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勇者召喚に巻き込まれたけど、異世界は平和でした  作者: 灯台


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茶会の話~胃痛なる者⑨~



 身体強化魔法無しで器具をある程度体験した後は、身体強化魔法ありの高負荷の器具も一通り体験し、いくつかの感想や改善点を伝えてジム体験は終了となり、快人とエリスはそれぞれジム内のシャワールームに移動して体を洗っていた。


(……非常に洗練された施設ですね。簡単な運動から本格的な鍛錬まで幅広く、鍛錬に関して深い見識のある方が練り上げたと感じられます。ニーズベルト様は鍛錬に強い熱意を持つ御方と聞いていますし、流石というほかありませんね。ナミル様の話す内容を聞く限り、人族の身体能力の平均値などの情報も集めた上で調整しているようですし、どの器具にも複数の魔水晶を使用してまで幅広く調整を可能としていました。種族ごとの基礎身体能力に合わせて調整できるようにしてあるのでしょうね)


 ジムに関しては、一番最初に快人から話を聞いた時点であれば、エリスは有用性は感じつつもかなり難しいとは思っていた。というのも、魔族に比べれば少ないとはいえ人族も複数の種族が存在しており、アルクレシア帝国首都にも様々な種族や混血が存在している。


 首都に最も多い人間族に合わせると、次いで数の多いドワーフ族などには適さない。かといってそれぞれに合わせた器具を用意して設置していては、費用もかさむ上にスペースの問題もある。

 快人を体験に招待したことからも、ターゲットは人間族に絞って運営していくのだと推測していたのだが、実際に体験してみると様々な工夫により他種族に対応した施設となっていた。


(……一般的にまだ浸透しておらず馴染みのない施設ということもあって、定着までは若干の苦戦は擦るかもしれませんが、最初に珍しさ……そしてニーズベルト様の知名度などで勢いをつけ、冒険者などの体を鍛えることが重要な方たちを中心に定着させていく。基礎身体能力の向上という意味合いでは、ここの設備は騎士団等の設備を越えていますし、騎士なども着たがる者は多いでしょうね。意外と早い段階で、二つ目、三つ目のジムが出来てくる可能性もありますね)


 このジムはあくまで基礎身体能力の鍛錬に重点を置いており、武術や魔法の鍛錬には向かない。だが、そういった部分を排除して目的を絞っているからこそ、基礎身体能力の鍛錬においては騎士団の訓練場などより遥かにいい環境と言える。


(ニーズベルト様はどう展開をしていくつもりなのでしょうか? 自身が主導して次々にジムの数を増やしていくというのは……あの御方の印象に合いませんね。むしろあの御方なら、ある程度ジムの知名度が上がった段階でノウハウなどを公開し、他の商会などが参戦できる土台を用意した上で競争を促すような……それなら、この段階からある程度準備をしておけばハミルトン侯爵家もそれなりの利益は得られそうですね)


 エリスの予想は正しい、ニーズベルトは快人の話を聞いてジムに興味を持ち、このトリニィアにも複数のジムが存在して、様々な向上心ある者たちがいい環境で自己鍛錬を行える土台を作りたいと考えて先陣を切ってジムを作った。

 しかし、ノウハウやジムを作るにあたって集めた情報を独占する気は無く、エリスの想定通りに実際にやってみて問題ないと判断すれば、他の商会などが参戦しやすいように情報を公開するつもりだった。


 なんなら、軌道にさえ乗って他の商会などが興味を持って参戦するのであれば、自分が作るジムに関しては赤字でも問題ないと考えている。単純に自分自身もあくまで戦友と呼ぶ快人から教えてもらった情報で作ったものなので、独占して利益を得るのは主義に反するというのもあるのだろうが、事実としてエリスの読みは当たっており……その気になれば、それなりに大きな利益も得られるだろう。


(……ですが、まぁ、不要ですね。いま以上にハミルトン侯爵家が利益を得ても良いことはありませんし、単純にあちこち手を広げれば死角も増えます。仮に行うとすれば、このジムのような鍛錬を主としたものではなく、女性などに向けた美容を主目的とした運動施設ですかね? ターゲット層を考えると、内装などにもある程度拘る必要はありますが、利益自体は見込めそうです。しょせん素人考えの机上の空論ではありますがね)


 ついつい日頃からの癖で、自分が参戦した場合のことを考えてしまい、思わず苦笑を浮かべた後でエリスは体をしっかりタオルで拭いて、魔法具で髪をしっかりと乾かし、マジックボックスから取り出した化粧道具でナチュラルメイクのみを軽く施してから更衣室を出る。


(なんにせよ、心地よい疲労感がありますし、いい気分転換になりました。カイト様に感謝ですね)


 そんな風に考えながら快人が待っているであろう場所に向かって歩いていると、竜王配下の面々が慌ただしく動いているのが目に留まった。


(……なんでしょう? 慌てている? というよりは、やや浮足立っている? まるで位の高い相手を出迎える前のような……な、なんでしょう? 嫌な予感が……)


 チクリと警告を促すように胃が痛んだのを感じて、エリスはなんとも言えない表情を浮かべる。するとそこにたまたまナミルが通りがかった。


「……あ、ナミル様。申し訳ありません。なにか少し、慌ただしいようですが……なにかあったのでしょうか?」

「ああ、エリス嬢。申し訳ない……いや、もうすぐ『陛下』がいらっしゃる予定なんですが、いまここにいる連中は若いやつらが多くで、浮足立ってるみたいですね。客人に余計な不安を与えないようにって、アタシの方から注意しときます」


 苦笑しながら謝罪するナミルの言葉を聞いて、エリスの顔から血の気が引く。


(陛下? ……クリス陛下の事では無いですよね? ナミル様が陛下と呼ぶ相手……そ、それは即ち……りゅ、竜王様……なのでは?)


 叫びたかった……「そんな話は聞いていないと」全力で叫びたい気持ちを抑えつつ、エリスはそっとお腹に手を添えた。




シリアス先輩「エリスがなんの胃痛もなく帰れるとは思っていなかったが……四大魔竜じゃなくて、竜王の方が来たか……」

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― 新着の感想 ―
大丈夫だよ~ 人型の擬態ボディを手に入れた今となっては、ただの気の良いおじいちゃんだよ~ (フラグ建築)
「そっと胃」もすっかり定着。胃痛戦士の敬礼ですね。 胃を捧げよ!
お小遣い貰えそう笑
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