双極神ティアナ②
カナーリスさんと予定を話し合い、双極神さんと会うのは三日後という形で話がまとまった。基本的には俺に会いに来るだけなのだが、ここはやはりリリアさんには話を通しておくべきだろう。
イレクトローネさんのようにリリアさんにも挨拶をしたいと言うかもしれないし、そうじゃないにせよ異世界の世界創造主というとんでもない存在が来訪するわけだから、事前に話を通しておかないと後が怖い。
ただ、いまはリリアさんは出かけているみたいなので夕食の際にでも言うことにしようと、そう考えていると部屋に唐突にクロが現れた。
「カイトくん! 来たよ~」
「いらっしゃい……この時間に来るのは珍しいな」
「うん。ちょっと、カイトくんに話というか……誘いにきたんだよね」
「誘いに? 今日は特に予定はないから大丈夫だけど……」
夜に遊びに来ることが多いクロにしては珍しい時間に訪ねてきたものだと思ったら、どうやら遊びにきたのではなくなにかに誘いに来たらしい。
「ああいや、今日じゃないんだよ。えっと、どこから話すべきか……ほら、前にすき焼き作った時にさ、一緒に遊園地にいったよね?」
「ああ、アリスがシロさんから貰ったやつな」
「そうそう、あの時にシャルティアがチラッと言ってたと思うんだけど、あの遊園地を改良して魔界で公開するって……その遊園地がついこの前完成してね。オープニングイベントというか、招待客を呼んで実際に遊んで回ってもらおうってことになって、カイトくんとかリリアちゃんとか他の皆を招待したいんだよ」
「あ~なるほど、それは楽しそうだ。ちなみにいつ頃を予定してるの?」
「今回は別にセレモニーとかってわけでもないから、各国の王も一応は招待するけど参加必須とかってわけでもなく、自由参加みたいな感じで丸一日解放するから好きな時に来て実際に遊んでみて欲しいって感じで行こうと考えてるから……十日後辺りを考えてるんだけど、カイトの予定は大丈夫?」
「ああ、大丈夫。直近の予定で言えば三日後に双極神さんって人が会いに来るぐらいしか予定はないけど、リリアさんの方は分らないな」
リリアさんとか葵ちゃんとか陽菜ちゃんと一緒に遊園地に行けるなら、かなり楽しそうな気がする。予定としても問題ない。
ただリリアさんに関しては俺と違って貴族としてのアレコレもあるだろうし、予定が空いているかどうかは分からない。
「リリアちゃんには、明日にでも招待状を渡して説明しておくよ」
「了解、それじゃあ……うん?」
「……うん? シロ? なんでいきなり表れたの?」
クロとの話がまとまりかけたタイミングで、唐突に部屋に光が現れてシロさんが姿を現した。
「いえ、快人さんに用があったのですが、たまたまクロが快人さんと一緒にいるようだったので、私の用件もクロのものと似ているので一緒に約束を済ませておこうと思ってきました」
「う、うん? シロも快人くんをどこかに誘うってこと?」
「はい。正しくは、前々から約束をしていました。ハイドラ王国で一部達成はしましたが、アレは約束のものとは別なので」
「……約束、ハイドラ王国で一部達成……ああ、温泉旅行ですか?」
シロさんの言葉を聞いて思い至ったのは、温泉旅行に関してだった。確かにそういう話をしていたし、約束もしていた。
「はい。そして、入念な準備の下、ようやく温泉街が完成したので快人さんを誘いにきました。もちろんそれだけの用件であれば、快人さんを神界に呼んで伝えればいいのですが、クロにも関わる話なので……」
「うん? ボクにも?」
「はい。私は素晴らしい温泉街を作り上げまして、そこで快人さんといちゃらぶ温泉デートをするつもりです……羨ましいでしょう? 羨ましいですよね?」
「……え? あ、う、うん。そうだね。羨ましいな~」
背後にドヤァという文字を浮かべながら告げるシロさんの言葉に、クロは若干空気を読んだ感じで羨ましいと返答していた。間違いなくその返答がシロさんが求めている答えで、そう言わない限り無限ループしそうな感じもあった。
「そうでしょう。クロが羨むのも仕方がないことです。本当に素晴らしい温泉街が出来ましたので……とはいえ、それを自慢しに来ただけではありません。今回は特別に、快人さんの恋人に関してもスーパーWINシステムの使用も可能としたうえで、温泉街を使うことを許可しようと思っています。もちろん一番最初は私ですが……」
「あ、あ~なるほど、ボクや他の恋人もカイトくんと温泉デートしていいよってことだね。へぇ~それは楽しそうだし、いいね! アイシスとかも温泉が好きだしきっと喜ぶよ!」
なるほど、恋人と温泉旅行、シロさんだけでなく皆ともか……それは確かに結構良さそうというか、なんだかんだで温泉旅行というのは楽しそうだ。
シリアス先輩「……待ってほしい。これ、リリアの胃だけじゃなくて、私も砂糖でぶん殴られるやつなのでは?」




