問です。神族の祝福の中に動物や魔物に好かれやすくなる祝福ってあるんですか?」

「う~ん、人界に神殿がある下級神の祝福にはそれらしいものは無いですが……上級神には獣神と呼ばれる神もいるみたいなので、その辺りの祝福ならあるいは……」

「……いや、シロさんの祝福は全神族の祝福の上位らしくて、他の神族の祝福で得られる効果は全てあるみたいなので、その中に魔物とかに好かれる祝福があるのかなぁって……」

「なるほど……それは素晴らしい祝福ですし、あるなら私も受けてみたいですね」


 そんな風に他愛のない雑談をしつつ、懐いてくれた魔物たちとの別れを惜しみながら、俺とジークさんは宿泊する建物に戻った。







 建物に戻ったあとは、ジークさんと一緒に夕食の準備をした。俺は軽く手伝いをしている程度ではあったが、ジークさんはさすがの手際。

 心なしか以前食べた時より美味しくなっている気がして、それを伝えるとジークさんははにかむように笑いながら『隠し味の愛情が深まったからかもしれませんね』と返してくれた。

 幸せを実感しつつ食事を終え、後片付けをしてから温泉に入ろうという話になった。ジークさんに先に入ってもらおうと思ったが、どうやら温泉もいくつかの場所に複数用意されているみたいで、別々の温泉に入れば問題ない。


 被らないように冊子に書いてある温泉を見ながら相談して、それぞれの入る温泉を選んだあと、入浴道具を持って転移魔法で移動した。

 俺が選んだ温泉は、少し高めの位置にありライトアップされた山の景色が一望できる露天風呂だ。また、空気が澄んでいるのか満天の星空がとても美しい。

 この景色をひとり占めというのは、凄い贅沢だなぁ……軽くお酒でも飲みたいところだが、なにがいいかな? マジックボックスにはいろいろ入っているが、やはり温泉といえば日本酒だろう。

 ノインさんに貰ったものが確か……。


「……カイトさん、湯加減はどうですか?」

「丁度いいですよ。いま、お酒でも飲もうかと思ってたところです」

「いいですね。私もいただいてもよろしいですか?」

「ええ、もちろ――え?」


 あれ? いまおかしかったよね? 聞こえてくるはずのない声が聞こえたような……あれ?





シリアス先輩「やっぱり中編が生えてきたじゃねぇか!?」




Q、トーレはどうやってこのリゾートを予約した?

A、お金は自分が出すからと、クロに強請ってクロのコネで取った。

Q、本来その日に予約していた人がいたんじゃないの?

A、身内のお洒落ガイコツだったので問題なかった。

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― 新着の感想 ―
[一言] ごめんよまだ見ぬ獣神 俺にはサンダーライガーって単語しか思い浮かばないんだ……
[一言] まぁ、お洒落骸骨さんなら直接本人にお願いしに行けるから何とか ただ一緒にいく予定であろう、彼の嫁の騎士団長へのフォローはしてたげたいw
[一言] 「中編」の文字を見た時に予想したシリアス先輩の反応は、やっぱり予想通りでした
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