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勇者召喚に巻き込まれたけど、異世界は平和でした  作者: 灯台


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商会と専用ブラシ⑫



 もう既に現実逃避でもしたい気持ちでいっぱいではあったが、コーネリアはなんとか持ち直しつつマグナウェル、ニーズベルト、エインガナからの手紙を順に見ていく。

 内容としてはやはり専用ブラシに関係するものであり、特にエインガナがコーネリアの想像以上に専用ブラシに興味を持っているようで、場合によっては大量発注も考えていると記載されていた。


(……やはり想像以上ですね。特にエインガナ様が竜種の中でも美に拘る御方と聞きますし、魔力浸透率への関心も強いのでしょう。ただ、エインガナ様本人が使用するというわけではなく、部下に欲しがるものが多いため窓口となろうとしているように見えますね。ニーズベルト様やマグナウェル様も同様で、ご本人ではなく部下が発注を行う際の手順などに伺いを立てていると感じられる内容……なんにせよ、工房の拡大は必須ですね)


 この展開により、ほぼほぼヴィクター商会の経営権をシャロン商会が買取り、コーネリアが代表の座に就くという想定が確定したことで、若干遠い目をしつつも……それでもまだ、ここまでは内容が予想できたものだった。

 問題なのはこの先であり、内容のまるで予想が付かない手紙……まずコーネリアはそのうちのひとつ、アメルからの手紙を手に取って開き……宇宙に放り出された猫のような顔に変わった。


(……う、ううん? 言い回しが複雑すぎて、内容が……架け橋? 閉ざされた門? 新たなる光? そ、そういえばアメル様はとても難しい言い回しを行う方と聞いた覚えが、しかしこれでは用件が……この盟友というのはカイト様のことでしょうし、カイト様が関わっている? それであれば、失礼かもしれませんがカイト様に確認を取れば……ああ、そういえば、その前に有翼族の交渉担当から来ている手紙もありましたね)


 アメルからの手紙は中二的言い回したっぷりのものであり、コーネリアには意味がサッパリ分からなかった。ただ、盟友から聞いたという記載があったので、快人が関わっていることは確実であり、そちらに確認を取ろうかと考えたが、先にもうひとつの有翼族からの手紙を読んでみることにした。

 そして、その手紙を読み始めると……コーネリアの顔は驚愕一色に染まっていった。


(……は? ウチと……シャロン伯爵家との取引を考えている? そ、そんな馬鹿な!? 有翼族は里に隣接している子爵家以外とは一切取引を行わない筈です。一部アルベルト公爵家のように一時的な取引が発生することはありますが、あれは伝手で有翼族側に強く願って承認された形。有翼族側から距離の離れたシャロン伯爵家にある程度継続的な取引を持ち掛けてくる? 一大事ですが、これは私ではなく当主であるお父様に……うん? えっと……専用ブラシの取引を希望……は?)


 手紙の内容は、有翼族とシャロン伯爵家の取引について検討したいというものであり、極めて閉鎖的で限られた相手としか取引を行わない有翼族が、そのような交渉を持ち出してくるのは異常事態とも言えた。

 実際に有翼族の特産品には、そこでしか手に入らないものも多く需要はあるし大きな取引にはなる。だが、なぜそれを跡取りでもない自分宛ての手紙で提案してくるのかと思ったが……その答えも手紙の中にあった。


 翼用のブラシとして、専用ブラシを作成したいというものであり、そのためにシャロン伯爵家と交流を持ちたいという趣旨であり……つまるところ、これも責任者がコーネリアになるであろうヴィクター商会に向けられた取引だった。


 いまにも泡を吹いて気絶しそうな表情を浮かべながら、コーネリアは必死に頭を巡らせる。


(な、なな、なぜそのような話に!? い、いえ、待ってください。予想はできるのです。出来てしまうのです……有翼族の長であるアメル様は、カイト様と親しいという話ですし、つまり専用ブラシに関してカイト様から話を聞いて興味を持った? い、いえ、しかし、その程度でシャロン伯爵家と取引を決めるとはとても……そ、それだけ、カイト様を信頼している? 盟友と呼ぶほどですし、アメル様にとってカイト様は信頼のおける相手というのは分かりますが……い、いえ、しかし、カイト様の元に専用ブラシが届いたのもごく最近ですよ? それが、こんな短期間で!?)


 呆然とするコーネリアの頭に、以前エリスから聞いた「巨竜の羽ばたき」という言葉がリフレインした。いままでの事があり、コーネリアは快人の影響力を相当高く見積もっていたつもりだった。

 だが、それでもまだ認識が甘かったと痛感していた。極めて閉鎖的な有翼族に交流の窓口を開かせるほどに影響力があるとはと、戦慄しつつ……直後にハッとした表情で残る手紙を見た。


(ま、まさか……バッカス様からの手紙も、グラトニー様からの手紙も……か、カイト様が専用ブラシを宣伝した結果のものなのでは? ま、待ってください!? だ、だって、まだ数日……)


 そこまで考えたところで、コーネリアの頭にもうひとつの言葉が浮かんだ。最初に快人にヴィクター商会の説明をした時や、その後に紹介した際などに……「売り上げが増えると嬉しい」という旨の発言をしていたことを……。

 もしこの調子で、快人が知り合いに宣伝を行った場合どうなるのか……全身が凍てつくような寒気を覚えつつ、コーネリアは大急ぎて手紙用の紙を手に取り、快人への手紙を書いた。


 宣伝に関するお礼と、十分な注文があるのでこの辺りで宣伝はいったんストップしてもらって大丈夫だと……そういう内容を必死に描いた後、使用人にいくらかかってもいいから可能な限り早く快人の手に届くように手配してくれと……長年伯爵家に務める使用人でも、始めて見るような必死の形相で指示を出した。




シリアス先輩「たぶん、コーネリアの想像の数十倍ぐらいアメルは快人に好意的というか、懐きまくってる子犬状態なので『盟友が言うなら間違いない!』ぐらいのレベルだと思う」

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― 新着の感想 ―
やったねコーネリアちゃん! このまま行けば自前の爵位も貰えちゃいそうだね!w
これが、いわゆる″カイト・コネクション″ですなw
カイトの行動力+ペット愛+チート転移門で即拡散w 宣伝しまくりでどこまで伝わるのやら・・
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