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理性が完全に消えてしまう



 さて、無事アインさんが復活し、厄介事も無事解決……あぁ、いや、まぁアリスは潜水したままだけど……。

 ともあれこれで混浴編も終わり……なんてことになって、時間だけ飛んでくれたらどんなにいいか。いま、俺は切実に時間を操る力が欲しい。

 まぁ、仮に時間を操れたとしても、平気で無効化しそうな人ばかりだけど……。


「じゃ、じゃあ、俺は体を洗うから……」


 とりあえず、まだ湯に浸かる勇気はない。色々あって混乱している頭を落ち着かせなければいけない。叶うのなら、ここで座禅を組んで精神集中でもしたい。

 いまは時間が必要だ。しょっぱなからアリスの姿が強烈過ぎた……正直、いまは顔をまともに見れる気がしないし、思い出すだけで心臓がバクバクと脈打つ。


 しかし、俺は完全に冷静さを欠いていた。いま、ここでこんな発言をすればどうなるか……少し考えれば分かったはずなのに……。


「あっ、じゃあ、ボクが背中流してあげる!」

「……私も……カイトの背中……流してあげたい」


 即座に反応するクロとアイシスさん。脳裏によみがえるアイシスさんの居城での出来事……だ、駄目だ! この状態での追撃なんて、耐えきれないぞ!?

