双極神ティアナ①
朝起きてコーヒーメーカーでコーヒーを淹れて、それを飲みつつ今日は何をしようかと考えているタイミングでカナーリスさんが訪ねてきた。
「おはようございます、快人様。少しお時間よろしいでしょうか?」
「おはようございます、カナーリスさん。ええ、大丈夫ですよ……あっ、カナーリスさんもコーヒー飲みます?」
「おっと、出会い頭にそんな特大のご褒美をかまされると、自分の情緒が大変なことになりますよ。たはぁ~情緒不安定で申し訳ない! 快人様が手ずから入れてくださったコーヒーとか、あまりにも恐れ多くて恐縮MAXって感じで……ありがたくいただきます!」
「魔法具のスイッチ押してるだけなので、俺が淹れたといっていいのやら……」
相変わらず無表情なのに声は感情豊かというカナーリスさんに苦笑しつつ、マグカップにコーヒーを淹れてカナーリスさんに手渡す。
「それで、なにか用事ですか?」
「用事と言いますか、快人様の予定の確認ですね。たはぁ~快人様をデートに誘うためのスケジュール確認とか言っちゃうと大げさというか、本題から外れますが」
「デート? カナーリスさんと出かけるってことなら、別に俺は予定が空いてる日ならいつでもいいですが……」
「おっと、快人様。それは大変にデンジャラスな発言ですよ。自分、ちょろゴッドなのでそんなこと言われると本気にしちゃって夜も眠れなくなってしまって昼寝に移行しますよ。たはぁ~自分ゴッドなので睡眠は必要ないのですが……え? 今回の件とは関係ないんですが……マジでいい感じの牧場作ったので、一緒にソフトクリームでも食べませんか? とかお誘いしても付き合ってくれます?」
「え、ええ、全然かまいませんというか……結構楽しそうなので、むしろ行ってみたいです」
前に牛の品種改良してるって言ってたけど、牧場レベルにまで行ってるのか……あんまそういう牧場とかに行ったことが無いので、興味があるし普通に行ってみたい。
ソフトクリームは品種改良した乳牛のミルクで作ったものだろうか? なんか、普通に美味しそうだし食べたい。
「……おっと、いけません。完全に思考がそっちに全力疾走してました。たはぁ~そちらに関しては、今度改めてお誘いしますね。それで、本題なんですが……自分の知り合いの神……まぁ、端的に言っちゃうとネピュラさん関連の神が、シャローヴァナルから許可が取れたので快人様に会いに来たいということなので、快人様の予定を確認に来ました」
「ああ、なるほど……予定は結構空いてるので、それこそ明日とかでも大丈夫ですが……イレクトローネさんとはまた別の神様ってことですかね?」
「ええ、来る予定なのは双極神と呼ばれる……まぁ、激強な神です」
「げ、激強?」
「ちょっとヤバいぐらいに強い神です。ごく一部の特殊な例を除けば、全知全能級の中でも一番強いんじゃないかってレベルの強い神です。ああいや、性格はマトモですよ。自分も結構昔から仲良くしてて、あれこれ急な頼み事とかしても、快く引き受けてくれる優しい世界創造主ですね。ただ、激烈に強いだけです」
全知全能の神であるカナーリスさんが、ここまでハッキリ強いというぐらいだから相当レベル違いに強い神様なんだろう。
まぁ、俺には全知全能という時点で想像もできないほどに次元が違う存在なので、その中でもトップクラスに強いと言われてもどのぐらいかサッパリ分からないが……。
「まぁ、アレですよ。そもそも全知全能級の戦い自体が、快人様的には馴染みのないものかもしれません。表現するのであれば、時間制限も回数制限もなく、何回でも手を変えていいじゃんけんって感じですかね」
「……うん? それ、決着つかないのでは?」
「基本的に付かないことの方が多いですね。全知全能級同士の戦いなんて、本当に延々と後出しじゃんけん繰り返してるだけで、明確に決着が付くこと自体が稀です。そのままひたすら不毛な後出しじゃんけんを続けて、どっちかが折れて休戦しよう的なことを言って、言い出したほうがちょっとだけ不利な条件で協定を結んで終わりって感じですね。まぁ、そうなるまでに数百億年とかかかったりするので、本当に面倒なんですよね。たはぁ~感覚がゴッドで申し訳ない!」
「そりゃまた、凄い世界ですね」
言われてみればどちらも全知全能だったら、本当にそんな感じで決着なんてつかないか……。
「本来ならそういう風になる戦いを、短時間で終わらせることが出来る世界創造主は、明確に強い……全知全能越えと言っていいかもしれませんね」
「双極神さんって方がそんな感じなんですか?」
「そんな感じですね。なんでしょう、双極神の場合は……先程のじゃんけんに例えると、グーでパーを貫いて、チョキでグーを切り裂いて、パーでチョキをへし折るというか……そんな感じといえば、強さが伝わりますかね?」
「とんでもなく強いってことだけは分かりました」
つまりその双極神さん相手には、後出しでなに出そうが正面からぶち抜かれると、そういうことらしい……とんでもない方ではあるが、カナーリスさんが明確に性格はマトモとか優しいって言ってるので、実力は凄いがいい人って感じなのだろう。
それなら安心だし、会うのが楽しみだ。
シリアス先輩「来るのか、理不尽バーサークゴリラが……」




