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勇者召喚に巻き込まれたけど、異世界は平和でした 作者:灯台
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シロさんのせいだ

 しばらく経ってからルナマリアさんと一緒にリリアさん達の下に戻ると、丁度そのタイミングでレイさんとフィアさんが少し疲れた表情で帰ってきた。

「ミヤマくん、良かった気が付いたんだね」
「はい。ご心配をおかけしました」
「いやいや、無事で何よりだ。クスノキちゃんとユズキちゃんは?」
「まだ、眠ってるみたいです」

 軽く言葉を交わした後、レイさんは談話室のソファーにフィアさんと座り、大きく溜息を吐く。

「いやはや、中々に厄介だね。まぁ、死王様の怒りを見てしまっては無理もないが……いや、本当に驚きだよ。まさかミヤマくんが死王様と知り合いだったとは……」
「……死王様だけならまだいいんですがね……」
「「え?」」

 余程再編成会議は難航したのだろう。レイさんもフィアさんも非常に疲れた表情を浮かべている。
 そしてルナマリアさんが淹れた紅茶を飲んで一息つき、俺の方を向いて呟くと、その言葉をリリアさんが呆れた表情で拾う。

「ミヤマ様は、冥王様とも親交が深いです」
「「冥王様と!?」」
「それどころか……創造神様の祝福を受けています」
「「ッ!?!?」」

 続けられた言葉に、レイさんとフィアさんが目を大きく見開く。
 うん、こうして改めて他人の口から引くと、その異常さがよく分かる。
 現状俺はこの世界に置いて、魔界の頂点である六王の内の二方、神界の頂点である創造神とその直下である最高神の内の一方と知り合ってる訳だ。

「は、ははは……しばらく会わない間に、リリアちゃんも中々ユニークな冗談を言えるようになったんだね」
「ほ、ホントね~私、びっくりしちゃった」
「……冗談であれば、どれだけ良かったか……最近どこに行くにも胃薬を持っていますよ」
「「……マジで?」」
「……はい」

 うん、リリアさんが何と言うか哀愁漂う表情を浮かべている。何と言うかその、ごめんなさい。

 そのまましばらく、唖然としているレイさんとフィアさんに、リリアさんとルナマリアが俺がいかにこの一ヶ月でとんでもない交友関係を築いたかを、丁寧に説明していく。
 何となく居心地の悪さを感じながら、その光景を眺めていると……

(快人さん、ペットは好きですか?)

 この方には、空気を読むとか、話の流れを考えるとか、そう言う機能は搭載されていないのだろうか?
 そしてペットは好きですかと言う聞き方は可笑しくないだろうか? そこは普通、動物は好きですかとかそんな感じじゃないのか……まぁ、ともかく、動物を飼ったりするのが好きかって事だろうか?
 好きですよ。一人暮らしするようになってからは、ペット禁止だったので飼えなかったけど、親戚の家には犬が居てよく世話していましたし……

(なら良かったです。宿の前に『送りました』)

 ……は? ちょっと待った。何言ってるんだこの方? 送ったって何を? ペット?
 そもそも何でそんな話になったんだ。シロさん! シロさあぁぁぁぁん!!

(なんでしょう?)

 なんでしょうじゃなくて、説明! 説明お願いします!!

(ペットを宿の前に送りました)

 そう言う事じゃねぇよ!!
 何でいきなりペットを送る状況になったのかを聞いてるんです!

(一つ魂が残っていました。希望を聞くと快人さんに仕えたいとの事なので、体を与えて送りました)

 ……何を言ってるかさっぱり分からない。
 これ以上聞いてもロクな答えが返ってこない気がするけど、それ以上に不安なのは……創造神であるシロさんが送ってくるペットって、それ化け物とかなんじゃないのか……

 シロさんの言葉に頭が痛くなるのを感じつつ、リリアさん達に事情を説明し、全員で宿の前に移動する事になった。


















 宿の入り口に辿り着き、外に出ると……そこには一人の女性が、背筋を伸ばし綺麗な姿勢で立っていた。
 ショートボブ位の長さの黒髪は、シャギーでも入っているのか、鋭い切れ目と相まって荒々しさを感じる。
 俺より少し低い位の身長。服は黒一色であり、まるで軍服かと思う程カッチリしていて無駄が無い感じだが、黒い毛皮のマントを付けており、それが酷くアンバランスだ。
 そして何より特徴的なのは、その黒い髪から覗いている耳……明らかに人間のそれとは違い、丸っこい獣耳の様に見えるんだけど……獣人?

「お疲れ様です! ご主人様!」
「……はい?」

 女性は俺の顔を見ると、両足を揃え、ビシッと音がしそうな程綺麗に敬礼をして挨拶をしてくる。
 周囲に他の生物はおらず、宿の前に居るのはこの女性だけ……要するにこの女性が、シロさんの言っていたペットと言う事なんだろうか?
 って、人型じゃねぇか!? 何やってんのシロさん!? 動物的要素なんて耳しかないし!?

「え、ええっと……貴女は?」
「はっ! 自分はアニマと申します! ご主人様の忠実な僕です!!」

 女性……アニマさんは、俺の質問に対し敬礼の姿勢のまま言葉を返してくる。てか、声が物凄く大きいなこの人……

「ちょ、ちょっと、話の前後が分からないので……詳しく説明してくれませんか?」
「はっ! 了解いたしました! しかしその前に、僭越ながらお願いしたい事があります!」
「お願いしたい事?」
「はい! どうか敬語も敬称もおやめ下さい! 自分はご主人様の僕であり道具、どうかアニマと呼び捨てにしていただきたい!」
「……あ、う、うん。分かった。じゃあ、アニマ。説明を……後、敬礼は解いて良いから」
「はっ! 失礼致します!」

 やっぱり見た目もそうだけど、軍人みたいな感じがする。
 ともかく状況を説明してほしいと告げると、アニマは指示通り敬礼を解き、両手を腰の後ろで組んだ休めの体勢に変わる。

「自分は先刻ご主人様に危害を加えた『獣畜生』であります! 本来であれば消える筈でしたが、創造神・シャローヴァナル様の目に止まり、こうして新たな肉体を与えて頂きました!」
「……は?」
「自分がご主人様に働いた無礼は許されざるものであります! 故に新たに得る事となったこの命、そして魂を、この先ご主人様に奉げ、尽くす事で償いたいと思います! 矮小な身ではありますが、偉大なるご主人様に仕える事を、どうかお許しください!」
「……」

 アニマが告げた説明は、とんでもない爆弾発言と言って良いかもしれない。
 俺に危害を加えた獣? 新たな肉体? そしてあの黒い毛皮のマントと丸っこい獣耳……それはつまり、そう言う事だろうか?

「えと、つまりその、君は……まさかとは思うんだけど『俺と戦ったブラックベアー』なの?」
「はい! その通りであります!」
「「「「「ええぇぇぇぇぇ!?」」」」」

 アニマの告げた衝撃的な言葉を聞き、俺達は同時に驚愕の叫び声を上げた。

 拝啓、母さん、父さん――今日一日で本当に色々な事があったけど、まだ追加で厄介事が増えるみたいだ。と言うか、コレに関しては完全に――シロさんのせいだ。



















ワイバーン先輩「なん……だと……」

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