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気の早いエイプリルフール番外編①

また番外編で本当に申し訳ありません。ちょっと、仕事が一年で一番忙しい時期で、てんてこ舞いです。


しかも、先に書いておいた番外編はこれで最後な上、二分割する始末……本編の更新が遅れて、重ね重ね申し訳ありません。



 ことの発端は、アリスの言葉からだった。


「カイトさん、『勇者ごっこ』してみません?」

「……うん? ごめん、意味がよく分からない。勇者ごっこ?」


 パッと言葉だけを聞いたイメージでは、子供がするチャンバラごっこだが……たぶんそういうことじゃないよな?


「いえ、まぁ、発端は思い付きなんですけど……カイトさんにも勇者気分を味わってもらおうかと思いましてね。勇者として、魔王を倒す……っていう遊び、一種のロールプレイって感じっすかね」

「えっとそれはつまり、光永くんみたいな勇者役としてではなく、ノインさんみたいな感じで仲間を集めて旅をして~って、そういうこと?」

「えぇ、もちろん道中とかは簡略化しますが、いろいろ準備してるので勇者気分を味わってもらえるかと思います」

「……ちょっと、興味はあるかな」


 要するに、ゲームの主人公になったつもりで遊んでみようって、そういうことかな? まぁ、普通なら本当にただのごっこ遊びになってしまうだろうが、アリスが準備しているならかなりのクオリティが予想できる。

 となれば、遊園地のアトラクションみたいな感じで楽しめそうだ。


「おぉ、ではさっそくやりましょう!」

「え? いきなり?」

「はい。まずは勇者として召喚されるところからですね」

「……え? 召喚?」


 明るい声で告げるアリスの言葉、その内容になにやら不穏な響きを感じたが……それより早く、俺の足元に魔法陣が出現し、視界が光に包まれた。








 光が晴れるとそこは見覚えのない場所……ではなく、思いっきり見覚えのある『神域』だった。


「ようこそ、勇者快人。私はシャローヴァナル、貴方をこの世界に招いた神です」

「……へ? あっ、はい」


 あれ? これもう勇者ごっこ始まってるの? というか、シロさんも参加してるのか……えらく豪華なごっこ遊びである。


「貴方にはこれより、魔王討伐の旅に出てもらいます」

「はい」


 展開が若干急な気もしたが、まぁあくまで遊びなので、その辺は深く突っ込まないことにして頷く。


「これから旅立つ貴方に餞別として……『神の剣(攻撃力9999)』と『神の鎧(防御力9999)』と『自動防御の盾』と『攻撃魔法反射の兜』と『自動回復の靴』と『経験値倍化の腕輪』と『状態異常無効化の指輪』と『完全回復薬999個』と『蘇生薬999個』と『無限収納の鞄』を与え、軍資金として『白金貨1万枚』を差し上げましょう」

「……」


 初期サポートが手厚すぎるんだけど!? もう完全に最終装備だよね? あり得ないぐらい大量のお金も付いてるけど、これ以上買うものとかないよね!?








 女神役のシロさんから、あまりにも豪華すぎる装備と大量のアイテムにお金を付けとったあと、始まりの街……という設定の場所に強制移動させられ、そこで仲間を集めることになった。


「ちなみに、仲間はヒカリさんの旅を参考に三人までです。ただ、アリスちゃんは盗賊として参加しますね。ことあるごとに説明するなら、近くに居たほうがいいので」

「う、うん……分かった」

「そして、無駄な展開を省略するために、残り二人の仲間もすでにこちらに来てもらってます」


 大変迅速な展開である。しかし、アリスがいる時点で、すでに過剰戦力のような気もするんだけど……仲間っていったい誰だろう?

 ノインさんの旅を参考にってことは……盗賊のアリス意外だと、ラグナさんのポジションである戦士、フォルスさんのポジションである賢者ないし魔法使いってところかな?


「まずは……『戦士ノイン』です」

「よろしくお願いします」

「……」


 ……本物の勇者……来ちゃったよ。もうすでに収拾つかなさそうなのに、さらに混沌とした状況になってきてる。

 というか、現在四人中ふたりが元勇者パーティのメンバーなんだけど……。


「そして『魔法使いアイシス』です」

「……頑張る」

「……」


 これ、俺いらないんじゃない? 初代勇者に六王ふたりって、もうすでに勝ち確じゃない? というか、この面子と戦う魔王って誰? クロとか、そのぐらいのレベルじゃないと相手にもならない気がするんだけど……。


【戦士ノイン、魔法使いアイシス、盗賊アリスが仲間に加わった】


「……なに、この空中に浮かぶ文字?」

「いわゆるメッセージウィンドウですね。一種の演出です」

「……そ、そっか……なるほど」


 おかしいな? いちおう俺が勇者ってポジションのはずなのに、すでに置いてけぼり感が半端じゃないんだけど……。


「というわけで、仲間も集まったので、さっそく魔王を倒しに行きましょう……ちなみに道中はオールカットして、魔王四天王との戦いに移行します」

「……りょ、了解」


 とりあえず、まぁ、アレだ。いままでの経験から学んだことではあるが、こういう時は流れに身を任せるのが一番である。







 そしてサクッと場所が変わり、石造りの砦っぽい場所へ移動した。


「……よく来たな。私は魔王四天王のひとり『災厄のシア』だ!」

「……なにやってるんですか、シアさん……」

「……シャローヴァナル様の命令なんだ……私に拒否権なんてない」

「お、お疲れ様です」


 魔王四天王のひとり目は、まさかのシアさんだった。いや、確かに武器は大鎌だし、黒いローブ着てるからそれっぽく見えなくもないかもしれない。

 ただどう見ても、本人はいやいややってるけど……。ま、まぁ、それはともかくとして、初の戦闘……ごっこ遊びということだが、どういう風に戦うんだろうか?

