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3の名を持つ太陽③



 トーレさんのおかげもあって、チェントさんとシエンさんとも打ち解け、会話は非常に弾んだ。それはやはり、トーレさんのコミュ力の高さも起因している。

 トーレさんは会話していてても非情に楽しそうで、なんというかこちらとの会話を本当に楽しんでいるのが感応魔法を使わなくても伝わってきて、自然と笑顔になれた。こういうところもやはりラズさんと似ているかもしれない。

 とまぁ、そんな感じに楽しく雑談をしていると、不意にトーレさんがなにかを思いついたように告げる。


「そうだ! カイト……例のブツを出すんだ!」

「……例のブツ?」

「ふふふ、私の情報網を見くびってもらっちゃ困るね。知ってるんだよ、カイトがクロム様から誕生日にプレゼントされたもの、シャルティア様主催の祭りで大好評だった最新式魔法具の存在を!!」

「あ~」


 あの着ぐるみで遊ぶタイプのVRゲームである。葵ちゃんや陽菜ちゃんとたびたび遊んでるのだが、どうやらトーレさんはあのゲームをやりたいみたいだ。


「私は六王祭の時はやむにやまれぬ事情で、遊べなかったから……」

「……他のアトラクションで遊び過ぎて、時間が無くなっただけですよね?」

「私とチェントが、何度も忠告したのに、もうちょっとだけって遊ぶのを止めなかったからじゃないですか」

「そんな感じの、やむにやまれぬ事情だね!」


 最終的にやむにやまれぬ事情で押し通した……メンタルつよっ!? 

 まぁ、それはともかくとして簡単な挨拶は終わったわけだし、遊ぶのもいいだろう。しかも丁度いいことに俺を含めて四人なので、着ぐるみの数的にもピッタリである。

 アリスかクロに言えば着ぐるみは増やせるらしいのだが、四人同時に入れれば、交代で遊べば結構足りるので追加はまだもらってない。

 ともかく、トーレさんの要望を了承し、マジックボックスからVRゲームの魔法具と着ぐるみを取り出す。


「……トーレ姉様がすみません」

「いえ、気にしないでください。一緒に遊ぶのも楽しそうですからね」

「そう言っていただけると……トーレ姉様もしっかりお礼を――もう着ぐるみに入ってる!?」


 驚くチェントさんに釣られて視線を動かすと、本当にいつの間にかトーレさんは接続用に着ぐるみに入ってしまっていた……物凄く早い。そんなに楽しみだったのか?








 首都高っぽい雰囲気が再現されたVR空間は三人にとって珍しい景色のためか、非常に興味深そうに周囲を見渡していた。

 リリアさんたちと一緒に遊んだ時も、こんな感じの反応だった。ある意味では異世界の様子を知ることのできる貴重な景色と言えるのかもしれない。


 その後、レースゲームが初めての三人に出来るだけ分かりやすく説明をして、それじゃあ一度走ってみようかというタイミングで、なにやら自信満々のトーレさんが車にもたれ掛かりながらニヤリと笑みを浮かべた。


「ふふふ、どうかな、カイト。ここは一勝負しない?」


 どうでもいいけど、この人高身長だからか、車にもたれて腕を組むポーズが滅茶苦茶サマになってる。悔しいがちょっとカッコいい。

 それはさておき……勝負?


「俺とトーレさんが、ですか? ……一回試しにプレイしてみてからの方がいいのでは?」


 サマになっているが……完全に素人のはずなんだけどなぁ、この人。なんで、そんな自信満々なんだろう?

 いや、まぁ、リリアさんとかみたいに初プレイで俺より早い人もいるわけなんだし、以前のテニスでは実力を隠していただけで、凄い動体視力とかを持っているのかもしれない。


「ふふ、甘く見てたら後悔するよ? 油断してたら、それこそ……ふたつコーナーを回るころには、ミラーから姿が消えることになるよ」

「……ほう」


 なかなかに盛り上がる挑発をしてくださる。これは本当に、なにか勝算があるみたいだ……だが、俺にもプレイ経験という圧倒的なアドバンテージがある以上、そう簡単に負けるとは思えない。

 そしてだからこそ、初心者であるトーレさんからの挑戦……引くわけには行かないだろう。


「いいでしょう。受けて立ちますよ」

「そうこなくちゃ……さぁ、始めようか、最高にクールなレースってやつを……」


 本当に、見た目だけは100点なんだよなぁ。ポニーテールも映えてるし、服装もラフな感じで雰囲気にあってる。

 選んだマシンも馬力は凄まじいが操作が難しい玄人向けのマシン……これは、心してかからないといけないかもしれない。

 俺はアリスと初めてプレイした時から使い続けている愛機BC96に乗り込み、レースのスタート地点へと向かった。







 中距離のレースを終えたゴール地点。マシンから降りてきたトーレさんが不敵な笑みを浮かべる。


「……いい勝負だったね」

「いや、トーレさん!? あんだけ言っといて、ぶっちぎりの最下位じゃないですか!!」


 めっちゃやり切った顔してるけど、トーレさんは俺はおろかチェントさんとシエンさんにもどえらい差を付けられていた。

 というか、まったくもってマシンを扱えてなかった感じで、最初のコーナーですでに壁に突っ込んでたし……。


「言ったでしょ……ふたつコーナー回るころには、ミラーから消えるって……」

「あれ、自分が消えるって意味だったんですか!?」


 なんというか、本当に面白い人である。





パン(八 °ω°) ( °ω°八)パン


パン(八 °ω°) ( °ω°八)パン


(๑•̀ㅂ•́)و✧【47連チャン】


(๑•̀ㅂ•́)و✧【次で900話】

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― 新着の感想 ―
[一言] 毎日お疲れ様です!目指せ今年中に1000話!
[良い点] チェントとシエンは某胃痛持ちの公爵様と仲良くなれそうな感じで苦労してますね…! [一言] そろそろ後書きで酷い目にあっている先輩が見たい
[良い点] トーレさん予想通りすぎるw [一言] 連チャンすごい!
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