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カラオケ大会が始まった



 アリスのフォローもあって挨拶を乗り切ると、再びクロがマイクを握り、明るい声で告げる。


『それじゃあ、特製バースデーケーキの登場だよ!』

「……特製? ――でかっ!?」


 なんかウェディングケーキ……いや、ちょっとした家みたいな大きさのケーキが出てきた!? いやいや、これはでかすぎ……でもないのか? メギドさんとかアハトもいるし、このぐらいは必要なのだろうか?

 というか、本当によくこの短時間でこれだけのものを用意できるものだ。改めて、俺の周りの人たちのスペックの高さを実感する。


『じゃあ、ケーキの説明を……アイン、よろしく!』

『かしこまりました。このバースデーケーキは『186層』あり、食べる個所によって味が変わるのはもちろん、食べる量によっても味の変化が楽しめます。そして、そのすべてが美味になるように、砂糖一粒単位で調整しております』

『なるほど、美味しそうだね』

『お褒めに預かり光栄です。私とシャル……ノーフェイスが手を組んで作ったものです。ケーキはもちろん、料理も最高の味であると自信を持って宣言できます。カイト様、どうぞ心行くまでご堪能ください』


 なんかもう、凄すぎてよくわからないけど……美味しそうである。

 ちなみに、この世界のバースデーケーキには歳の数だけろうそくを、という文化はない。それもそのはず、何千歳やら何万歳やらがいるので、歳の数だけろうそくを立てたら大火事になってしまうからだ。


 というわけでこのケーキも素早く切り分けられ、俺の手元にやって来た。パッと断面を見た感じだと、ミルクレープとかそんな感じの見た目だ。

 クロたちに促されて一口食べてみると、分かっていたことだが……滅茶苦茶上手い。しかも、本当に一度に口に入れる量を変えると味が変わり、それもまた美味しい……本当にすごいな、アインさんとアリス。


『さぁ、皆もケーキや料理を食べながら歓談してもらいたいんだけど……催し物も当然あるからね! 楽しみながらいこう!』


 催し物か……そういえばアマリエさんの誕生日パーティーにリリアさんと出席したときは、ダンスや楽団による演奏なんてのがあった覚えがある。今回も、そんな感じのやつなのかな?

 国王とか貴族も結構いるし、やっぱり高貴で上品な感じの……。


『じゃあ、さっそく最初の催し物! 『コンビ対抗カラオケバトル』を開始するよ!』


 いきなり俗っぽいものがきたぁぁぁぁ!? い、いや、俗っぽいというのはカラオケに失礼か……定番かつ鉄板のイベントではある。

 だけど、しかし……国王とか皇帝とか、はては神様もいるんだよ? カラオケとか……そんなことさせていいの!?


 そんなことを考えつつ、壇上から皆を見てみるが……あれ? あんま不安そうな顔をしている人はいない? というか、不思議そうな表情をしてる人が多い気がする。


『カラオケっていうのはね。カイトくんの世界にある遊びのひとつで、音楽に合わせて好きな曲を歌うんだよ。皆もいろいろな曲を知ってると思うから、ソレを歌ってもらう感じになるね』


 あ、あぁ、なるほど……カラオケがなんなのか知らない方が多かったのか。というか、意外と表情を見る限り好感触な気もする。

 やっぱり、異世界の遊びってのは興味をそそられものなのかもしれない。


『さぁ、やってまいりました第一回コンビ対抗カラオケバトル。ここからは、進行を引き継ぎ、進行兼実況は私、アリスちゃんが! そして解説はもちろん!』

『……ねぇ、なんでまた私? 時空神だけじゃなくてシャローヴァナル様までいるから、変にサボれなくて嫌なんだけど……』

『私だって、クロさんいるのであんまりふざけられないんですよ……一緒です。はい、というわけで、解説は運命神フェイトさんです! この会場にいる方は、皆さん名前を知っているので問題ありませんね』

『……問題はそこじゃないんだけどなぁ……うん、まぁ、ほどほどに頑張るよ』


 そんなことを考えていると、なにやら聞き覚えのある声……というか、聞き覚えのある実況と解説の声が聞こえてきた。

 少し離れたところにちゃっかり実況席を用意し、当たり前のように進行しているどこかで見た組み合わせ……。


『さて、それではルールを説明します! まず、二人一組に分かれていただきます。友達のいない方はここが最初の試練のような気がしますが、くじ引きとかは面倒なので、ちゃっちゃと余り者で組んでください』


 やめろ、学生時代のトラウマが蘇るから、そのボッチを抹殺する台詞は止めろ……。


『そしてあとは好きな歌を歌ってもらうというシンプルなルールですね。ちなみに演奏は、私、アリスちゃん楽団が行います。安心してください、ジャンル、楽器問わず全部演奏できます』

『……シャルたんって、多芸だよねぇ』

『ふふふ、もっと褒めていいですよ』


 アリスの言葉を聞いて視線を動かすと、いつの間にか会場の一角に謎の着ぐるみ集団……馬鹿の分体が集結していた。

 猫、犬、猿、牛、馬、熊、ライオン、虎、カエルなどが様々な楽器を……なんで動物の中に一匹だけ両生類入ってるんだ? いや、まぁ、なんでもいいけど……。

 しかし、なるほど、生演奏でカラオケする感じか……。


『そして、バトルというからには対戦です。コンビ対コンビの対抗戦……ちなみに、判定はカイトさんが行います』

「え? 俺!?」

『はい。カイトさんは赤と青の旗をお渡しします。二組の歌を聞き、いいと思った方をの旗を上げてください。ここで重要なのは、上手いほうではなくいいと思った方という点です。判定は完全にカイトさんの匙加減なので、上手ければいいというものでは無いという点にご注意ください』


 ふむ……それは少し助かる。俺は完全に素人だし、微妙な良し悪しの判断は難しいだろう。フィーリングで決められる分、ありがたい。


『なるほどね。カイちゃんの好みの曲調の歌を探ったり、駆け引きも重要そうだね』

『ええ、異世界の歌もいくつか伝わってますし、そういった曲のほうがいいかもしれませんね。ではでは、そろそろコンビは組めましたか? まだ組めてない人は、さっさと隅っこのほうで、あぶれ者同士で相談してチーム決めてください』


 やめろぉぉ!? なんでそんなぼっちに厳しいセリフばかりを言うんだ!? 誰もかれもが、こういう状況で即座に動けると思うなよ!! ぼっちは結構繊細なんだぞ……心が砕けちゃったらどうするんだ!?


 拝啓、母さん、父さん――会場からしててっきり豪華絢爛なパーティーで、催しもそれに準ずるかと思ったが、意外や意外、まさかの――カラオケ大会が始まった。





シリアス先輩「私はぼっちじゃない……私はぼっちじゃない……私はぼっちじゃない……あとがきメンバーでコンビを組むとしたら、私は引く手あまた……」

ワイバーン先輩「ベビーカステラ先輩、俺と組みましょう!」

ベビーカステラ先輩「かまわんが」

シリアス先輩「ッ!?」

???「クロさ……めーおーさん、組みましょう」

めーおー「いいよ~」

シリアス先輩「ッ!?!? ま、まだだ、他にもあとがきメンバーは居るはず! そっちと組めば……」

ママン「……」

シリアス先輩「……あっ、す、すみません。なんでもないです。天然神と組んでください、お願いします」

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