表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
791/2405

恋人たちとの海水浴⑫



 突然の提案に唖然とするジークさんの前で、クロは黒板を消しながら言葉を続ける。


「さすがに毎日ってわけにはいかないし、ジークちゃんはアニマちゃんとは違って基礎はしっかりしてるからね。月に何度か方向性を指導するだけで、どんどん伸びると思うよ」


 クロの話を聞くジークさんの表情は真剣そのものであり、おそらくではあるがこの時点でクロの提案を受け入れるのはジークさんの中で決定しているように感じた。

 ただ、単純に話を最後まで聞いてから返事を告げようとしているのか、無言のままでクロの話に聞き入っている。


「……あとそれ以外にも、ジークちゃんの予定が会う時にはボクのうちに来て訓練するのもいいかもしれないね」

「クロム様のお宅に、ですか?」

「うん。うちのノインはジークちゃんと同じテクニックタイプだし、同じ近接型だからいい刺激になると思う。それにうちには、その『ノインを指導している子』も居るよ。ジークちゃんさえよければ、ボクの方で話を通しておくからその子にいろいろ教わるのもいいかもしれないね。面倒見もよくて教え上手な子だから、いい先生になってくれると思うよ」

「……それって、俺の知ってる人?」


 どうやらノインさんの師匠的というか先生のような方がいるらしいが、そういった話をいままで聞いた覚えはない。ノインさんはクロの家族の中では若い方だが、実力的にはかなり上位らしく指導できる人は限られるだろう。

 有力なのはアインさんかツヴァイさんだが、どうもあまりイメージ的にシックリこないので尋ねてみる。


「いや、たぶんカイトくんも会ったことはないんじゃないかな? 前にカイトくんがうちに来たときは、ちょうどその子は外出してたからね……フュンフって子だよ」

「フュンフ様!? あの、『城門の巨兵』や『錬鉄の極致マスター・オブ・ロートアイアン』とも呼ばれる伯爵級高位魔族の……」

「ジークちゃん、よく知ってるね。うん、その子だね。話はしておくから、興味があったら訪ねてみてよ。優しくて話しやすい子だから、緊張しなくても大丈夫だよ」

「は、はい!」

「っと、それで、どうかなジークちゃん? ボクの指導、受けてみる?」

「はい! 是非、よろしくお願いします!」


 クロの言葉に二つ返事で頷くジークさん、かなり気にしていたみたいだしこうしてジークさんの悩みが解決する切っ掛けが生まれたことは、俺も自分のことのように嬉しい。

 ただそれはそれとして、フュンフさんという方はどんな方なんだろうか? クロの話を聞く限りは優しくて面倒見のいい方って感じみたいだけど……。


 機会があれば会いたいものだと思うのとほぼ同時に、俺の頭にはある考えが浮かんできた。そういえば、以前のシロさんの試練の際に、俺はずいぶん多くの方に助けてもらった。俺と面識がないにもかかわらず、危険を承知で戦いに参加してくれた方も多い。

 一応クロやアリスを経由してお礼の言葉は伝えてもらっているのだが、できれば直接会ってお礼も言いたいものだ。さすがに数が多すぎるのでひとりひとり回ってというのは難しく断念していたが、いまの話を聞いて……全員は無理でも、幹部の方々にというのであれば可能ではないかと、そう思った。


 クロのところはハッキリとはしないけど、他は人数も分かっている。戦王配下は全員知り合いで五人、竜王配下は四大魔竜という呼び名からファフニルさんを除けばあと三人、界王配下は確か七姫だったかな? 誰とも会ったことはないが、七人いるのは間違いない。

 幻王配下は十魔……パンドラさんにカタストロさんとは知り合いだから、会ったことが無いのは八人。

 知り合いも含めて二十六人プラスクロの家族の主要人物と考えれば、お礼を言って回るのも決して不可能な数ではないと思う。

 もちろん幹部というからには忙しいのだろうし、アポは取りにくいかもしれないが……とりあえず今度改めて、六王の方々に相談してみることにしよう。


 っとそんなことを考えていると、クロが軽く手を叩きながら明るい笑顔を浮かべる。


「……さて、詳しい日程とかはまた今度相談するとして、改めてカイトくんもこうして合流してくれたわけだし、海で遊ぼう!」

「そうですね。せっかくの機会ですし、楽しまないのは損ですね」


 クロはこういう時にこうして舵を取ってくれるのでありがたい。自然といまは海で遊ぼうという気持ちに切り替えることができ、俺もジークさんに続いて頷いた。


「せっかく海に来てるんだし、やっぱり海でしかできない遊びがいいよね! ふふふ、実はボク事前に『異世界での海の遊び』をしっかり調べてきてるから、それで遊ぼう!」

「異世界というと、カイトさんの居た世界の文化ですか……それは、楽しみですね」

「……」


 テンション高めなクロと、その言葉に乗り気なジークさんだが……なんでかな? 俺の心には決して無視はできない不安が浮かび上がっていた。

 というのも、クロは好奇心旺盛だしいろいろ異世界……地球の情報も仕入れてくるんだけど、情報源が問題なのか変な勘違いをしていることも多い。

 聞いた話ではあるが、あの超エキサイティングバトルスポーツもクロの発案らしいし……うん、なんというか、『新たな超次元スポーツ』が誕生しないことをただただ、祈るばかりである。





書籍版とは違う強化ルートに入ったジーク


~WEB版と書籍版の差異・フュンフ~


WEB版:快人はオルゴール制作の際にクロの家を訪れているが、フュンフはたまたま不在で会っておらず、まだ一度も話したことはない。


書籍版:クロと恋人になってすぐ(6巻)にて初対面、以後も友好的な関係を築いている。




???「……どうしましょう。カイトさんがうちの腐れ変態集団と会おうとか馬鹿なこと考えてますね。できれば止めたいところですが……う、う~ん、しかしいずれは顔合わせることにはなりそうですし……どうすれば……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ぜひ顔合わせをして欲しいですね!(`✧ω✧´)
[一言] 更新お疲れ様です!ジークさん達の話からクロさんの家族の話が出てきたぞ。次は六王の幹部の方々をお会いする話になりそう! そしてアリスさんが本気に悩んでるぞ汗) アリスさんの幹部の方々が大体がヤ…
[一言] ノクターンでえっちな話書いて欲しいです!!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