香織と映画鑑賞㉑
残業で帰宅が遅くなったので短めです。
広い風呂を堪能したあと、風呂から出て髪を乾かしてから一度快人の部屋に行って風呂から上がったことを伝えた後で、香織は客室に移動する。
部屋はスイートルームかと思うほど広く、魔法具なども複数置いてあって快適に過ごせるように整えられている印象だった。
(あ、改めて見ても凄い部屋……私の寝室の倍……いや三倍は余裕でありそう。こんなに広いと掃除とかも大変そうだけど……ああでも、イルネスさんとかは伯爵級高位魔族って話だし、清掃が終わった後は次に扉を開けるまでとかって感じの限定的な状態保存魔法をかけておけば、使用してない時には掃除はいらないのかな?)
元々快人の家はリリアの屋敷を模して建てられたものであり、部屋の造りなども似通った部分は多い。それはつまり、公爵家が宿泊する客人用に用意している部屋と同じような部屋ということであり、一般市民と言っていい香織にとっては、気圧されるような豪華さだった。
(ベッドも大きいし、単純に部屋も広くて……こ、これはこれでちょっと、広すぎて落ち着かないというか……私お風呂上がった直後は寝れないタイプだから、少し時間を置いてから寝るつもりだけど……なにしようかな? と、とりあえず、快人くんがお風呂上がったらまた快人くんの部屋に行こうかな? お風呂から上がったら返事がもらえるようにハミングバードを送っておいてと……)
まだしばし起きておくつもりではあるが、それはそれとして落ち着かないので快人と雑談でもできればと思い、入浴が終わったら連絡を貰えるようにハミングバードを送っておいた。
これで快人が風呂から上がった後で返信をくれたら、快人の部屋を訪ねて雑談をすればいいと、そんな風に考えつつ部屋に備え付けられていた椅子に座って香織はホッと息を吐く。
(……男の子の入浴時間ってどのぐらいなんだろ? 女性よりは短いって聞くけど、45分ぐらいかな? まぁ、少しのんびりしてよう。今日は楽しかったけど、オリビア様の話とか驚くことも多かったし、映画も三本見たし、そこそこ疲れはある気がするなぁ……実際に寝る準備してベッドに入ったら、スッと寝ちゃいそうな気はするね)
ある程度の疲労感はあるが、同時にどこか心地よさも感じているのは今日という一日が充実していて楽しかったからだろう。
朝起きた時点ではまさかこんな風に休日を過ごすとは予想していなかったが、思いのほか快人と過ごす一日は楽しかった。
(まぁ、流石に快人くんがお風呂から出るころには結構遅い時間だろうし、長話はできないけど快人くんの部屋で……部屋で……ふむ……)
そこまで考えたところで香織の思考がピタッと止まる。そのまま少し停止した後で、思考は再び巡り始める。先程とはまた違った形で……。
(……あれ? そこそこ意識してる男の子の家に宿泊して、それなりに遅い時間かつ風呂上がりに部屋を訪ねて、しかもちょっとお酒も入ってる? なんか、完全に寝起きのコーヒー飲む感じの流れでは? い、いや、快人くんに限ってそういう展開にはならないだろうけど、それはそれとして、私とんでもないことしてない?)
現在の時刻を考えて、快人が風呂から上がってから訪ねるとなると夜10時は回りそうな見込みだった。もっとも、香織の予想より快人は早く風呂から上がるので、もう少し早くなるのだが……誤差の範囲である。
勢いのまま行動してしまったことに若干の不安を覚えつつも、もう既にハミングバードは送っているためどうこうすることもなく、香織は快人が風呂から上がるのを静かに待った。
シリアス先輩「なっ、ば、馬鹿な!? 混浴キャンセルからの同衾フラグ……だと……そ、そんな無法行為が許されるわけ……い、いや、そもそもどうやって同衾に持って行く? 快人と香織の性格上その流れにはならないだろ……か、考え過ぎか? い、いや、しかし……」




