表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
713/2398

顔合わせ①

活動報告にて、フィーアのキャラデザを公開しました!



 挨拶回りを終えた頃には、新築記念パーティも終わりの時間になり、簡単な挨拶をして締めくくった。

 そして、ここからパーティと同じかそれ以上に重要なイベント……恋人たちを母さんと父さんに紹介することになっている。

 母さんと父さんには先に応接室で待ってもらっているが……まぁ、傍目に見てもわかるほどガチガチに緊張していた。


 まぁ、ソレも仕方がないことだろう。今回、母さんと父さんが挨拶をする予定なのは、クロ、アイシスさん、フェイトさん、アリスの四人である。

 俺の恋人とはいえ、全員母さんと父さんより数万年単位で年上であり、なおかつそれぞれこの世界でも上から数えたほうが早いほど高い地位にいる。

 ちなみに、シロさんはふたりを蘇生させたときに会っているので挨拶は不要だと言っており、リリアさんとジークさんに関してはすでに顔合わせは終わっている。


 さらにアリスから教えてもらった話ではあるが、魔族は人族と違って親がそもそも存在しないという者も多く、神族もシロさんに造られた存在であるためか、親子という関係をあまり重要視していない。

 母さんと父さんに関して俺の身内とは認識しているが、あくまで宮間明里、宮間和也という個人として接するらしい。

 ただ、その辺りがよく理解できていないので、移動しながらアリスに確認して見ることにした。


「あ~つまり、簡単に言えばカイトさんの親だという理由だけで、無礼を許したりするわけじゃないってことっすね。もちろんカイトさんの身内なので通常よりは友好的な対応ですし、カイトさんがお願いすれば、配慮してくれるでしょうね。ただ、媚びへつらえってわけじゃねぇっすけど……様子次第では、周りからの認識が悪くなる可能性があるわけなんすよ」

「というと?」

「例えば、フェイトさんを例にあげましょう。フェイトさん自身はゆるいですし、多少の無礼なんて気にしないでしょうが、神族は上下関係に厳しいので最高神であるフェイトさんに無礼な態度で接すれば……下級神だとか上級神だとか辺りから、アカリさんやカズヤさんに苦情が入るでしょうね。特別なのは『カイトさんただひとり』であって、両親はそうじゃないって考えです。もちろん武力に訴えてきたりはしませんし、カイトさんが仲介に入れば収まるでしょうけど……心証は悪くなります」

「……なるほど」

「カイトさんとしてもそれは望むところじゃないでしょうし、わざわざ見えてる地雷を踏むこともありません。なので、出来る恋人のアリスちゃんとしては、事前にある程度の礼節は持って接するようにと忠告したわけです。まぁ、私が見た感じアカリさんとカズヤさんはそれなりにできた人みたいですし、忠告しなくても礼節は欠かなかったでしょうけどね」

「いろいろ気を回してもらって、ありがとうな」


 たしかに母さんと父さんもこれからこの世界で生きていくんだし、余計な不興を買う必要はない。なんだかんだでいろいろ気を回してくれるアリスは、本当にありがたい。










 アリスとの話を終え、俺は待ってもらっていたアイシスさんと合流して応接室を目指していた。

 ちなみに顔合わせの順番は、アイシスさん、フェイトさん、アリス、クロの予定である。クロに関しては、母さんと父さんを雇ってくれることに関しての話があるので最後にした。

 まぁ、なんだかんだアリスからの伝言を母さんと父さんに伝えたりはしたけど、この四人であればそこまで問題はないかなぁと思っていたりもする。


 コミュ力が凄まじいクロはまったく問題ないだろうし、アイシスさんも、死の魔力さえどうにかなればすごく優しい方なのでまったく心配はない。

 若干問題があるのはフェイトさんとアリスではあるが、このふたりは内心ではどう思っていたとしても、表面上は友好的に接してくれると思うので、たぶん大丈夫だろう……いや、本当に内心ではどう思ってるか分からないけど……あとフェイトさんに関しては、面倒くさがって途中で話を打ち切らないか不安である。


