双極神ティアナ⑳
リリアさんに追加で話をしに行ったティアナさんもすぐに戻ってきて、準備も問題なかったのでバーベキューがスタートした。
「いや~リリアちゃん、明らかにホッとした顔してたし、ネピュラさんの言う通り人目に触れる場所に飾らないと失礼って風に考えてたみたいだったね。手遅れになる前に伝えれてよかったよ」
『反省を出力……《私たちが、飾って楽しんでほしいって言っちゃったのも、悪意無くプレッシャーになっちゃってたかもね》……リリア・アルベルト側の視座での思考が浅かった』
「世界が変われば常識も変わるので、難しい部分でもありますけどね。その辺りは、カナーリスさんにアドバイスを求めるのがオススメですよ」
ティアナさんもイレクトローネさんも真っ当かつ常識的な方々であり、図らずもリリアさんにプレッシャーをかけてしまった事実をちゃんと受け止めて反省しており、それだけでもふたりが善良であることが伝わってきた。
実際俺も考えが甘かったというか、ドラゴン関連の品なら喜ぶだろうという安直な思考もあったかもしれない。
そんなふたりにたいし、ネピュラはカナーリスさんにアドバイスを求めるといいと語る。確かに、カナーリスさんはその辺りをあんまり失敗しているイメージはない。リリアさんと初対面の時もあまりプレッシャーのようなものを与えていた感じもなく、各国の王にニフティの責任者として挨拶に行った際も問題なく挨拶を終えていた。
「単純に経験の差ってのもあるとは思いますよ。自分は流転神なんて呼び名が付くぐらいには、あっちこちの世界を渡り歩いてましたが、ティアナやイレクトローネは中々別の世界に来た経験も無いでしょうしね」
「実際手探りな部分はあるね。来訪する時の存在規模の調整とかには、結構苦戦したよ」
『同意を出力……《あ~私も、かなりそこは難しかったね。シャローヴァナルの世界って、宇宙空間とか無くて規模的にはかなり小さめだからね》……実際に初来訪の際には調整がやや甘く、現地で再調整を行った』
ティアナさんが苦笑しながら告げた言葉に、イレクトローネさんも同意する。なんか似たような話を聞いたことがあるというか、マキナさんもそんなことを言ってた気がする。
「そういえば、マキナさんもトリニィアは世界のサイズが小さいから、かなり気を遣うって言ってましたね」
「快人様に分かりやすいように例えますと、ティアナやイレクトローネの存在規模が大体サッカーボールぐらいだと想像してみてください。サッカーボールを浴槽に入れようと思えば……簡単ですよね。ポイって雑に放り込んでも入りますし、それで浴槽が壊れたりもまずしないです。でも、ガラスのコップに入れようとしたら途端に難しくなると思いませんか?」
「難しいですね。というか、そのままでは入らないですよね」
「その通りです。なので、ティアナやイレクトローネはそのサッカーボールをギュッと圧縮してコップに入るサイズまで縮めてるんですが、サイズ調整を間違えるとコップを割っちゃったりする危険もあるので、世界サイズが小さいと結構気を遣う感じですね……まぁ、そもそも、存在規模を圧縮って形で調整すること自体が難しいので、オススメできる方法じゃないですけどね。ちょっとの誤差で大きく変わったりしますし……」
「……その言い方だと、カナーリスは違う方法を使ってるの?」
カナーリスさんの説明を聞いて、ティアナさんは軽く首をかしげて反応する。確かにカナーリスさんの言い方だと、ティアナさんやイレクトローネさんの方法はあまりよくないと言ってるようにも聞こえる。
「自分は分割して収納してるので、自分の存在規模はこの世界の一般人と変わらないですよ。たはぁ~大変にスリムで低燃費なゴッドです。というか、この方法が一番楽ですよ。細かく分割して収納しておいて、必要に応じて引き出す形にすれば、存在規模を抑えつつゴッドパワーは普通に使えますから……まぁ、全力で力使ったりするなら別ですが……」
「分割、収納……あ、あぁぁぁ!? そうか! ほとんどの力を別次元に格納して、それを引き出す出入り口……出力部分だけで体を構築して、使う時に必要な分だけ出力してるんだね!」
『納得を出力……《な、なるほど、確かにそれなら存在規模は滅茶苦茶小さくできる》……感心した』
話のスケールが大きすぎて俺にはサッパリではあるが、ティアナさんやイレクトローネさんにとっては目から鱗レベルのテクニックだったみたいで、明らかに感心したという様子だった。
「後で分割の分け方のコツとか教えますよ。それですぐにティアナもイレクトローネも同じことが出来るようになると思います。あとこっちで、快人様以外になにかを作って渡すときは、全知でザッと調べるのが手っ取り早いですよ」
「その辺りの経験値は流石ですね。今後主様への挨拶のために来訪する者たちに、一度来訪前にカナーリスさんがアドバイスをするのがいいかもしれませんね」
元々様々な世界を渡り歩ていただけあって、カナーリスさんは世界のサイズとか文明規模に対する小技とかテクニックをいろいろ持ってそうで、たしかに一度カナーリスさんが指導したりしてくれれば、これから来る神様たちに関しても結構安心できるかもしれない。
絶対者「ついでに、今後来訪予定の世界創造主による胃痛も軽く対策しておいたぞ」
胃痛の悪魔「な、なんてやつだ……(震え)」




