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勇者召喚に巻き込まれたけど、異世界は平和でした 作者:灯台
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一周年記念番外編「二人の異世界旅行後編・ふたりきりの結婚式予行演習」


 ハワイに来て二日目。今日はクロが行きたい場所……ハワイに来た一番の目的地に向かうため、クロの案内で移動している。
 目的地はワイキキからタクシーで40分ほど、人気観光エリアから少し離れた位置に存在する『コオリナリゾード』。
 地元でも神聖視されているらしい場所に建つ海辺の教会……『パラダイスガーデン・クリスタルチャペル』だ。

 ……やっぱりここだったか。この教会は、クロの見ていた観光ガイドの一ページ……ハワイウエディングの特集に載っていた教会だ。
 もちろん同じページに他の教会も掲載はされていたのだが、クロがワイキキにホテルを取ることを希望したこと、着いた当日では無く翌日に行こうと計画していた……それに、クロの好みなどから、たぶんここだろうとは予想してた。

 クロがハワイアンウエディングの教会に興味を持つのは、ある意味当然かもしれない。向こうの世界での話だが、俺とクロは天の月30日目に結婚式を控えている。
 俺がクロにプロポーズしてから結構経っており、俺もクロもその日をいまかいまかと待っている状態だ。

 なにせクロは、魔界の頂点とも言える六王の一角であり、当然ながら結婚式も大規模になる。
 魔界の六王、人界の三王、神界の最高神も参列することになっており、さらには世界の神であるシロさんも参列するため、準備に非常に時間がかかってしまった。
 参列者だけでも相当な数になるのだが、アインさんやツヴァイさんが非常に張り切っており、式場まで新設してしまった。

 諸々の影響でプロポーズから式まで実に2年かかってしまっている。そんなわけで、クロが俺が元居た世界の結婚式というものに興味を持つのは必然と言えた。
 こちらの世界とあちらの世界では、やはり文化が違うこともあって結婚式の形式も違う。もちろん似通った部分もあるのだが、結婚指輪の交換がなかったりといろいろな部分に違いがある。

「見て見て、カイトくん。ここすっごく綺麗だよ」
「ああ、海辺の教会って本当にいい雰囲気だよな。海も綺麗だし、天気もいいし……ちょっと教会の中に入ってみようか?」
「うん!」

 楽しそうな笑顔ではしゃぐクロを微笑ましく感じながら、手を繋いで教会の中へと入っていく。
 ステンドグラスから差し込む光に、景色が見えるように造られている礼拝堂がマッチしており、神秘的な美しさを感じる。

「……あれ? 誰も居ないね」
「うん……そうだな」
「……カイトくん?」

 急なお願いではあったが、動いてくれたみたいだ。天照さんには今度改めてお礼をしよう。
 俺がなにかを企んでいることを察したのか、不思議そうな表情を浮かべるクロに微笑んだあと、俺はマジックボックスからあるものを取り出す。

「はい、クロ。プレゼント」
「……え? こ、これって……」
「そ、ウエディングドレス」
「な、なんで……」

 クロは完全に虚を突かれたみたいで、大きく目を見開きながら俺を見詰めてくる。

「実は、クロがここに来たがってるのは予想できたんだよ。それで、こっそり天照さんにこのウエディングドレスと、少しの間だけ教会の貸し切りをお願いしておいたんだ」
「へ? そ、そうなの?」
「うん。まぁ、ほら、正式な結婚式はまだ先だけどさ、少しだけ予行演習ってことで……これを着て、一緒に歩いてみない?」
「……カイトくん……うん、ありがとう」

 感極まったのか、微かに目を潤ませながら頷くクロにウエディングドレスを手渡す。

 白いタキシードもちゃんと用意しているので、それぞれ別室で着替えてから教会の扉の前に集合する。
 俺とクロ、ふたりきりでの結婚式の予行演習であることと、クロに父親はいないため、ヴァージンロードは並んで歩くことにする。

 白銀を基調にして所々に金色の刺繍の入ったウエディングドレスは、クロの髪と瞳に合わせたデザインであり、とてもよく似合っていた。

「……クロ、よく似合ってる。綺麗だよ」
「あ、ありがとう……あはは、なんか、恥ずかしいね」

 まぁ、予行演習などと言ってはみたが、ふたりきりでできることは限られている。というか、指輪交換がほぼメインである。
 実は向こうの世界の結婚式には指輪交換というものはない。おそらく一夫多妻制であることなどが関係しているのだろうが、新郎新婦の魔力を混ぜ合わせた結晶を作るのが一般的である。

 まぁ、確かに高位貴族などは20人、30人と結婚している世界では、結婚指輪はつけることはできないだろう。
 なので、クロとの結婚式に関しても向こうの世界の形式で行う予定ではある。

 ただ、まぁ、その……なんというか……指輪……マジックボックスに入ってるんだよね。いや、だって、俺はクロにプロポーズしようと思うまで向こうの世界の結婚式がどんな形式かは知らなかったわけで、つい自分の居た世界の常識で考えて指輪を用意してしまった。
 その後で結婚において指輪を贈るのはまったく一般的ではないことを知り、マジックボックスに入れたままだった。

 しかし、こうして予行演習とは言え俺が住んでいた世界の形式でクロと結婚式ができるので、先程思い切って指輪の交換を提案してみた。
 クロは喜んでそれを了承してくれたので、これから指輪の交換を行う。

「……クロ」
「……カイトくん」
「えっと……ふぅ……新郎となる俺、宮間快人は……新婦となるクロムエイナを妻とし、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、共にあり、愛し続けることを誓います」

 クロの顔にかかっているヴェールを外し、神父から尋ねられる形ではなく、俺自身が誓う形でクロの目を見詰めながら告げる。するとクロは、頬を微かに染め、嬉しそうな微笑みを浮かべながら口を開いた。

「新婦となるボク、クロムエイナも……新郎となるミヤマカイトを夫とし、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、共にあり、愛し続けることを誓います」

 互いに交わした愛の誓いのあと、互いの手を取って左手の薬指に結婚指輪をつける。
 そのままどちらからともなく顔を近づけ、愛の口付けを交わした。

 初めて会った時は不思議な存在で……二度目に会った時は、俺に世界を見せてくれると語り……自分の殻に閉じこもっていた俺を救ってくれた。
 彼女をきっかけとして様々な出会いを経験し、多くのことに挑戦した。

 笑い合ったこともあった、疲れた時に支えてもらったこともあった、ふたりで同じことを喜びあい、助けられるだけじゃなく助けることもできた。
 絆は愛へと変わり、そこには互いへの敬意もあり、慰め慰め合い、支え支えられ、助け合い……共に歩いてきた。

 両親を失ったことで一度閉じてしまった俺の物語は、彼女のお陰で再び始まり、そしてこれから先も続いていく……愛おしいその存在と共に……。



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