香織と映画鑑賞③
香織さんと一緒に見ていた恋愛映画が終わり、エンディングが流れる。恋愛映画ってあまり見る機会が無かったというか、選択肢にあっても中々選ぶ機会のないジャンルだったが……思った以上に面白かった。
想像していたよりもコテコテのすれ違いみたいなのは無く、テンポよくストーリーが展開していって徐々に主人公とヒロインの絆が深まっていくような感じだった。
悲劇的にして感動させてやろうみたいな作り手の思惑が透けてる感じもなく、普通にハッピーエンドで綺麗に纏まっていて見終わった後の気分もいい。
「……ん~面白かった! 久しぶりの映画は最高だね」
「話題になるだけあってかなり面白かったですね。俺あんまり恋愛映画は見たことなかったんですが、かなり引き込まれる感じで、よかったです」
「まぁ、たしかに男性よりは女性が好むジャンルではあるね。でも、快人くんもの楽しんでくれてよかったよ……いや、なんか映画選びでは私の希望を押し通すような形になっちゃったし……」
そういって苦笑する香織さんだが、別に恋愛映画をゴリ押ししたりしたわけではなく、むしろ俺を気遣って「アクション映画とかの方がいいかな?」とか、事前にジャンルは確認してくれた。
ただ、明らかに話題に上がった恋愛映画を見たそうな感じだったので、俺の方がそれを見ることを提案した感じである。
「むしろ、俺ひとりだとなかなか選ばないでしょうし、今回香織さんと一緒に見たおかげで面白い作品を知れて得した気分ですよ。思った以上にストーリーも爽やかな感じで、あんまりドロドロしてたりお涙頂戴だったりしなかったのもよかったですね」
「そういう作品も多いけどね。なんか、中盤ぐらいでヒロインにいきなり病気が判明して、あっ、これ死に別れるやつだって察しちゃうコテコテのやつとかもあるよ。そういうのはそういうので、ある意味では王道って感じで楽しいんだけど……私個人としてはハッピーエンドの作品が好きだね。なんかメリーバッドエンドとかは、確かに感動したりするんだけど、見終わった後結構気持ちが重くなるから……」
「あ~悲しい結末とかビターな結末も記憶にはしっかり残りますし、もちろん物凄く面白くてまた見たいって思う作品もありますけど……俺もハッピーエンドの方が、見終わった後の気分がいいので好きですね」
「うんうん。そういう意味でも、今回の作品は本当によかったね。私なんてヒロインと年齢が近いから、結構共感しちゃう場面が多くて、最後の方はウルッと来ちゃったよ」
見終わった映画の感想を言い合うのも、一緒に映画鑑賞をした際の醍醐味……の、筈だ。小学校の頃に両親と見に行って以降、誰かと一緒に映画を見に行ったりって無かったが、いまこうして香織さんとの会話が盛り上がってるわけだから間違いは無い筈だ。
「そういえば、俺と香織さんぐらいの年齢差のカップルでしたね」
「あっ、そっか、快人くんも大学生だっけ?」
「まぁ、もう中退したので元ですが……」
「私大学行ったことないから、よく分からないんだけど……映画の中の大学描写って、結構合ってる感じなのかな?」
「う~ん、大学によって違いはあると思います。例えば俺が行ってた大学は、教科書や文房具を売ってる売店はあったんですけど、映画で出てたみたいな飲食物を売ってる売店は無かったですね。その代わりに大学のすぐ近くにコンビニがあったので、飲み物や食べ物はそっちで買ってましたね」
「あ~なるほど、確かに近くにコンビニあるならそっちでいいよね」
「ええ、それに大学によっては、キャンパス内にコンビニがあるとこもあるみたいですよ」
「へ~でも確かに、結構安定した売り上げが見込めそうだし、コンビニ側としてもいいのかも……従業員とかの問題はありそうだけど……」
まだ買ってきた菓子なども残っているので、お茶を飲みながら香織さんと他愛のない雑談をする。面白い映画を見た後でテンションが上がっているからか、いつも以上に会話が楽しく弾んでいる気がした。
「……でも、映画は凄く面白いけど、一本見ると結構時間が経っちゃうのは難点だね」
「いまのも一時間半ぐらいはありましたしね」
「お昼時だけど、快人くんお腹空いてる? なにか作るよ」
「あ~じゃあ、せっかくですし……お菓子も食べたので、そこまで空いてないので軽くで大丈夫ですよ」
「任せて、じゃあサンドイッチでも作るよ」
「あっ、手伝いますよ?」
「おっと、ここはプロに任せておいてもらおうかな。手間かかる料理でもないから、気にせずのんびり待っててよ」
そういって優しく微笑んだ後で、香織さんは厨房に入ってエプロンを身に付ける。なんだか香織さんはいつもより上機嫌な感じで、楽し気に料理をしていた。
シリアス先輩「……昼……そ、そうか、快人が香織の店を訪ねたのが10時ぐらいで、オリビアのところに行って戻ってきて映画を見てもまだ昼過ぎぐらいか……てことは……まだ終わりじゃ……ない?」




