閑話・もちろんこちらの原因も……
コングさんやグラトニーさんも興味を持った専用ブラシだが、フレアさんのところに行った時に考えた様にアメルさんにも勧めてみようと思っていた。
そしてアメルさんに勧めるのは結構簡単というか……割とよく遊びに来るので、単純に会う機会が多い。
「ふぁぁぁ、これが最新型のコーヒーの魔法具!? いいなぁ、ボクも買おうかなぁ……はっ!? んんっ! さすが、盟友というべきか、新しく生まれた光を即座に手中に収める辺り、視野の広さが感じられる」
「買ったのは偶然でしたけどね。アメルさんの家で見て、欲しいなぁとは思ってたので……」
「盟友っ!」
最新型のコーヒーメーカーに目を輝かせていたアメルさんだったが、俺の言葉を聞いて分かりやすいほどに嬉しそうな表情を浮かべる。
たぶん、自分が持っていたコーヒーメーカーがきっかけで俺が同じような魔法具を買ったのが嬉しいんだと思う。なんというか、友達と共通の話題があるとそれだけで嬉しくなるようなイメージというか……本当に、アメルさんと居るとたびたび背後に飛び跳ねんばかりに喜んでるポメラニアンの幻影が見える気がする。
「そういえば、アメルさん。その魔法具とは関係ないんですが、前に専用ブラシを発注したって話をしたじゃないですか?」
「ああ、従魔用のブラシだったかな? ボクは従魔を使役してはいないが、盟友が拘りを持っているのは知っている。盟友の目に叶うだけの輝きを持つ品だったのか?」
「ええ、使用感は凄くよかったんですが……それ以上にちょっと、専用ブラシ関連で有翼族にも有益かもしれない情報があって……詳しく説明すると……」
とりあえずアメルさんに対して、フレアさんから聞いた話を説明する。有翼族の翼に魔力浸透率が影響しているのかどうかは分からないのだが、影響があるのなら有翼族にとってもいいブラシではないだろうかと、そんな感じに説明をした。
「……なるほど、確かに魔力浸透率は重要だ。ボクたち有翼族の翼は強き魔力を宿すが、悲しいかな等しく輝きに包まれるわけではない。羽根一枚一枚まで魔力を通わせるのは困難と言えるだろう。その上、魔法を使えるものは限られるからね」
「ああ、そっか、忘れがちになっちゃいますけど、人族にとっては魔法は専門技術みたいなもんでしたね」
「徐々に改善されていて、特に最近は人間族を中心に習熟速度の向上が見られるが、悲しいかな閉ざされた地に生きる有翼族に、新たなる光は易々とは届かない。革新の光に歩む者たちに背を向け、安寧を享受しているのはボクとしては思うところがあるが……」
魔法習得者は多くなく、クロとかが最近進めている人族への魔法指導の改善も閉鎖的な種族としての特徴が悪く影響している感じか……有翼族はもっと外と交流すべきと考えてるアメルさんにとっては、頭の痛い問題だろう。
「それで、このブラシなんですか……これはとりあえず魔法が使えなくても魔力を注ぐことさえできれば使えるので、魔法を覚えるよりずっと敷居は低いと思いますし、有翼族にとって翼は誇りって前に言ってましたし、それをより綺麗にするためなら外と交流しようって気にもなるんじゃないですかね? ほら、これ専用ブラシなので、作るには本人がなにかしら提供したり要望出したりする必要がありますし……」
「……!? そ、それだっ!! 確かにそうだよ、翼用のブラシなら、外と交流してでも手に入れたいって者は多い筈! きっかけはなんでもいいんだ。まず自分から意識を持って外と関わろうとするのが大事だから、それができるなら……凄いよ盟友! 有翼族が変わるきっかけになるかもしれない!!」
どうやら俺の提案はアメルさんにとってもよさそうと感じるものだったみたいで、目を輝かせてハイテンションで話しかけてきた。
完全に素の口調に戻っているあたりからも、興奮度合いが伝わってくる。
「それに、盟友が使ってるのも大きい。創造神様の祝福を受けた盟友も愛用してるブラシなら、皆もきっと欲しがるはずだよ! それがきっかけで、皆ももうちょっと他種族とかに対する態度が柔らかくなってくれたらいいなぁ……ありがとう盟友! 新たな光が見えたよ!!」
「喜んでもらえたならよかったです。たぶん大丈夫だとは思うんですが、いちおう有翼族用のブラシも作れるかどうか確認してみたほうがいいとは思います。シャロン伯爵家のコーネリアさんって方が、俺の友達なので最初はコーネリアさんに相談してみるといいかもしれません。もし、アレなら俺も一緒に話を聞きますし……」
「盟友の友達なら間違いないね! コーネリアさんは、有翼族と他種族の架け橋になってくれるかも!! えへへ、楽しみだなぁ~」
「……ところでアメルさん」
「うん?」
「いや、口調……」
「はっ……あわわわ、こほん! 盟友の視座の広さにはいつも感嘆させられる。有翼族に新たなる光と架け橋となりえる存在を示してくれたこと、種を代表して感謝する。夜明けの光は見えた。改革の時は近く、翼に煌めきを与える逸品を鍵として、閉ざされた扉はきっと開かれる筈さ」
別に素の口調でもいいとは思うのだが、単純に恥ずかしいのかいつもの中二チックな言い回しに戻った後で、アメルさんは決意を固めるようにグッと拳を握った。
ただまぁ、有翼族と他の種族の架け橋とかそんな話になるとコーネリアさんも大変だとは思うので、その場合は俺も間に入ったりしようとは思う。
特にほら、アメルさんの話し方でまともに意思疎通ができるかどうかという部分もあるし……。
シリアス先輩「……知ってた」
???「閉鎖的な有翼族に改革を起こす鍵、架け橋にされるなんて……コーネリアさんの未来は明るいですね~」
シリアス先輩「あまりにも明るすぎて、光に焼き尽くされてるんだけど……」




