番外編・エイプリルフール大作戦~先輩と混浴~
告知していた通り、明日より隔日更新となりますのでよろしくお願いします。
慣れるまでは多少はストックが欲しいので、これから隔日で話を書いて行って……外伝の連載開始は……4/12か4/13あたりからと考えています。
シリアス先輩の勢いに圧される形でのれんをくぐると、そこは脱衣所のようだったが……男女分かれているような雰囲気がまったくない。
「……先輩、これ脱衣所もひとつしかない感じじゃないですか?」
「まぁ、別にこの旅館には私とお前しかいないし問題ないだろ……」
「ちょっ!? 先輩! なにいきなり脱ごうとしてるんですか!!」
「……いや、温泉入るなら服を脱ぐのでは? 着衣温泉は、流石に上級者向け過ぎる」
言うが早いかスカートを脱ぐような動きを始めていたシリアス先輩に慌てて声をかけるが、先輩はキョトンとした表情で不思議そうに首をかしげる……どうやら、羞恥心はどこかの拷問部屋に落としてきてしまったらしい。
「いやいや、そうじゃなくて……ここには異性の俺がいるわけで、少しは躊躇とかをですね……」
「え? いったい何の問題が……はっ!? そういうことか!」
「違います」
「だからまだなにも言ってないんだけど!?」
俺の様子を見てなにかに気付いた様子のシリアス先輩だったが、これまでの経験上たぶん俺の思いは届いていない。絶対見当違いなことを言い始める。
「……まぁ、気にするな。私は別に筋肉質な体がいいとか、そういう拘りがあるわけじゃないし気にしないから、恥ずかしがる必要は無いぞ」
「あ、ああ、なるほど、俺の方が服を脱ぐのを恥ずかしがってるって解釈を……えっと……う~ん」
なんだかなぁ、俺か? やっぱり俺の方がおかしいのか? なぜシリアス先輩はこうも堂々と平然としているのだろうか? やっぱ羞恥心が存在しないとかそういう感じだろうか?
「……その、いちおう確認するんですが……先輩は、俺と混浴をしても問題は無いんですか?」
「逆になんの問題が? あ、ああ、そうか……お前の考えている通り、確かに私との混浴イベントは前提条件が非常に厳しい! なんと私からの好感度が最大100のところ96を超えていなければ、私との混浴イベントは発生しないわけだ」
「確かにそれは、限界近くまで上げないといけないわけで大変そうですね……で、俺がここまで稼いだ好感度は?」
「5000兆」
「……はい?」
「だから、最大を100とすると5000兆ってところかな」
……その最大値、そこまで限界突破するようならなんの意味もないのではないだろうか? 頭悪そうな感じの数字のチョイスではあるが……とりあえず俺は、シリアス先輩の好感度を最大値の50兆倍稼いでいるらしい……なら、混浴ぐらい余裕か……むしろもはや結婚しててもおかしくないレベルの好感度である。
「………………温泉行きましょうか」
いろいろと思うところはあるというか、思考が追い付いてない部分は多々あるが……シリアス先輩側が、俺との混浴に対してまったく問題無いと思っているなら、俺の方からこれ以上言うべきことが無い。
とはいえ流石に気まずいので、背を向けて先輩の着替えを見ないように気を付けつつ服を脱ぎ、一緒に温泉に移動した。
温泉は露天風呂であり、どこかはよく分からないが雄大な山や木々が見える絶景な感じだった。各自で軽く体を洗った後で温泉に浸かると、混乱していた気持ちも収まって少しホッとした気分になった。
「いや~温泉はいいもんだな。快人、ここは敬愛する私にお酒とか用意する場面では?」
「ま、まぁ、酒を用意するのはいいんですが……その……ち、近くないですか?」
「近くてなにか問題が?」
「無敵か……この先輩……」
一緒に温泉に入っているのだが、シリアス先輩の距離感がおかしいというか、隣に座って当たり前の権利のようにもたれかかってきている。
スベスベの肌の感触はするし、迂闊に横を向くと結構透明度のある温泉のせいか、非常に危険な部分まで見えてしまいそうで視線はずっと斜め上に向いている。
とりあえず、先輩ご所望の酒は出して、お盆に載せて渡しておく。
「というか、この温泉深くないか?」
「え? いや、普通だと思いますけど……」
「身長の問題……いや、私の足が長くて座高が低いのが原因か!!」
「まぁ、先輩が小柄なのは間違いないと思いますが……」
クロよりは高いが、150㎝ぐらいの身長なので小柄と言って問題ないとは思う。そんなことを考えていると、シリアス先輩は驚きの行動に出た。
「もう少し……ああ、そうだ。こうすればいいか」
「は!? ちょっ、せ、先輩!?」
斜め上に視線を向けていると、いいことを思いついたと言わんばかりの声が聞こえ、直後に腿の上にふにっと柔らかい感触と共になにかが乗ってきて、慌てて視線を向けると……なんかシリアス先輩が、俺の膝の上に座っていた。
馬鹿じゃないのか!? なんかもうちょっと、こう躊躇とかそういうのだがあるだろう!! 特にその辺りは大変に危険かつデリケートなゾーンなわけで、恋人でももうちょっと段階踏むと思うレベルの凶行なんだけど!?
「ふっ、不満げに抗議しても無駄だ! お前にはしばらく、高さ調整のための椅子をしていてもらう!!」
「いや、そういう問題じゃないんですよ!」
「うん?」
「こっち振り返らないでください見えちゃうから!!」
「ううん? 別に一緒に温泉入ってるんだから見えても問題ない気が……よく分からんやつだ。あっ、快人も飲むか、注いでやるぞ」
「ちょっ、膝の上で動かないでください!!」
「……えぇぇ、注文の多いやつだな」
「俺の方が困ったやつみたいな反応はおかしいでしょうがぁぁぁ!!」
本当にあまりにも無防備というか、完全ノーガード過ぎて危険極まりないというか、俺の反応に対してシリアス先輩が心底不思議そうにするせいで、なんか俺の反応がおかしいみたいな空気になるのはもはや一種のバグだと思う。
ほ、本当に、なんというか……毎年の事ではあるが、シリアス先輩には毎回振り回されている気がする。
???「さんざんイチャラブに文句言ってるくせに、自分もちゃっかりイチャラブしてるじゃないっすか!?」
シリアス先輩(好感度5000兆)「いや、私と快人の仲ならこのぐらいのスキンシップはじゃれ合いレベルでは?」
???「いやいや、裸体で接触とかだいぶとんでもないことしてますが!? オリハルコンの理性を持つカイトさんだったから大丈夫だったわけで、一歩間違えばもっと凄いことになってたわけですよ?」
シリアス先輩(好感度5000兆)「別に快人がなにかしたいなら、好きにすればいいと思うけど? 私は別に全然問題ない」
???「駄目だこの先輩、好感度高すぎて許容範囲がバグってる……」




