双極神ティアナ⑥
よく晴れた日、今日は異世界から双極神さんがやってくる日である。場所は俺の家の裏庭にあるテラス席であり、カナーリスさんの作った異空間が近くにある場所だった。
ちなみに場所は、なぜか顔に大きな円状の穴が開いたカナーリスさんから聞いた双極神さんの希望であり、出来れば屋外がいいということだったのでテラス席を選んだ。
そろそろ約束の時間だとそう思っていると、不意に空気の感じが変わった。表現するのなら急に水の中に入ったかのような感じだが、動きにくさとか圧のようなものを感じるわけじゃない。
強いて表現するなら俺には影響がないのだが、空気がいきなり質量を持ったというか密度が上がったかのような感覚だった。
そしてその直後に視線の先に光が現れ、双極神さんと思わしき人物が現れた。
少し独特のワンピースとズボンが合わさったような服……アオザイとかに似ているが、少し違う感じのどこか民族衣装っぽさもある綺麗さと動きやすさを兼ね備えたような服を着た女性で、綺麗な薄桃色の長い髪をいくつもの小さな束に分けるように括っており、毛先には鈴のようなものが付いていてチリンと綺麗な音が聞こえてきた。
双極神さんは軽く手を開いたり握ったり、体の様子を確かめるように少し動かしてからこちらを振り向く。透き通るような翡翠色の目が俺を捉えると、双極神さんは苦笑を浮かべ直後に先程まで感じていた妙な空気が元に戻った。
「……あはは、いや、サイズ調整を間違えちゃうとこの空間が私の存在そのものの圧力で潰れちゃうから、事前にちょっと保護してから来たんだ。驚かせたならごめんなさい」
そういって苦笑する双極神さんを見て、なんとなくではあったがカナーリスさんが言っていたことが分かった気がした。なんというか、表情というか雰囲気というか……パッと一目見て「あっ、この人いい人だ」と思える感じであり、なんというか纏う雰囲気というか表情というか、そういうのがすでに優しいのだ。
リリアさんとか香織さんとかに雰囲気は近いかもしれない。ともかく、本当に優しそうな方である。
「改めて、初めまして……カナーリスとかから聞いてると思うけど、私は双極神って呼ばれてる世界創造主だよ。ティアナって呼んでもらえると嬉しいな。ずっと貴方に会いたかったんだ……こうして会えて、すごく嬉しいよ」
「初めまして、えっとご存じとは思いますが宮間快人です。よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしく……握手していいかな?」
「あ、はい」
自己紹介をした後で嬉しそうにティアナさんは嬉しそうに俺の手を取って握手をしてきた。うん、やっぱり凄くいい人って感じの雰囲気で、かなり話しやすそうな気がする。
「全知とかで知ってはいたけど、やっぱりこうして直接会うと快人様が優しい子だって伝わってきて、なんだか嬉しいね」
「あ、えっと、別に様とかは付けなくても大丈夫ですよ?」
「そう? じゃあ、快人くんって呼ばせてもらおうかな。私のことも気軽に読んでくれて大丈夫だよ」
「じゃあ、ティアナさんって呼ばせてもらいますね。よければ、こちらの席にどうぞ」
「ありがとう、それじゃあお言葉に甘えて……」
テラスの席を促すとティアナさんは優し気な微笑みを浮かべて席に座り、俺も一言断ってから対面の席に座る。
「えっと、飲み物は紅茶でも大丈夫ですか?」
いちおう異世界の神様相手なので、イルネスさんに給仕とかを頼んでもいいのか分からなかったので、紅茶やコーヒーなどを事前に用意してマジックボックスに入れてある。
そんな俺の言葉を聞いて、ティアナさんはニコッと優しく微笑んでから口を開いた。
「気持ちは嬉しいけど、もしよかったら私に用意させてくれないかな?」
「え?」
「私の尊敬する方の受け売りなんだけど、大きな力を持つ存在はそれだけ余裕も多く持てるから、こういう場でアレコレ気を使うのは大きな力を持つ側であるべきってね。快人くんが私を持て成そうとしてくれてるのはすごく嬉しいよ。でも、できれば、あまり私に気は使わずに自然体でいてくれた方がいいな……なんて、偉そうに言っちゃったけど、実際は目的があってね。もし快人くんさえよければ、私の世界の飲み物をご馳走させてくれないかな? 実は、シャローヴァナルには許可は取って持ってきてるから、快人くんに飲んでもらいたかったんだ」
「ティアナさんの世界の飲み物ですか、それは興味がありますし……ティアナさんがいいのであれば、是非いただきたいです」
どうやらお土産というか、ティアナさんの世界の飲み物を持ってきてくれているようで、それをいただくことになった。
やっぱりというか、なんというか……相当話しやすいというか、気を使っているように見せて実は自分が持ってきた飲み物を振る舞いたい……というような茶目っ気のある雰囲気をあえて出して、俺が変に恐縮せずに提案に甘えれるようにしてくれているというか、本当に優しい人という感じで、これなら安心して話が出来そうだと、そう思った。
シリアス先輩「リリアや香織に近い雰囲気となると、快人の初期好感度はかなり高そうなタイプか……これ本当にイレクトローネみたいに、今後も来れるようになるパターンでは?」