 そんなことを考えている内に応接室の前に辿り着き、一度アイシスさんと顔を見合わせてから中に入った。

 すると俺たちに気付いた母さんと父さんは勢いよくソファーから立ち上がり、アイシスさんに向かって頭を下げた。

 するとアイシスさんは気にするなと言いたげに軽く手を振って、そのあとでソファーに座るように促した。

 そしてふたりがソファーに座り、机を挟んで対面に俺とアイシスさんが座ると、顔合わせがスタートした。ガチガチに緊張している母さんと父さんを見たアイシスさんは、少しだけ心配そうな表情を浮かべたあとで口を開く。


「……私は……アイシス……アイシス・レムナント……よろしく」

「あ、はい! か、快人の母の宮間明里です! よよ、よろしくお願いします!」

「同じく父の宮間和也です。こちらこそ、よろしくお願いします」


 母さんはもうわかりやすいほど緊張しまくりだが、父さんの方は流石元は営業職だっただけあって、緊張しながらもしっかりと挨拶をしている。


「……うん……アカリと……カズヤ……覚えた……カイトの家族なら……私にとっても大切……困ったことがあったら……いつでも言って」


 うん、やっぱりアイシスさんはまったく問題はなさそうだ。というより、普段より少し上機嫌に見える。たぶん、死の魔力をコントロールできて話ができるのが、嬉しいのだろう。

 そのまま少しずつ、雑談を進めていくと次第に母さんと父さんの緊張も取れていき、十数分経った頃にはにこやかに会話ができるようになっていた。


 こうして、恋人との顔合わせひとり目であるアイシスさんは、まったく問題なく進行していった。

 ただ次は、若干の問題児であるフェイトさんである……果たして、面倒くさがらずにちゃんと会話してくれるのかどうか、いまから不安ではある。






~おまけ・明里ママンと和也パパンの挨拶難易度~


リリア

完全なる安牌。同じ人間であり公爵という身分ではあるが、年下であり礼儀正しく優しいのですぐに仲良くなれた。


ジーク

同じく安牌。エルフであるジークの方が年上ではあるが、それほど歳の差はなく穏やかな性格なので問題なく挨拶ができた。


シロ

本来なら最難関の鬼門。まず、ふたりをシロに会わせるために快人がクロノア等の神族にお願いをして回るか、シロに直接頼む(交換条件付き)必要があった。

しかし、試練で役割を与える時の会話と、蘇生時に会ったことで、シロ的には顔合わせは済んでいる認識なので助かった……というか、シロと恋人になったとか戻ってきた息子から聞かされて、ママンは卒倒しかけた。


アイシス

死の魔力については応接室の中なら事前に大丈夫と聞いていたが、パーティの時にチラ見して震えがしばらく止まらなかったので、初対面時には滅茶苦茶緊張してた。

話してみると優しく穏やかなので、ホッとしたが……それでも遥かに年上で、なおかつ魔界の頂点の一角ということもあって敬語は崩せない。


フェイト

ある意味では安牌。良くも悪くも明里と和也に欠片も興味が無い。というか、挨拶はとても面倒だが、快人の頼みだからしぶしぶ了承した感じである。


アリス

友好的かつ協力的に見えてかなりの地雷。表面上は友好的に接してくれるし、快人を通してアレコレアドバイスしながらも、快人の邪魔にならないか査定中……あまりに態度が悪かったり、快人の権力を利用して横暴に振舞うようなら、快人に内緒で調教しようかとも考えていたが……いまのところその必要はなさそうだと若干警戒心は引き下げた。


クロ

完全なる安牌ではあるが、ふたりにとってはこれから雇い主になりそうな相手であり、なおかつかなりの年上かつ世界的な権力者なので失礼はできない。

とはいえ、クロ自体たいていの相手には友好的なので、緊張はすぐに解けるはず。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 後書きで色々あるけど全部まとめてわざわざ2年かけて恋人の為に蘇らせた両親になにかあればエピローグだし我が子ってだけでも十分にエデンママンの庇護対象だから今後どれだけ強くなったとしても誰もどう…
[一言] 地雷・・アリスちゃんだけ・・
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