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勇者召喚に巻き込まれたけど、異世界は平和でした 作者:灯台
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こういうデートも有りなのか……



 パンドラさんとの一悶着? があって、幸か不幸かそれなりに時間が経過していたのでリリアさんの様子を見て見ることにした。
 壁の前に数着の綺麗なドレス風の服が並べられており、リリアさんはソレを見ながら腕を組んでいた。

「……リリアさん?」
「あっ、カイトさん。すみません、時間がかかってしまって」
「いえ、なにか悩んでるみたいですが?」
「ええ、候補を絞ったのですが、まだ少し多すぎまして……どれを買おうか考えていたところです」

 そう言われて順に並べられている服を見てみる。
 数は10着ほど……確かに少し多い。六王祭は7日間なわけだし、六王祭で着るという目的であれば最大でも7着。
 もちろん全部買って、残る3着は私生活で着るという方法もあるが……リリアさんの性格上、そういった無駄遣いをしたくないんだろう。
 必要なものを必要な分だけって感じで考えてるからこそ、どれを買おうか悩んでいるんだと思う。

 そんなことを考えながら再び一つ一つ服を見てみる。どれも確かにリリアさんに似合いそうで、甲乙つけ難い。
 リリアさんが悩んでいるんだし、なにかアドバイスしたいところではあるが……女物に詳しいわけでもない俺が、いいアドバイスをできるかどうかは分からない。
 なので、単純に俺の感想を伝えてみることにした。

「……う~ん。俺の個人的な意見では、この服とか好きですね」

 白色を基調とし、派手すぎない程度に金色の糸が織り交ぜられているその服は、金髪碧眼であるリリアさんによく似合うと思った。
 黒系統のシックな感じのものも良いとは思うけど、リリアさんにはやっぱり白が似合うと思う。

「リリアさんならどれを着ても似合うと思いますけど、やっぱり俺はこういう清楚なリリアさんのイメージにピッタリだと思います」
「そ、そうですか、あ、ありがとうございます……も、もう少し待っててください。すぐに決めますので」
「急がなくても大丈夫ですよ」

 リリアさんは俺の言葉に少し顔を赤くしつつ答え、一着一着手に取りながら選んでいく。
 その際に真っ先に俺が似合うと言った服を手に取り、それに関してはサッと流し見しただけで、他の服とは別の場所に移動させていのが見えた……可愛い。

 真剣に服を選ぶリリアさんを微笑ましく見守っていると、店の扉が開く音が聞こえ、反射的にそちらに視線を動かした。

「……すみません、貴族用ほどじゃなくていいので、少し高価な服を……おや?」
「……ジークさん?」
「ジーク?」

 なんと店に入ってきたのはジークさんであり、俺もリリアさんも思わぬ遭遇に驚愕する。
 それはジークさんの方も同じで、少し驚いたような表情を浮かべた後、俺達に声をかけてきた。

「……カイトさん、リリ……思わぬところで会いましたね」
「同感です」
「ジーク、貴女は確か今日は休暇でしたよね? 服を買いに?」
「ええ、リリの護衛として参加するなら必要ないでしょうが、今回は直接招待を受けていますので……流石に普段通りの格好というわけにもいきませんからね」
「なるほど……」
「カイトさんと、リリも服を買いに?」

 軽く言葉を交わした後、ジークさんの質問に首を縦に振ることで答える。
 するとジークさんは、どこか優しげな微笑みを浮かべて、俺とリリアさんを交互に見る。

「……デートですね」
「なぁっ!? そ、そそ、それは、そそ、その……」

 リリアさん……もしかしたら誤魔化そうとしてるのかもしれませんけど、滅茶苦茶分かりやすいです。

「ふふふ、羨ましいですね……ああ、そうだ。よろしければ『私も一緒にデート』してもいいですか?」
「へ? え、ええっと、それは……」
「もちろん、構いませんよ」
「リリアさん!?」

 穏やかに微笑みながら、当り前のように一緒にデートしようと告げてくるジークさんに、俺がどう答えていいか困っていると……何故か、リリアさんがそれをあっさり承諾した。
 そして、驚いて声を上げる俺に対し、リリアさんもジークさんも不思議そうに首を傾げる。

「カイトさん、どうかしましたか?」
「え? い、いや、その……いいんですか?」
「なにがでしょう?」
「い、いえ、ですから、デートが一対二になっても……」
「うん? 『ごく普通』では?」
「……」

 戸惑う俺とは対照的に、リリアさんは本当に俺がなんでそんなことを聞くのか分からないという表情だった。
 するとそのタイミングで、ジークさんが納得した様子で手を叩く。

「ああ、なるほど……そういえば、カイトさんの世界は一夫一妻が普通なのでしたね」
「え、ええ……もしかして、この世界だと、こういうのって珍しくないんですか?」
「はい。この世界では一夫多妻が当り前ですから……男性一人と女性複数でデートするのは、特に珍しいことではありません。まぁ、もちろん二人きりでデートすることの方が多いとは思います」
「な、なるほど……」

 確かに、言われてみれば納得できる。

「……もし、カイトさんの気が進まないのでしたら、迷惑なら断っていただいて大丈夫ですよ?」
「あ、いえ、少し文化の違いに驚いただけで……俺もジークさんと一緒に居るのは楽しいですし、迷惑なんかじゃありません」
「ふふふ、嬉しい言葉ですね。では、カイトさんさえよければ、是非」
「はい」

 驚きはしたが、リリアさんとジークさんが構わないのであれば、俺としては二人の恋人と楽しくデートできるのは嬉しい。
 俺がジークさんの申し出を了承すると、ジークさんだけでなくリリアさんも嬉しそうに笑みを浮かべる。恥ずかしがり屋のリリアさんにとって、気心知れたジークさんが一緒というのは安心できる要素でもあるのだろう。

「ああでも、その前にジークの服ですね。サイズが少し違うかもしれませんが、コレなんかは……」
「いや、リリ……そんな高級品を持ってこないでください。私は貴女ほど財力がないんです。この店で一番下のランクの服を買うのがギリギリですから……あと、出来れば『スカート』は……」
「……そういえば、苦手でしたね」
「苦手というか、『森で行動しにくい服』はちょっと……」

 ……だから、基準おかしくない!? リリアさんもジークさんも、六王祭になにしに行く気なの!? 森になんて入らない……入らな……。
 女性二人が服選びで盛り上がるのを眺めつつ、俺は静かに自分の後方に声をかける。

「……アリス」
「はいはい」
「リリウッドさん主催の日って、会場が森になったりする?」
「……本人は『自然との触れ合い』をテーマにするって言ってましたね」
「なるほど、ありがとう」
「いえいえ、それでは~」

 ……もしかして俺の方が間違っているんだろうか? なにせ、あの濃い六王達主催の祭りだ。それこそ戦闘に挑むような用意をしていくのが正解なのか? 分かんなくなってきた……。

「……ああ、もう一つ聞いていい?」
「ほいほい」
「アリス的に、他の女の子と一緒にデートってどんな感じ?」
「ん~クロさん、フェイトさんなら可……他は『鬱陶しいん』でパスです」
「そっか、ありがとう。参考にしとく」

 拝啓、母さん、父さん――服屋で偶然出会ったジークさん。驚いたことにジークさんも、一緒にデートに参加するということになった。なるほど、この世界では――こういうデートも有りなのか……。



シリアス先輩「なにぃっ!? デート中に他のヒロインと出会ったら、修羅場になるのがお約束なのではないのか!?」
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