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勇者召喚に巻き込まれたけど、異世界は平和でした 作者:灯台
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もっと早く飼っておけばよかったと思う


 六王祭4日目。時刻は現在朝5時……フィーア先生とノインさんとの待ち合わせまでは4時間ほどある。
 朝早くに起床した俺は転移魔法で一度リリアさんの屋敷に戻っていた。その理由は……。

「ほら、ベル動かないで……リン、手伝いありがとう」
「ガウゥ!」
「キュイ!」

 そう、俺のペットであるベルとリンを六王祭に連れていくためだ。というのも、六王祭4日目に関してはペット同伴での参加が許可されている。
 マグナウェルさんが主催ということで、魔物との触れ合いをテーマにした祭りになるらしい。

 その為、二匹を迎えに戻ってきたわけだが、そのついでにベルのブラッシングもしようと思って早目に来た。
 六王祭に参加している間、ベルとリンの世話は仲のいい使用人さんたちに頼んでおいた。なので勿論ブラッシングは毎日してくれてるだろうが、やはり自分でやりたい。

 このブラッシングで重要なのはいくつかのブラシを使い分けることと、一度全体をしっかり洗うことだ。
 まず粗めのブラシで毛の間についた汚れをとってから、体全体を洗う。魔物用のシャンプーを何種類かブレンドした特製のものを使い、乾いた時にサラサラになるように細部までしっかり洗う。

 そして風を発生させる魔法具で乾かしてから、細かいブラシで全体を整えていく。ここで重要なのは、完全に乾いてからではなく、少し湿っている状態でブラッシングすることだ。そうしないと変な癖が付いてしまう。

「クゥ……」

 ベルは俺のブラッシングが大好きらしく、とても気持ち良さそうにしており、時折甘えるような鳴き声を出していて非常に可愛い。
 ベヒモスという魔物の中でも高位の種族であるためか、ベルは結構プライドが高い。俺がしっかり言い聞かせていることもあって屋敷の人達にも友好的だが、甘えてくるのは俺とジークさんに対してぐらいだ。

「……よし、完了! じゃあ、乾かすからそのままじっとしててね」
「ガゥ!」

 そんなことを考えているとブラッシングも終わったので、全体を完全に乾かす。サラサラのベルの毛は、俺のひそかな自慢だったりする。
 魔物用のヘアマスクとかないのかな? あるなら欲しいなぁ……仕上げをもう少ししっとりさせたいところだ。ブラシももう一段階細かいのが欲しい、そうすれば三度ブラッシングすればいま以上に綺麗な仕上がりに出来るだろう。
 まだまだ改善の余地はありって感じだな。

「じゃあ、六王祭の会場に行こう」
「キュッ!」
「うん? ちょっ、リン? どうしたんだ?」
「キュイ! キュクイ!」

 ブラッシングも終わって六王祭の会場に向かおうとすると、急にリンが俺の服に潜り込んできた。
 リンはそのまま俺の服の中でもぞもぞと動き、胸元から顔だけを出して満足気にしている。

 いつも以上の甘えっぷリ……もしかしたら俺がベルばかり構ってて寂しかったのかもしれない。
 完全に俺の服に潜り込んでしまったリンを引っぱり出したりはせず、俺は苦笑を浮かべてリンの頭を一撫でしてから転移魔法の魔法具を起動した。






 会場に到着すると、やはりペット同伴が多いのかあちこちに魔物を連れている人の姿が見えた。
 現在の時刻は7時で、まだ待ち合わせまで2時間ほどある。
 ベルとリンも物珍しそうにしてるし、この付近だけ散策してみるのもいいかもしれないと考えていると、ふいに聞き覚えのある声が聞こえてきた。

「おや? ミヤマ様ではありませんか、おはようございます」
「クリスさん? おはようございます」

 声の聞こえた方に振り返ると、男性用礼服に身を包んだクリスさんの姿があった。相変わらず男装の麗人って感じの人で、パッと見では普通に線の細い美青年に見えてしまう。
 そんなクリスさんの後方には、かなりの大きさ……通常の倍ぐらいある黒馬が居た。

「……その馬? は、クリスさんのペットですか?」
「ええ、私は乗馬が趣味でして、この子は愛馬のニルヴァ……グレイフルホースという種の魔物ですよ」

 クリスさんは愛馬を軽く紹介したあと、俺が連れているベルの方を向いて微笑みを浮かべる。

「ミヤマ様は白竜にベヒモス……どちらも高位の魔物ですね。流石です。ベヒモスに関しては以前も拝見しましたが……以前以上に素晴らしい毛並み、美しいですね」
「でしょっ!!」
「え? なっ!? み、ミヤマ様!?」

 流石皇帝であるクリスさんは、いいものを見分ける慧眼をしっかりと持っているみたいだ。

「見てください、ほら、サラサラでしょ? かなり拘ってブラッシングしてるんですよ!」
「そ、そうですね……あ、あの、近い、です……ちょっと、不意打ちが……」
「ほら、特にこの辺りは毛に少し癖があって、特殊なブラシを使わないと綺麗に整わないんですよ!」
「ひゃっ!? な、なんで肩を!? ま、待ってください……あの、確かに下心ありで話かけましたが……これはあまりに予想外で……」
「角も綺麗でしょ? ベルの角は黒色なんで、汚れが目立つんですよ。なのでしっかりと二度拭きして……」
「……あの、聞いてます? 私、わりと不意打ちに弱いタイプでして……ものすごく恥ずかしく……」
「……特に拘ってるのがシャンプーで……」
「……聞いてないんですね。はい、分かりました……ミヤマ様にペットの話を振ってはいけない……覚えました。って、だから、顔が近いです!?」

 俺の自慢であるベルを褒められたのがあまりに嬉しく、俺はそのまま1時間以上に渡りクリスさんにベルとリンのことを熱く語った。

 拝啓、母さん、父さん――可愛いペットを褒められるというのは嬉しいもので、ついつい熱が入ってしまった。俺は元の世界ではペットを飼ったことが無かったけど、こんなに可愛いのなら――もっと早く飼っておけばよかったと思う。



???「シリアス先輩が砂糖に埋まってるので私の出番です! わたし……アリスちゃんも経験済みですが、カイトさんにペットの話を振ってはいけません。物凄い親馬鹿なので、数時間は平気で語ります」
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