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勇者召喚に巻き込まれたけど、異世界は平和でした 作者:灯台
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新鮮で嬉しかった



 フィーア先生の次は、ノインさんを後ろに乗せての一周になる。ベルにとっては連続走行なので、疲れてないかと心配したが……まったく問題はなさそうだった。
 まぁ、最近のベルの散歩はシンフォニア王都の外周を一周しているし、距離的にはまだまだ大丈夫だろう。

 今度はフィーア先生がリンのことを預かってくれると言っていたので、ベルが居るとは言えまた二人っきりな感じだ。
 ノインさんに預けた時のように気付かれずに抜き取るわけではないので、てっきりリンがごねるかと思ったのだが……以外にもリンはアッサリとフィーア先生の腕に収まった。

 よくは分からないが、多くの魔物を配下にしていたフィーア先生は、魔物の言葉がある程度分かるみたいなので、それで懐いているのかもしれない。
 フィーア先生もフィーア先生で、自分を怖がらないリンを気に入ったのか楽しそうに会話をしていた。

 そういうわけで、現在俺とノインさんはふたりでベルの背に乗り走っているわけだが、やはりここでも性格の違いというのは如実に現れる。
 ガッツリと密着してきたフィーア先生とは違い、ノインさんは俺と少し間を開けて座り、片手を俺の肩に置くことでバランスをとっている。控えめなノインさんらしい感じだ。

「そういえば、ノインさん。さっきの話の続きになりますけど……ツヴァイさんって、やっぱりすごく強い方なんですか?」
「ええ、六王様とアイン様に次ぐぐらいですね」

 ベルに乗る前にフィーア先生が魔法をかけてくれたおかげで、強い風の中でもノインさんの声はよく聞こえる。

「ツヴァイ様の持つ力の中で、一番強力なのは『力場操作』でしょうね」
「力場操作?」
「ええ、ツヴァイ様は『引力、斥力、重力』を自在に操れるので、力の足らぬ者は近付くことすら出来ません」
「なるほど、聞いただけでも本当に強いのが伝わってきました」

 流石と言うべきかなんというべきか、かなり中二心をくすぐられるチート能力だ。俺もそんな能力使ってみたいものだ……まぁ、使いこなせないのがオチだろうけど……。
 しかし、うん。結構クロの家族の力関係が分かってきた。頂点にクロ、次いでアインさんと六王たち……そして、その次に居るのがツヴァイさんみたいだ。
 六王たちが独立している現在では、ツヴァイさんが№3ってところかな?

「……ちなみに、ツヴァイ様の次に強いのはフィーアですね」
「そうなんですか?」
「ええ、フィーアは伯爵級のなかでも上位の存在です。私が昔フィーアに勝てたのは、フィーアのコンディションが最悪な上、心強い仲間が居たからですね。万全の状態で一対一なら、歯がたちませんよ」
「ふむふむ……じゃあ、フィーア先生の次に強いのがノインさんって感じですか?」

 かつて勇者と魔王という形で戦った時はノインさんが勝利したが、純粋な戦闘力という点ではフィーア先生の方が上らしい。
 とはいえ、ノインさんだって相当強いはず……クロノアさんの力を借りたリリアさんですら敵わなかった。俺は戦いには詳しくないが、それでもノインさんが世界でも屈指の実力者だとは分かっている。
 なので、フィーア先生の次に強いのはノインさんかと尋ねてみると、返ってきたのは信じられない返答だった。

「……いえ、フィーアの次に強いのは『ラズ様』ですね」
「えっ!? ら、ラズさん!?」
「ええ、意外でしょうけど事実です。ラズ様はとても強い方ですよ」

 ここでまさかのラズさん……小さく愛くるしい彼女が、そこまでの強者だというイメージは……正直言って、まったく無い。
 幼い性格もそうだが、あまりにも小さな体だからだろうか? どうしても、ラズさんがノインさんより強い姿が想像できない。
 そんな俺の反応は予想通りだったのか、ノインさんは軽く苦笑しながら言葉を続ける。

「ラズ様は『限定的な因果律への干渉』が出来るんですよ」
「へ? え、え~と……」
「簡単にいえば、ラズ様の矢は基本的に『必中』です。どこに向けて放とうと、ラズ様が狙った対象に必ず当たります。まぁ、フェイト様や六王様のように因果律に干渉できる方々は例外ですが……」
「……必ず当たる矢、確かに恐ろしいですね」
「はい。とはいっても、対処法もあります。ラズ様が確定させられるのは『対象に必ず当たる』という部分だけで、対象の『どこに当たるか』までは確定できません。身に付けた武具も対象の一部と扱うみたいなので、剣や盾にワザと当てれば防げます」

 話を聞いていてラズさんがすごいというのは理解できたが、それでも本当にノインさんより強いんだろうかという疑問は消えない。
 ノインさんはラズさんの能力への対応策も持っているみたいだし、戦えば勝てるんじゃないだろうか?

「……ラズ様の本当の強さは必中の矢ではありません。その『射程』です」
「……射程?」
「ええ、コレも簡単に言いましょう。ラズ様の弓矢の射程は……『魔界全域』と言っていいほど広域です」
「……へ?」
「例えば、先日の戦いにおいてラズ様が本気で私を殺そうとしたのなら……海を隔てたハイドラ王国辺りから、必中の矢を放ち続ければそれで終わりました。ラズ様の矢はまったく速度が落ちない特性もある上、何日でも連射を続けられるほど魔力消費は少ないそうですからね。いずれ私は矢のだるまになるでしょう」

 な、なるほど……ラズさんの真の強さは、十分分かった。そんな長射程から延々必中の矢を放ち続けられるって、そりゃ反則級の強さだよ。

「……まぁ、快人さんもご存じの通りラズ様は優しい方ですから……一方的な殺戮みたいな戦術はとらないでしょう。というか、そもそも戦闘という行為を自体を好んではいません。なので、怖がらないであげてください」
「……大丈夫ですよ。ラズさんのことを凄いとは思いましたが、怖いとは思っていませんから……ノインさんの言う通り、ラズさんは優しい方ですからね」
「……はい」

 拝啓、父さん、母さん――なんというか、今日はいろいろと新しい情報を知ることができた。驚きもしたけど、ラズさんの……友達の凄い部分、いままで知らなかった一面を知れたのは、なんとなく――新鮮で嬉しかった。



ラズちゃん「狙い撃つです!」
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