 なにか、なにかないか? 上手いことクロとアイシスさんを納得させ、俺だけで体を洗う方法が……くそっ、思いつかない。


「クロム様、お待ちください」

「うん? どうしたの?」


 自ら死地へ飛び込んでしまったことを察し、なんとか打開策を考えていると、以外にもアインさんがクロを止めた。


「ご無礼を承知でお願い申しあげます。どうか、その役目、私に譲ってはいただけないでしょうか?」

「……アインに?」

「はい。私は先程、カイト様のおかげでメイドとしての誇りを取り戻すことができました。受けた恩を返さないのは、メイドにとってこの上ない恥……どうか、お願いします」

「う、う~ん……アインがそこまで言うなら、ボクは構わないよ。アイシスは、どう?」

「……うん……私も……アインに……譲る」

「感謝いたします。カイト様も、それで構いませんか?」


 ……う~ん。これは、助かったのかもしれない。

 真面目なアインさんなら、背中を流すと言っても本当に言葉通りの意味だろう。緊張はすると思うけど、それなら耐えられる。

 少なくともクロやアイシスさんのように、どんなことをしてくるか分からないという恐ろしさはない。


「……で、では、お願いします」

「かしこまりました」

「……あっ、そうだ! アイシス、見て見て、アヒル持ってきたよ~」

「……可愛い」


 アインさんに背中を流してもらうことを了承し、少し移動して小さな木造りの椅子に座る。

 その際にクロが何処からともなくアヒルのおもちゃを取り出し、アイシスさんと遊び始めたのを見てなんか和んだ。


 視線を前に向けているのでアインさんの姿は見えないが、後ろで微かな物音がしたので手早く準備をしているみたいだ。

 それこそアインさんなら俺が気付かないうちに背中を流し終えることも可能だろうが、なんとなくいつもの超スピードを使う気はないみたいに思えた。


「それでは、お背中を流させていただきます」

「あ、はい。よろしくお願いします」


 後ろから聞こえてきたアインさんの声に返事をすると、丁度その時に視界の端に綺麗に折り畳まれたタオルが見えた。

 あれは、なんだろう? 背中を流すのに使う……という割には、少し離れた場所にあるみたいだけど……。


 いや、まさかな……そんなはずがないよな? アレはきっと、後で使うんだ。そうに違いない……『アインさんが体に巻いていたタオル』があんなところにあるわけがない。

 だって必要ないからね! 背中流すのに、全裸になる必要なんてないからね!? い、いや~駄目だな。童貞はどうも妄想力が豊かで……はは、ははは……。


「あ、アインさん。あの、少し離れたところにおいてあるタオルは?」


 直接聞いてみることにした。大丈夫、問題無い。きっとアインさんは「ああ、アレは後ほど使うのですよ」とか、そう答えるに決まっている。

 いや、別に聞く必要なんてなかったんだけど、見えちゃったからね。少し気になっただけだし……。


「……私が身に着けていたタオルですよ」

「ちょっ!? アイ、アインさん!?」


 しかし、アインさんの行動は俺の予想の斜め上、遥か彼方をマッハで飛び越えていった。

 突如耳元に生温かい吐息と共に、小さく、それでいて艶かしい声が聞こえてきた。


 なにこれ!? なにがどうなってるの!? なんで、生まれたままの姿らしいアインさんが、唇が耳に触れそうな距離で囁いてきてるの!?


「……カイト様、先程は本当にありがとうございました」

「あ、い、いえ……その……」

「私を想ってのお言葉、本当に嬉しかったです」


 普段のクールな印象からは想像もできないほど色っぽい声。耳元で囁かれるたびに、ゾクゾクと言いようのない感覚が襲いかかってくる。


「せめてものお礼に……心から『ご奉仕』させていただきますね」


 なんか変な意味に聞こえる!? メイドさんが全裸でご奉仕とか言ったら、もう完全に別のやつだよ! い、いや、まさかな、そんな意味で言ったんじゃないよな?

 安牌を選んだつもりが、最悪最強のジョーカーだったとか、そんなはずは……。


「なぁっ!?!?」


 なんか柔らかいものが背中に触れた!? スポンジ? スポンジだよね!? なんか一肌みたいな温もり感じるんだけど、スポンジにしては広範囲に温もり感じすぎてるんだけど!?

 な、なんか少し硬めの弾力がある部分もあるっていうか、ああこれもう、アレじゃん!? アインさんの体じゃねぇか!? なにしてんの!?


「こうして体を使って殿方を綺麗にする方法が、あるのですよね? 以前シャルティアから聞きました」

「な、なな、なぁ……」


 あの馬鹿野郎!? なんてことしてくれてるんだ! 確かにそういう洗い方もあるだろうけど、それ一般的なやつじゃなくて怪しい店とかでやるやつだから!?

 あぁ、動かないでアインさん!? ヤバいから! 本当にヤバいから!? 

 背中に感じるいいようのない温かさと柔らかさ、それが上下に動くたびに理性の意図がヤスリで削られるように擦り減っていく。


「惜しむらくは、私の胸があまり大きくないことですが……そこは、技術で補うことといたしましょう」

「ぁ、ぁぁ……ま、まって、それは……」


 時に強く、時に優しく、緩急をつけて行われるそれは、まるで天上の如き心地良さを与えてくる。俺の頭の中は地獄の苦しみではあるが……。

 い、いつ終わるんだこれ? も、もう、頭が沸騰しそう……だ、誰か、助け……。


「……ああいう洗い方もあるんだ」

「……流石……アイン……今度……私も……やってみる」


 味方なんていなかった!? なに参考にしようとか考えてるの? やめて、絶対やめて!?


 拝啓、母さん、父さん――アインさんに背中を流してもらうことになり、最初はソレが最善の選択だと思っていた。しかし、実はそれが最も危険な選択肢だったと、俺はいま身を持って実感している。いや、もう、本当に早く終わらせて下さい。このままだと――理性が完全に消えてしまう。





シリアス先輩「がはっ!?(吐血)」


選択肢


・クロに背中を流してもらう⇒普通に洗った

・アイシスに背中を流してもらう⇒嬉し恥ずかしハプニング

・アリスを湯船から引っ張り出して洗ってもらう⇒自爆3rd

・アインに背中を流してもらう⇒メイドによるご奉仕

・いっそ全員に洗ってもらう⇒ノクターン



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― 新着の感想 ―
ノクターン版1択でお願シャス!!w
[一言] 仮にこの状況で座禅組んでも周りの方々による攻撃(悩殺)でナニが大変なことになると思うんよ
[良い点] 詰んでる…
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