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勇者召喚に巻き込まれたけど、異世界は平和でした 作者:灯台
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かつてない困難な戦いが始まるのかもしれない



 都市の中心にそびえる中央塔。その周囲はそれこそ、村一つぐらい入りそうなほど巨大な広場だった。
 まだ前日だというのにかなり多くの人がいるのは、流石というべきだろう。ほとんどが不老である魔界の人口は、それは凄まじい数みたいで、招待制とは言え相当の数が集まるみたいだ。

 クロに案内されながら、あまりにも巨大な塔の中に入る。

「そういえば、この塔って、最終日のパーティ以外の用途はあるの?」
「ああ、ここはね。ボクの家族や皆の配下が泊まってるんだよ。ただし、最上階から下『30階分』はカイトくんの宿泊場所だけどね」
「……サイズがおかしい」

 それもうほとんど、ビルが丸ごと一つ俺の宿みたいな状況なんじゃ……本当にどんな場所なんだ?

 これから行く場所への期待と不安を胸に塔の中に入ると、一階は広いロビーになっており、あちこちに巨大な魔法陣が設置されていた。

「……あの魔法陣は?」
「アレで各階に転移出来るんだよ。中央塔は階がすごく多いから、階段とかじゃ大変だしね」
「なるほど……じゃあ、あそこに……」
「ううん。カイトくんは『中央の魔法陣』だよ。カイトくん専用のやつだね!」

 おっと、ここでも羞恥プレイだと? 広いロビーのど真ん中から専用の転移魔法陣で移動……本当に待遇がVIP過ぎて落ち着かない。
 ここでも降り注ぐ視線を感じつつ、クロと一緒に魔法陣の中央に移動し……ついに俺は、用意された宿泊スペースへとたどり着く。








「……なにここ? どうなってるの?」
「えへへ、どう? 凄いでしょう?」
「い、いや、凄いもなにも……なんで室内に『青空』!? しかもあっちには、『巨大な湖とボート』があるんだけど!?」
「釣りもできるよ!」

 辿り着いた俺を迎えたのは、広大な草原と湖……いやいや、色々おかしい。
 そして視線の先にある巨大な……。

「なんで『お城』!?」
「カイトくんの世界風だね!」

 いやいや、俺の世界でも城に住んでる奴なんて、いまは居ないよ!! い、いや、もしかしたら世界のどこかには居るのかもしれないけど……。
 しかも、城があるだけじゃない。城の周囲には、先ほど見たような転移魔法陣がいっぱいあって、他にもいろいろな場所に繋がっているのが想像できた。

「……ちなみにあの転移魔法陣は?」
「えっとね。『プール』と『闘技場』と『商店街』と……他にも色々な場所に繋がってるね! それに建物の裏にある魔法陣からは、会場の各地に転移出来るよ! あと、室内には『温泉』への転移魔法陣もあるから!」
「……凄すぎる。てか、温泉とかもあるんだ」
「うん。ゲンセンカケナガシってやつだね!」
「どこに源泉があるんだよ!?」

 もうなにもかもが常識外すぎる。頭が痛くなるような感覚を感じつつ、湖のほとりを歩いて城の前に移動する。
 城の前に辿り着くと、巨大な門がまるで俺の到着を察知したように開き、中からアインさんが登場した。

「カイト様、ようこそいらっしゃいました。お聞きかと思いますが、本日より六王祭終了まで、私が身の回りのお世話をさせていただきます」
「あ、はい。よ、よろしくお願いします」
「では、こちらに……」

 丁寧に礼をしてから入城を促すアインさんに従い、城の中に入ると……そこは宮殿のような廊下が続いていた。

「中は洋風なの!?」
「あ、大丈夫。ちゃんとタタミの部屋とかもあるから」
「……う、うん。もうなにが大丈夫なのか分からないけど……」

 しかし、凄いな。廊下にある飾り一つ一つ、どれもこれも滅茶苦茶高そうな物ばかり……本当に国賓みたいな扱いで、変に緊張してしまう。

 そしてアインさんに案内されて、なぜか初めに寝室を見ることになった。
 寝室は畳の間だったが……ベッドだった。うん。畳の上にベッドが置いてあった。もはやなにも言うまい。

 あとベッドがでかすぎる。メギドさんでも寝転がれそうなほど巨大なそれは、もはやどういう用途に使えばいいのか分からないレベルだ。
 そしてなぜか並べて置いてある枕が『四つ』……。

「……なぁ、クロ」
「うん?」
「なんで枕が四つ?」
「え? カイトくんのと、『ボク』のと『アイシス』のと『シャルティア』のだね!」
「……」

 え? なんでそんな当たり前みたいな顔してるの? 平然と四人で寝るとか言ってるんだけどこの子……え? まじで? そういうことなの?

「……ま、まさかとは思うけど……この宿泊施設って、クロとかも一緒なの?」
「そうだよ? ボク達も一緒~だから、また『一緒にお風呂入ったり』しようね」
「……」

 殺しにきてる。こいつ、完全に俺の理性を抹消しにきてる。
 7日間そんな状況とか、俺はいったいどうなってしまうんだろうか? いや、冗談ではなく。

 告げられた言葉に唖然としていると、スッと近くに来たアインさんが、小さな声で耳打ちをしてきた。

「……カイト様が望まれるのでしたら、夜のお世話もさせていただきます。いつなりと、お申し付けください」

 なんで参戦してきた!? やめて、色っぽい声で耳元で囁かないで! 童貞には効果抜群だから!?
 な、なんだろう、この、未来に対するそこはかとない不安は……俺は果して、六王祭を無事に乗り越えることができるのだろうか?

 拝啓、母さん、父さん――案内された宿泊施設は、なにもかもが常識外れだった。しかも、それ以上に衝撃的だったのは、六王祭の間クロ達と一緒に寝泊まりするらしい。これは、もしかすると――かつてない困難な戦いが始まるのかもしれない。



今日で当作品は一周年です。いつも応援ありがとうございます。ここまで来られたのも皆様のおかげです。
つきましては、一周年記念の人気投票を活動報告にて行っておりますので、よろしければご参加ください。

そして今回ここで区切ったのにはわけが……次回は『クロ視点』です。いや、別に作者がメインヒロインが票獲得できるようにしてるわけじゃないですよ? 贔屓はしてますが……。
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