 そんなことを考えていると、先ほど見たメッセージウィンドウが目の前に現れた。


【災厄のシアが現れた】


【盗賊アリスの先制攻撃。アリスはナイフを構え分身した】


【アリスの『980回攻撃』】


【シアに9999×980のダメージ】


「ぐわぁぁぁぁぁ!?」


【シアは倒れた】


 シ、シアさぁぁぁぁん!? シアさんは無残にもアリスによってずたずたに切り裂かれた……え? いや、そんなガチの戦闘するの? 倒れたとかそんな可愛らしい表現じゃないよ、ミンチになったとかそういう感じなんだけど!?


「いやぁ、魔王四天王は強敵でしたね。まぁ、シアさんにあんまり時間もかけてられないので、ちゃっちゃと次いきましょう」

「……悪魔か、お前……」









『よくぞここまでたどり着きました勇者一行よ。私は魔王四天王がひとり、《不死鳥のフェニックス》、不死身の私を倒すことができますか? さぁ、かかってきなさい! 私はすべての攻撃を避けないと宣言しましょう!』

「……」


 ふたり目の四天王は、ドMに定評のあるフェニックスさんだった。かかってこいとか言いつつ、炎の羽を全力で広げ、堂々たる受けの体制……攻撃してくれと言わんばかりのその姿に、業の深い性癖を感じる。


【不死鳥のフェニックスが現れた】


【戦士ノインの攻撃。ノインは鋭い居合切りを放った】


【フェニックスに9999のダメージ】


『んあぁぁぁぁ、いい攻撃です! ですがまだ足りません! もっと苛烈に攻めてきてください! ぶっとい槍で串刺しとか、私は大好物です!』


【フェニックスは悦んでいる】


 ……もうやだこの変態鳥……しかも質の悪いことに不死身である。不死身のドMとか、本当に厄介極まりないんだけど……。

 そんなことを考えていると、アイシスさんがスッと手をかざし、フェニックスさんの周囲に大きな氷柱を出現させた。


『おぉ! これはまたぶっとい氷柱が……ぶっとい……おや? この配置、この術式……あっ』


【魔法使いアイシスの攻撃。アイシスは極大封印術式を発動した】


『……ぶっとい封印術式はらめぇぇぇぇ!?』


【フェニックスは封印された】


 叫び声と共に氷漬けになったフェニックスさんを見て、言いようのない空しさが心に湧き上がってきた。戦いは空しいものだというけれど……この心に湧き上がる気持ちは、それとは違う何かだろう。








 なんとなくやるせない気持ちになりつつも、四天王ふたり目を倒し……三人目の四天王に辿り着いた。そして俺は、どこを見るでもなく虚空を見つめ、諦めたような表情を浮かべていた。


【悲哀のティアマトが現れた】


【ティアマトは攻撃を待ち構えている】


「戦いとは悲しいもの……ですが、戦いがこの世から消えぬのもまた事実。ならば、私はこの体ともって! その悲しみを受け止めましょう!! さぁ、怒りを、嘆きを! 思う存分私にぶつけなさい」


 ……なんでドM倒したと思ったら、またドMが出てくるのかな? 四天王の人選したやつ誰だよ。というか、すごく嫌な予感がするんだけど……これ、四人目の四天王はあの人じゃないだろうな?


【いつの間にかティアマトは倒れていた】







 そして最後の四天王が待ち構えるという洞窟。なぜか、まったく意味は分からないが、最後の洞窟に関しては仲間を連れていくことはできず、勇者ひとりで挑まなければならないらしい。

 納得はできないが……ここまで一切戦闘もなにもしていないのも事実なので、俺はしぶしぶ了承して一本道の洞窟を進んでいた。


 そしてほどなくして最奥らしき場所に辿り着き……俺は深く肩を落とした。


「よくぞここまでたどり着きました。勇者よ……しかし、果たして仲間の居ない状態で……この私! 最後の魔王四天王『狂気のパンドラ』に勝利することができますか?」

「……」


 そんな台詞と共に、血走った目で涎を垂らしながらこちらを見る……予想通りの人物。やめろ、ドM四天王やめろ……というか四分の三が幻王配下じゃねぇか!? 本当にロクなのがいないよ幻王配下……頭痛くなってきた。






シリアス先輩「……本編は甘い話、番外編はギャグ……もうやだ、シリアスほちぃ」

???「そういえば、活動報告に先輩のキャラデザ上がってますよ」

シリアス先輩「マジで!? 来た、ついに来た私の時代! キャラデザがあるってことはアレだよね! 六巻には私の出番が!!」

???「ありませんけど?」

シリアス先輩「……え? いや、ちょっと待って……ほら、いままで次の巻のキャララフ紹介されたキャラはさ、口絵(カラー絵)か挿絵に、最低でも一回は登場してたよね?」

???「してましたね」

シリアス先輩「……か、カラー絵とは言わないから、挿絵とか……」

???「ありません」

シリアス先輩「……く、くそっ、結局カバー裏にちょこっと乗るだけか……」

???「え? カバー裏にも絵は付きませんけど?」

シリアス先輩「じゃぁ、私どこに出るの!?!?」

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[一言] きっちり役としてのポジは確保するアリスちゃん
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