茶会の話~胃痛なる者⑫~
宣言していた通り、本日より「むつら☆ぼし」連載開始となります。
後日ランキングタグの設定して、あとがきの下にリンクを用意するつもりですが……まだやり方を調べてないので、いまは作者ページとかから確認ください
追記:下部にリンク追加しました。
元々エリスは貴族令嬢としてはかなり優秀な部類であり、マグナウェルの予想外の高評価に内心戸惑いつつもすぐに立て直した。
これは過去の経験が生きたと言っていいだろう。エリスにとってはいまだになぜかは完全には分かっていないのだが、最初の頃からエリスは快人からの評価が高かったため、快人を通じて知り合う相手から謎の高評価というのは幾度か経験済みである。
無論疑問は尽きないが、それでも高評価で悪いわけではないと割り切ってその後の会話を安定させることは問題なく、マグナウェルとの会話も滞りなく行えた。
まぁ、こうして優秀であるがゆえに立て直せてしまうため、次から次へと胃に痛い事態が発生しているのだが……。
ある程度の雑談を終えた後は、快人とエリスは帰り、マグナウェルもジム内を見学することになったのだが……ふとそこでマグナウェルはベンチに座ってワインを飲んでいるアリスを見て首をかしげる。
分体なのか快人とエリスが去っても残っているアリスに近付き、若干呆れたような表情で声をかけた。
「……なんでお前は、ワインなんて飲んどるんじゃ?」
「いいじゃないすか、私はつい最近K案件くらったばっかりなので、こういう時は美味しいワインを堪能したいんですよ」
「うん? なんぞあったのか?」
K案件とはアリスが度々使う造語であり、要するに快人関連でなにかしら大変な事態が起こったことを意味する言葉である。マグナウェルもアリスがそういう造語を使うのは知っており、首をかしげながらなにかあったのかを尋ねると、アリスはため息を吐いてから口を開く。
「……はぁ、手土産貰ったみたいな気軽さで未知の調味料を実質無限に生成する未知のアイテムを貰わないで欲しいもんですよ。譲渡云々の話は創造主同士で纏まってるかもしれませんが、噂とかが広まって混乱しないように対処したり、いざ世間とかに知られた時のための対策をしたり……誰がやると思ってるんすか本当……クロさんはベビーカステラ絡みだとIQ3ぐらいのポンコツに成り下がるので、役に立たないどころか広げる側ですし……」
「ああ、異世界の神関連は……それはまぁ、大変じゃったな」
「それになんか、やたら高位次元階層の世界にいずれ遊びに行きたいとか考えてるので、私も高位次元に適応するための特訓したり大変だったんですよ」
「……付いて行く気なのか?」
「私のいないところでカイトさんになにかあったらどうするんですか!?」
「う、うむ、そうか……」
大変だと主張しつつも、己も高位次元に適応して護衛としてついて行くつもりらしいアリスにマグナウェルは苦笑を浮かべる。
未知の調味料の件も、なにを言われるまでもなく対策をして、いずれ異世界にも行ってみたいと考えている快人の思いを否定したりはせずに、サポートする方向で己を鍛える。相も変わらず献身的なものだと、そう感じた。
「……ところで、シャルティア。あのエリス・ディア・ハミルトンをどうみる? ミヤマカイトがあそこまで言うほどの逸材なのか?」
「ある意味ではリリアさんに匹敵する逸材ですね……胃痛的な意味で……」
「胃痛?」
「まぁ、優秀なのは間違いないですよ。ただ知略とかでいえばクリスさんの方が上ですし、どっちかっていうとリリアさんには及ばないですが機を引き寄せるタイプですね。カイトさんと性格的な相性がよくて、かなり気に入られてるので今後もいろいろあるでしょうから注目しておくのは間違いでは無いですね」
アリスの評価としては、確かにエリスは能力は優れているが飛び抜けているというほどではない。全体的にバランスのいいタイプと表現するべきか、知力、体力、社交力、経営力など貴族に必要な能力がどれも高水準で纏まっている存在ではある。
間違いなく才女と呼べるほど優秀な存在ではあるが、飛び抜けた才覚を持つというほどの存在ではない。ただし、快人との相性が非常にいい。
性格自体が快人が好みやすいものであるのもそうだが、会話なども上手く、本人が意図せずではあるがネピュラ関連やペット関連という、快人の好感度が上がりやすいところをガッチリ抑えており……ある意味では運命のいたずらと言えるかもしれないが、快人の好感度を上げる才能は飛び抜けているかもしれない。
「本人は意図してなくて偶然で、なんならエリスさん自身もなんでこんなにカイトさんに気に入られてるのかって首をかしげてそうですけど……妙にカイトさんのツボを抑えているというか、話題のチョイスとかも含めてカイトさんの評価を上げるのが凄く上手いんですよね」
「人心掌握に優れていて、狙ってやっている……というわけではないと?」
「違いますね。いや、確かに社交界とかでの立ち回りを見る限り、話術とかもありますし話題の引き出しも多くて、話し上手というのは間違いないですが飛び抜けてるとはいえません。ただ、カイトさんとの会話だけはなんかやたら大正解を叩き出すというか……カイトさんとの会話中限定で、リリアさんみたいな引き寄せ体質になってるというか……まぁ、今後もいっぱい苦労するでしょうね。いや~ワインが美味しいですね!」
アリスの見立てではエリスは快人に相当気に入られており、なおかつ普段の快人との会話でもやたら正解を叩き出すので、今後も快人の好感度は上がって次々に胃痛の種が舞い込んでくるだろうと予想しており、愉悦を感じながらワインを傾けていた。
【シリアス先輩、外伝出禁】
シリアス先輩「ふぁっ!? なんで!? 出禁、なんで!? ナンデェェェ!?」
???「外伝の方は、カイトさんがあんまり出ないからじゃないですか?」
シリアス先輩「……え? 私、本人が気づいてないだけで、快人に取りついてる精霊かなにかなのか?」




