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六王幹部に会おう・十魔編⑩



 そこはかなり大きくも異質な雰囲気を放つ屋敷だった。西洋風の荘厳さを感じる佇まいの外観だが、屋敷の色合いは全体的に暗い。

 入り口となる門の横にある石柱の上には、ガーゴイルっぽい像が鎮座していて独特の威圧感がある。その門を越えて庭に入ると、まず目につくのは中央にある大きな噴水だ。

 その噴水の上には悪魔を象ったであろう禍々しい像があり、流れ出ている水はなぜか血のように赤黒い。庭のところどころに植えられた木は、おそらくあえてそうしているのだろうが全て枯れており、かなり不気味な雰囲気を醸し出している。


 うん、えっと……悪魔の館かなにかかな? RPGとかだと確実にボスがいるであろう外観である……信じられるか? パンドラさんの話ではこれでもかなり綺麗に片づけられているらしい。

 普段はもっと庭に串刺しの品とかがあるらしい……なにが串刺しにされているのかは怖いので聞いていない。

 しかもなにが凄いって、この屋敷はアルクレシア帝国内のとある街にあるのだ。これはモロクさんがアルクレシア帝国の情報統括者であることも関係しているらしいが……近隣の住民はこの屋敷のことをどう思ってるんだろうか?


 そんなことを考えながら不気味な庭を進んで屋敷の入り口である大きな扉の前に辿り着くと、丁度そのタイミングで入り口が開き……。


「ッ!?」

「迎えのようですね」


 3mぐらいの筋骨隆々で顔が牛の……これぞまさにミノタウロスみたいなのが現れた。なぜかパッツンパッツンのスーツっぽい服を身に纏っている。

 ……服装だけなら執事っぽいんだけど、それ以外は完全に戦闘要員である。


「ようこそいらっしゃいました」


 そして、結構流暢に喋りよる……あと声がめっちゃ高いけど、雌だろうか?

 いろいろと衝撃を受けつつもミノタウロス(仮)に案内されて屋敷の中に入る。外観も凄かったが屋敷の中は中でまた凄い……なんか見てるだけで呪われそうなおどろおどろしい絵とか、黒魔術にでも使いそうな品々が通路に飾られている。


「……どうやらちゃんと言いつけは守って、所持している中でも比較的マトモな美術品を並べたようですね」


 そんな風に呟くパンドラさんの言葉に、俺はなんともいえない表情を浮かべた。これで、比較的マトモって……普段はホラーハウスみたいなことになってるのでは?

 そのまま少し歩いていると、豪華な装飾が施された両開きの扉が見え、ミノタウロス(仮)はその前で立ち止まり、こちらを向いてから深く頭を下げる。


「どうぞ、この先で主がお待ちです」


 どうやらミノタウロス(仮)の案内はここまでのようで、パンドラさんは一度頷いてから扉を開け、俺もパンドラさんに続いて部屋の中に入る。

 窓が少なく、どこか薄暗さを感じる広い部屋の中心には、モロクさんであろうと思われる人物が立っている。


 どことなく砂漠とかそういう暑い地方の人が着ていそうな雰囲気だが、やや露出の多い民族衣装にを包んだ160cm程の女性。

 褐色の肌には入れ墨か、それとも魔術的ななにかか、複雑な模様が描かれていて目を引く。髪は灰色で、頭にはヤギのような大きな角があり、黒く細い尻尾のようなものも見えた。

 見た目から受ける印象では、種族は完全に悪魔という感じで、独特の凄みのような雰囲気も感じる。

 モロクさんは俺たちを見ると綺麗な動作で頭を下げ、俺とパンドラさんが近づくと顔を上げ琥珀色の瞳でこちらを見つめながら口を開いた。


「お待ちしておりました、ミヤマカイト様。こうしてお会いできる日を心待ちにしておりました。幻王配下幹部十魔の一席を預かっております、コードネームをモロク……本名を『サタニア・ダークロード』と申します。以後、お見知りおきを……」

「あ、はい。宮間快人です。こちらこそ、よろしくお願いします。えっと……なんとお呼びすればいいでしょうか?」

「お好きにお呼びいただいて構いませんが、十魔としての任務以外では正体がバレぬように本名を名乗っておりますので……ニアと、そうお呼びいただければ光栄です」

「では、ニアさんと呼ばせてもらいますね」


 モロクさん改めニアさんと軽く挨拶を交わしたあとで、少し気になったことがあったので尋ねてみることにした。


「……あと、コードネームって言いましたが、そういう仮の名前みたいなものがあるんですか?」

「はい。我ら十魔にはシャルティア様よりコードネームが与えられております。ただ、元々の名前が無い者は、そのままコードネームを本名として名乗っています」

「そういえば、ここまでミヤマ様が顔を合わせた十魔は、私を含めコードネームが本名である者ばかりだったので、説明が漏れていました、申し訳ありません」


 俺の疑問に、モロクさんとパンドラさんが答えてくれる。しかし、なるほどコードネームか、幻王配下は隠密的な側面も強いし、そういうのがあっても不思議ではない。

 なるほど、ということは他にも本名が別に存在する十魔もいるわけか……そういう人には、どんなふうに呼んだらいいかしっかりと確認することにしよう。





???「……なんか、凄いナチュラルに己の本名を無かったことにしてるやつが居るんすけど……」

シリアス先輩「というか、パンドラの場合、もう完全にかつて自分に本名が存在したこと自体忘れてそう」

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― 新着の感想 ―
[一言] アリスちゃんは分体分名前ありそう
[良い点] これはRush継続率93%!
[一言] 性格的にはもっとまともなのもいるんですけどねえ けど、二人共実際に顔合わせようとしない訳で
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