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勇者召喚に巻き込まれたけど、異世界は平和でした 作者:灯台
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爆発が俺達を飲み込んだ



 偶然出会ったエネルギッシュなおじいさんとの会話も終わり、しばらく街を散策していると光永君と約束している14時が近付いてきた。
 昨日光永君と再会した広場で、シンフォニア王国第二王女……カトレア王女と会う事になってる訳だけど、う~んどんな人なんだろうか?
 聞いている話から考えると、気の強そうなイメージがあるけど……

「なぁ、アリス」
「なんですか?」
「カトレア王女ってどんな人?」
「ふむ……こんな感じです」
「絵、上手っ!?」

 俺の呟きに反応して姿を現したアリスは、紙とペンを取り出してフリーハンドでサラサラとカトレア王女の顔を描いた。
 アマリエさんよりはリリアさんに似ているイメージで、リリアさんの髪型をゆるい縦ロールにして目をやや釣り目にした感じだった。
 つまるところ相当の美人……やっぱリリアさんの家族の顔面偏差値って、凄い高いよな……

「……成程、性格は?」
「リリア公爵を思い浮かべて下さい」
「え? う、うん」
「それを少しツンデレにした感じです」
「んん?」

 今度はよく分からなかったが、要するにリリアさんに似た性格という事らしい。
 俺がそう考えて頷くと同時に広場が見えてきて、アリスは再び姿を消した。

 広場に入ると、光永君が何処にいるのかはすぐに分かった……何故なら広場の一角に、明らかに他とは雰囲気の違う騎士甲冑の集団がいたから……
 たぶんというか、間違いなくアレはカトレア王女と光永君の護衛だろう……凄い数だ。

 昨日光永君と会った際にも、少し離れた場所に感応魔法で警戒心に似た感情をいくつか感じたから、アレはたぶん隠れて護衛している騎士達だったんだと思う。
 今日に関してはそこにカトレア王女も加わっている訳だから、護衛もより多くなっているんだろう。

 というか、困った事に護衛の騎士が多くて、その中央にいるであろう光永君とカトレア王女が見えない……近付いて騎士の人に話しかけてみるか。
 そう考えて騎士の集団に近付いたんだけど……俺の接近を察知して、数名の騎士が警戒した表情に変わったのが見えた。

「……そこで止まれ、何者だ?」
「あ、えっと、宮間快人と言います。光永君……勇者役の子と会う約束を……」
「ッ!? し、失礼致しました! お話しは伺っております、どうぞ……」
「ありがとうございます」

 もしかしたら「怪しい奴め!」みたいな展開になるかと不安になったが、ちゃんと話は通っていたみたいで、騎士の方はすぐに俺を案内してくれた。
 するとすぐ光永君の姿が見えてきて、光永君は俺の方を見ると爽やかな笑顔を浮かべて近付いてくる。

「宮間さん!」
「光永君、ごめん、遅くなったかな?」
「いえいえ、こちらの方が少し予定より早く終わりまして……なんでも、今、この街には最高神様が来ていらっしゃるとかで……議員の方も気疲れしていたのか、会談でも試すような質問はしてこなかったので……」
「……」

 色々な所に影響あるなフェイトさん……普段の様子からは想像もつかないけど、流石は最高神って事なのかな?
 ま、まぁ、ともかくそのおかげで光永君は早めに会談が終わり、俺を待っていたという事らしい。

「……貴方が、ミヤマ様ですね?」
「え? あ、はい」

 声を掛けられて振り返ると、そこには凛とした女性が立っていた。
 ゆるくカールされた明るい金髪、鋭さを感じる青い釣り目……動きやすさを感じつつも気品のある赤いドレスを見に纏ったその女性は、まさに貴族と言った風貌ですぐにカトレア王女であるという事が分かった。
 カトレア王女は俺の前まで歩いてくると、優雅に一礼をする。

「初めまして、シンフォニア王国第二王女、カトレア・リア・シンフォニアと申します。ミヤマ様の事は姉様方より伺っております。こうしてお会いできて光栄ですわ」
「み、宮間快人です。よろしくお願いします」
「よろしくお願いします。お噂はかねがね……冥王様や界王様ともお親しいとか、羨ましい限りです」
「い、いえ、そんな……」

 ここで、アリスに一言もの申したい……どこがリリアさんと似てるんだ!? 話し方は確かに似てるけど、貴族っぽくないリリアさんに比べて、カトレア王女は滅茶苦茶貴族って感じで、雰囲気が張り詰めてる気がするんだけど!?

「宮間さん、あまり緊張しなくて大丈夫ですよ。カティはこう見えて優しいですから」
「ミツナガ様! 人前でその呼び方は止めてくださいと言った筈ですわ」
「ご、ごめん」
「まったく……失礼いたしました。ミヤマ様、あちらに席を用意してありますので、そちらでお話をいたしましょう」
「あ、はい」

 あ~でも、さっき光永君を叱ってた時の感じは、リリアさんが怒ってる時にそっくりだった気がする。
 その、怒りというか焦りが強いような表情は、リリアさんが怒る時の特徴……うん、それを覚えてしまうぐらい怒らせてしまってるのはアレだけど……

 カトレア王女は光永君を軽く注意した後、広場に隣接したカフェのテーブルを手で差し、そちらで話をしようと提案してきた。
 断る理由もなかったので頷き、光永君とカトレア王女が歩きだすのに続いてカフェに向かう為に足を進める。

「ミツナガ様、貴方はもう少し勇者役としての自覚を持ってください! 貴方の言動一つ一つに十分な責任が伴うのですよ。口調には十分注意して頂かないと困りますわ」
「か、かて……カトレア王女。今は、宮間さんも居るから、ね?」
「分かっておりますわ。だからこそ、この程度で済ませているのです」

 やっぱりなんとなくの印象ではあるが、カトレア王女はちょっときつい性格をしている気がする。
 光永君が愛称で呼んでしまったのを咎めているらしく、釣り目を鋭くして注意する姿は……ちょっと怖かったが、それは光永君への好意故の苦言にも感じられた。
 その光景をなんとなく微笑ましくも思いつつ二人の後についていこうとした――瞬間、背筋に言いようのない不快な感覚がした。

 それは反射的な行動だった。
 熱い鍋につい触れてしまい手を引っ込めるような、意識するよりも早く俺は後方を振り返った。

 振り返った瞬間視線に映ったのは、かなり離れた位置にある高い時計塔……その時計塔の一部が、一瞬『光った』気がして……

「ッ!?」

 直後に俺のすぐ横を、煌く球体が過ぎ去っていった。
 一瞬の事に言葉を発する暇もなく、ただ視線だけが球体を追い……時間が圧縮されたかのように、その光景をスローモーションで捕らえた。

 球体は一直線にカトレア王女の方に向かい、周囲にいた騎士達の誰も反応出来ない中で……光永君ただ一人が、カトレア王女に自分の体を重ねるように動き――閃光が爆ぜた。

 拝啓、母さん、父さん――たとえこの世界が平和であったとしても、多くの人達が優しかったとしても……悪意というものはどこにでも存在する。そんな思考と共に――爆発が俺達を飲み込んだ。



シリアス先輩「リア充爆発した!?」

【シロの祝福・クロのネックレス・護衛にアリス】

シリアス先輩「……無事以外の未来が見えない」

余談ではありますが、皆さまの応援のおかげでモーニングスター大賞様にて、大賞を受賞出来ました。本当にありがとうございます。
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