香織と映画鑑賞⑮
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唐突な展開に混乱していた香織だが、そこは持ち前の切り替えの早さで思考を立て直した。
(お、落ち着け……私はたくさんの恋愛作品を見てきた女。経験は皆無でも知識はある……このパターンはアレだ! 相手の方には全然他意はなくて、慌てて反応すると早とちりして恥をかいちゃうパターンと見た! さっき快人くんは、ハミングバードの返信を見て考えるような表情になって、泊って行くかって聞いて来たから……)
今までに見た恋愛系作品の知識から似たような展開を思い浮かべ、また快人の性格からして他意は無いだろうと判断した香織は軽く首をかしげながら尋ねる。
「泊っていくってのは、私が快人くんの家にってことだよね?」
「ええ、いまイルネスさんから、香織さんが止まっていくようなら客室を用意するがどうするかって来たので……」
「あ~なるほど……」
快人の話を聞いて、夕食の用意を頼んだ際にイルネスから客間の用意が必要かどうかの問い合わせが来たらしく、それで香織に尋ねたという流れだった。
(まぁ、強いて突っ込むなら話す順番もうちょっと考えようね!? いや、快人くんにまったく他意が無いのは分かってるんだけど……いや、でもそれはそれでちょっと微妙に納得できない気分も……普通、男の子が年頃の異性に宿泊を提案する時ってワンチャンとかそういうのを考えるんじゃないかな? いや、快人くんがそういうタイプじゃないのは分かってるけど、身勝手だって自覚はあるけどちょっとは女として見て欲しいって気持ちもあるわけで……)
そもそも客間を用意するという話であり、快人の部屋に泊まるというわけではないのだが、それはそれとして一切他意が無いという雰囲気なのは、安心しつつも若干釈然としない部分もあるというのが複雑な乙女心だった。
(……言わないけど、ワンチャンあるからね。快人くんが本気で押せ押せできたら、私はたぶん流されちゃうんだろうな~ってぐらいには好感度高いからね。いや、本当に勝手なこと考えてるのは重々承知だけど、心の中でくらいちょっと文句を言わせてほしい……って、そうじゃなくて、まずは泊まるかどうかを考えないと……)
思考が妙な方向に向かっているのを自覚した香織は、とりあえず恋愛関連に強く反応している乙女心をいったん引っ込めて本題に思考を戻す。
「お店とかがあって、難しいなら無理にとは言いませんが……」
「ああいや、仕込みは終わってるし、私の店はお昼からの営業だからその辺はまったく大丈夫だよ」
定食屋としての準備は既に終わってマジックボックスに料理類は入っているので、泊ること自体に問題はない。
(着替えとかは一度転移魔法具で取りに戻れば問題ない。泊りと考えると、後二本ぐらい映画が見られそうなのはいいし、あとなにより凄く魅力的というか……期待が高まることがあるんだよねぇ)
少し考えた後で、香織は真剣な表情に変わって快人に問いかける。
「……快人くん、聞きたいんだけど……快人くんの家のお風呂って……大きい?」
「滅茶苦茶広いですね」
「じゃ、じゃあ、泊らせてもらってもいいかな……正直、大きいお風呂……入りたかったんだよね」
「あ~風呂も魔法具ですから高いですしね」
「そうなんだよ。私も日本人として、お風呂は欠かせないから頑張って買ったんだけど……あんまり大きいやつじゃなくて、足を伸ばしきったりとかはできないんだよね。新しいのを買うにしても、そうなると家のスペースの問題とかもあるし、お風呂のためだけにリフォームとかするのもなぁって……だから、大きなお風呂に入りたいって思ってたんだよね。ほら、この世界って温泉とかもあんまりないから……いや、温泉もあるんだけど、遠いというか辺境みたいなところばっかりで、行くのも大変だからね」
「ああ、そういえば温泉って結構マイナーだって聞きましたね」
以前に入浴剤を作る際に、クロムエイナが温泉はマイナーであると口にしていた通り、温泉は比較的マイナーであり香織が住んでいる友好都市からは遠い場所ばかりであり、広い風呂に入る機会というのは中々なかった。
「大衆浴場とかも、あんまり無い感じですかね?」
「割とシャワーだけでいいって人が多いし、お風呂に入りたいって人も私が店作った当初に買えたみたいに、魔法具とはいえちょっと背伸びすれば庶民でも風呂は買えるから、大衆浴場はあんまり需要は無いのかも? 大きなお風呂に入るのは貴族の文化みたいな感覚の人も結構いるしね」
「まぁ、日本人は極度に風呂好きって言いますからね。こっちの世界の人とは感覚の違いもあるんでしょう」
「そうなんだよね~まぁ、そんなわけで……大きいお風呂に入りたいから、快人くんさえよければ泊まらせてもらえたらなぁ~」
「ええ、大丈夫ですよ。じゃあ、イルネスさんに客間を用意してもらえるように伝えときますね」
「ありがとう!」
かくして香織が快人の家に一泊することが決まり、ひとまず時間の制限も緩和されたので、連絡を終えた後で快人と香織はもう一本映画を見ようかという話になって、次に見る映画を選び始めた。
シリアス先輩「ヒロイン力が高い……糖度も……はっ!? こ、これは……手が膨らんで……」
マキナ「……弾けるまでもうちょっとかな?」
シリアス先輩「ポップコーンになるって、弾けるところからやるの!? グロくない!? 私グロい感じになっちゃわない? うちR15だよ! 体がパーンは不味いって!!」




