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顔合わせ②



 宮間明里、宮間和也の両名は、現在息子である快人の恋人のひとり……運命神フェイトと顔合わせを行っていた。


「初めまして~私は、えっと……まぁ、アレだね。名前はフェイト、よろしく」

「宮間和也です。こちらこそよろしくお願いします」

「み、宮間明里です。こちらこそ、よろしくお願いします」

「ふむふむ、カズやんとアカりんだね! よろしく~」


 明るい声と笑顔でふたりにあだ名をつけて呼ぶフェイトを見て、明里と和也は緊張した様子で背筋を伸ばした。そして、ふたりの背中には冷たい汗が流れる。

 声は明るい、表情も笑顔を浮かべている、会話の内容も友好的……しかし、明里と和也は気付いている。二人に向けられるフェイトの目が、なんの感情も宿していないことに……。


 それはまるで道端に転がっている石ころがたまたま視界に入ったというレベル……好意も悪意もなく、ただただ『興味が無い』という目だった。

 もしこの場に居るのがふたりとフェイトのみであれば、そこまではわからなかったかもしれない。しかし、この場にはもうひとり、明らかにフェイトの反応が変わる存在が居る。


「というわけで、挨拶終わり……カイちゃん! 面倒だから帰っていい?」

「いやいや、本当に挨拶しただけじゃないですか……」

「え~だって、真面目な空気とか私には合わないって……」


 快人の方を向いて話すフェイトの目は、ふたりに向けられるものとは全く違っていた。本当に大切な宝物を見るような、目の前の存在が愛おしくてたまらないと言った確かな熱の籠った瞳。

 そして、ふたりの方を向いた時の……心底つまらなそうな目……初対面のふたりでもすぐに理解することができた。

 フェイトは快人がお願いしたから顔合わせに応じてくれただけで、明里と和也には欠片の興味もないということを……。


 そして結局、そのまま終了までフェイトは殆どふたりとはロクに話すことはなく、快人に対してのみ頻繁に話しかけていた。










 そして、次に顔合わせをしたアリスに関しては……ふたりはどこか安堵の気持ちと共に話すことが出来た。

 というのもふたりは快人の試練の際、アリスを元にした有紗と交流があり、性格が似ているアリスは話していて安心する相手だと言えた。

 もちろん別人であるとは理解しているし、六王であるアリスに対して礼を書いたりするつもりはないが、それでもフェイトと比べれば話しやすさは段違いだった。


 アリスはフェイトと違い、言葉も表情も雰囲気も友好的で、会話はずいぶんと弾んだ。


(……ふむ、試練の時のもうひとりの私と交流があるはずですが、私に対して気安い態度をとる様子はなし……これは評価点ですね。少し評価を引き上げましょう)


 もっとも、それはアリスの演技がフェイトより遥かに上手いだけ……むしろ内面的な部分で言えば、興味なしのフェイトより、アリスの方がはるかに危険だった。

 アリスは元人間であり、親子の情というものにも理解はある。だが、あくまで彼女が優先するのは快人であり、快人の両親であっても気を許すことはない。

 現在アリスは、明里と和也が快人に不利益をもたらすか否かを図っている。


(リリアさんの屋敷ではかなり丁重にもてなされていましたが、それで増長する気配もなし、むしろ申し訳ないという気持ちの方が強いですね。『頭の中も覗いてみましたが』……現状では問題なさそうですね。場合によってはカイトさんに内緒で、妙な考えができないように『教育』しようかとも思いましたが……いまのところは必要なさそうですね。少し警戒を引き下げますか)


 生き返ってからのふたりの行動は、アリスにとっても悪くないものだったようで、アリスは少しだけふたりに対する警戒を緩めた。


(まぁ、この世界での生活に慣れてから増長するってパターンもあるので楽観視はできませんが、ややこしいことにならないなら、それが一番ですね)


 頭の中であらゆるパターンを想定しつつ、アリスはふたりとの会話を表面上は友好的に進めていった。











 目の前でにこやかに言葉を交わす両親とアリスを見て、俺はほっと胸を撫でおろした。

 アリスもフェイトさんも、俺が思ってた以上に友好的でよかった……フェイトさんは少し面倒くさがってたけど、まぁそれもフェイトさんらしさだろう。

 ともあれこれで残るはクロだけだし、なんだかんだで無事に終了してよかった。


「失礼します、紅茶のおかわりをお持ちしました」

「あ、はい。ありが……と……う……ございます?」

「……」


 規則正しいノックのあとで、紅茶の乗ったカートを押しながら入ってきた人物を見て……俺硬直し、アリスは茫然とした表情で『持っていた紅茶のカップをおとした』。

 いや、アリスの反応はなにもおかしくない。俺だって、もし今手になにかを持っていたら落としてしまっただろう。


 いや、本当に、いま目の前で起きている事態が理解できない。


 頼む、誰か……誰でもいいから説明してくれ!!


 いったい、ここに至るまでに……どんな過程を経たら……。


 『メイド服を着たエデンさんがカードを押しながら登場』するんだ!?





???「私の勘違いでは無ければ、エデンさんって結構人気ありますよね? ただし、ヒロインとしてじゃなくて『その場をかき乱すヤベェ奴』として……」

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― 新着の感想 ―
[一言] そうなのかい?僕からしたらエデンちゃんは可愛い可愛いヒロインだょ?(⚭-⚭ )
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