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勇者召喚に巻き込まれたけど、異世界は平和でした 作者:灯台
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認識阻害魔法とかじゃ駄目なのかな?



 アリスを軽く叱っている間に、ラグナさんとフォルスさんの話も終わったらしく、ふたり揃ってこちらに近付いて来た。

「……ともかく、貴様はこの六王祭中ひとりで出歩かぬように、出歩く際はワシの部下を向かわせる」
「まったく問題無いね。というより、君に誘われさえしなければ私は一歩も部屋の外へは出ない。食物も含め生活に必要なものはすべて自作出来る。というわけで、さっそく私に菜園付きの研究所を用意してくれ」
「あるかっ! そんなものっ!!」
「なんだと……で、では、いま私の頭の中にあるアイディアはどうする?『足の親指の爪だけ伸ばす魔法』の術式を思いついたというのに……」
「いや、それは一生貴様の頭の中に秘めておれ、世界には不要じゃ……」

 話、終わったんだよね? ラグナさん、ひとりで相手するのが面倒になってこっちに連れてきたわけじゃないんだよね? 出来ればそのまま連れて行ってほしいんだけど……。
 そんなことを考えていると、こちらに来たフォルスさんはふとノインさんの方に視線を動かし、顎に手を当てながら呟いた。

「時に、聞こうとは思っていたのだが……なぜ、ノインは甲冑姿なんだい? 別に警備担当というわけではないのだろう? ミヤマカイトくんより聞いた話では、君と元魔王現街医者のフィーア殿……略して『元フィーア殿』は、ミヤマカイトくんと一緒に回るのではないのかい?」
「その略し方は悪意があるから、止めてほしいんだけど!?」
「……フィーア、気持ちは分かりますがたぶん言っても無駄です。っと、私が甲冑姿なのは正体を隠すためですよ」
「……ふむ、なぜそんな非効率的な方法を?」
「え?」

 ノインさんの返答を聞いたフォルスさんは、心底不思議そうに首を傾げた。

「正体を隠したいなら『髪の色を染めるなり、髪型を変えるなり』すればいいのでは? 現存する君の情報と言えば、友好都市ヒカリにある銅像ぐらいだが、アレでは顔の細部は分かるまい。髪の色ひとつか髪型ひとつ変えれば、ほとんどの者には気付かれないだろう?」
「……い、言われてみれば……確かに……」

 ここでまさかのド正論である。確かに、初代勇者は黒髪と伝わっているので、染めてしまえば気付かない気がする。

「では、そういうことで『ディスペル』……それともうひとつ……」
「え? ちょっ!?」

 結論は出たと言いたげにフォルスさんが手に魔法陣を浮かべ、ノインさんの全身甲冑を消し去ってしまう。中から現れたノインさんの姿は、意外なことに着物ではなかった。
 清楚な印象を受ける白いシャツに、黒色のロングスカート……葵ちゃん辺りが好きそうな、可愛らしさとカッコよさが一体化した女性らしい服装だった。
 だがそれ以上に、驚くべき部分が変化していた。

「おや? 髪は以前の長さにしたのかい? いいね、やはり君にはそちらの方が似合っていると思うよ。しかし、甲冑の下にお洒落とは、意味が無いだろうに……見えないところに気を配るというものなのか? ううむ、お洒落というのはよく分からないね」
「い、いや、フォルス!? なにするんですか……こ、これじゃあ……」
「ああ、その点に関しては問題無いよ。確か鏡がマジックボックスに……ああ、あった! ほら、見てごらん?」
「……え? あれ? 髪と目の色が……」

 そう、黒髪黒目のはずだったノインさんが、髪の毛は桜色に、瞳は明るい紫に変化していた。パッと見別人かと思ってしまう。髪の色が変わると、結構印象って変わるもんだ。

「そう、これは私が開発した髪や目の色を変化させる魔法だよ。視覚を持つ生物が色から得る情報は大きい。明るい色の髪にすると、それだけで陽気に見えたりすることもあるだろう? 色の変化というのはなかなかに優秀な変装手段なんだよ」
「う、う~ん。どうですか、快人さん? 変じゃ、ないでしょうか?」
「いえ、確かに印象がガラッと変わった気がしますが……ノインさんには、明るい髪の色も似合ってると思いますよ」
「あ、ありがとうございます」

 桜色の髪に変わったノインさんは、心なしか普段より少し幼く見えて、可愛らしさが増しているような気がした。
 意外というのは失礼かもしれないが、元の顔立ちが美人なので金髪とかでも似合いそうな気がする。

「……フォルス、お主。たまには役に立つ魔法も開発するんじゃな……見直したぞ」
「う~む、その評価は私としては少々いただけない。この魔法は本当は『服の装飾用』に開発したものなんだよ。これさえあれば、同じローブばかり着ていてもお洒落に見えるかと考えてね。私は確かに日陰者だが、まだ女を捨てたつもりはないので、多少は見た目にも気を配りたいと考えたわけだ。しかし、研究を放り出してまで服を買いに行く気が起らない。ローブだけなら山ほどある……ならローブをお洒落に装飾してみようという逆転の発想だね。開発に『5年かかった』」
「……そ、そうか……前言撤回してもいいかのぅ?」
「しかし、実際出来上がったこの魔法は……魔力消費も大きく、一度の発動で一色しか色を付けられない上、24時間ほどで効果が切れてしまう。単色のローブは、なんというか偽物感がやたら強くてね。使いどころが無かったのだが、機会があってよかったよ。まぁ、こんなややこしくて消費の大きい魔法で髪の色を変えるぐらいなら、染料でも使って染めた方がよっぽどマシだというわけだ。まぁ、期間限定の変装には使えるので、及第点としておこうかな?」
「ま、まぁ、私は助かりましたので……ありがとうございます」

 要するに、お洒落な服を買いに行くのが面倒だから手軽に服に変化を付けられる魔法を作ったってことかな? なんというか、努力する方向が間違っている気がしないでもない。
 まぁ、でも、その魔法のお陰でノインさんは甲冑を外して回れるわけだし、俺としてもその方が嬉しいから……まぁ、いいかな?

 拝啓、母さん、父さん――例によって全身甲冑で回ろうとしていたノインさんだが、フォルスさんが開発した妙な魔法のお陰で素顔で回れるようになった。けど、なんというか、俺は魔法に詳しくないからアレなんだけど――認識阻害魔法とかじゃ駄目なのかな?



???「シリアス先輩! そろそろ砂糖警報が出始めましたよ!」
陸戦型シリアス先輩「よし!」
ワイバーン先輩「……行くのか?」
ベビーカステラ先輩「……死ぬなよ」
陸戦型シリアス先輩「なにも特別なことなんかじゃない……これは、私の日常さ……」
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