表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者召喚に巻き込まれたけど、異世界は平和でした  作者: 灯台


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2447/2483

依頼の品⑤



 友好都市ヒカリにある定食屋水蓮の二階……朝起きて軽くシャワーを浴びた香織は、脱衣所で体を拭きながら、ふと大きめの鏡に目をやった。

 最近は金銭に余裕があることもあって、高品質の姿見を購入して置いていたのだが、そこに映った自分の姿を見て、考えるような表情を浮かべた。


(……う~ん……私の肌、綺麗だよね? いや、前々から感じてたけど、なんかどんどん肌が綺麗になってるような……)


 風呂上がりであるという状態を考慮したとしても、姿見に映る自身の肌は綺麗であり、少なくとも以前の己と比較すると明らかに違うと感じられた。


(気になってた目元の小皺もいつの間にか消えてるし、瑞々しいって言うかハリがあるよね? 新しくした化粧水とか乳液が肌に合った? いや、スキンケア云々を頑張って得られる感じの綺麗さじゃないんだよね。そういうのとはまた別のベクトルというか、若さでしか成立しないような肌艶……しかも、全身そうだよね? しっかりスキンケアしてる顔だけじゃなくて、水使う作業が多くて荒れ気味だった手も……綺麗だよね?)


 定食屋をひとりで経営している香織は、当然ながら料理や洗い物で水を使う仕事が多く、ある程度得意の水魔法で簡略化できるとは言え、手荒れなどは気になる部分ではあった。

 だが、いまの香織の手は手荒れのひとつもなく綺麗であり、一見すると水仕事が多いとはとても思えない感じだった。


(いや、肌が綺麗になるのはもちろん嬉しいんだけど……これ、明らかに私の努力がどうこうって感じのやつじゃないと思うんだよなぁ。スキンケアとか、食生活とか、そういうのじゃなくてももっと超常的なナニカが関与してるような……あれ? 待てよ。なんか、大事なこと忘れてる気が……えっと……)


 己の体の異変を見て、香織はなにか重大なことを忘れているような気がして額に指を当てて考える。


――貴女に関しては日頃世話になっている礼も兼ねて、神族の祝福に近いものを与えてありますので


 そして、天啓の如く頭に浮かんできたのは、以前快人とオリビアと三人でデートを行った際に、念話で話しかけてきたオリビアが口にしていた言葉。


(あ、あぁぁぁぁ!? お、思い出した! そうだよ、あの時なんかオリビア様が変なこと言ってた! それで、後で詳しい話を聞こうって思ってたのに、あの後のデートとかがいろいろ衝撃的でそっちに意識全部持って行かれて、すっかり忘れてた!?)


 そう、まるでオリビアが己に祝福を行ったと取れるような発言をしており、それが気になった香織は後で詳しい話を確認しようと考えていた。

 しかし、そのあとでいろいろ振り回され、恋人のような行動を取ったり、最後には流れとは言え快人とハグをしたりと、いろいろなことがあったため完全にそのことは忘却の彼方だった。


(これ、アレだよね? 絶対それが影響してるよね。お、オリビア様にちゃんと確認しないと……でもどうやって? 店に来てる時に聞くのは避けたいな。だって他にお客さんいるし、ただでさえ変に注目されてるのに、これでオリビア様に祝福みたいなのを貰ってるのが確定したら……う、うん、店で聞くのは駄目だ)


 オリビアは定期的に香織の店に食事に来るので会うこと自体は簡単なのだが、内容が内容だけに他の客に聞かれる可能性がある場面で尋ねるのは避けたかった。


(となると、一番いいのはオリビア様のところを訪ねて話をすることだよね。今日はお店は定休日だし、時間的な余裕はある。オリビア様は確実に中央大聖堂に居るだろうし、たぶん会いに行けば……会ってくれるとは思うんだけど……)


 オリビアは教主という極めて高い立場の存在ではあるが、仮に訪ねたとしても時間を作って会ってくれるであろうと思える程度の信頼関係を築いている自負はあった。

 なので大聖堂を訪ねれば会うことはできる可能性が高いのだが……世界的に進行される神教の中心たる大聖堂は、極めて巨大で荘厳な建物である。


(……でもなぁ、大聖堂にいってオリビア様に取り次いでもらうのも尻込みするっていうか、ひとりじゃ不安というか……いっそ、快人くんとか付いてきてくれないかなぁ……そうしたら、安心して訪ねられるのに……)


 快人が一緒に来てくれるのであれば、オリビアが間違いなく喜ぶということもあり、香織としては安心して訪ねられるし、なにかあった時は快人が助けてくれるかもしれないという思いもある。

 そんなことを考えていると、唐突に快人からハミングバードが届いた。


「……快人くんから? なんだろう?」


 呟きながら内容を見てみると、用事があるので会えないかというものであり、いまの香織にとっては渡りに船と言える内容だった。

 快人の用件は分からないが、仮に今日は難しいとしても今度大聖堂に同行してもらうように約束を取り付けることは可能だし、香織としては断る理由は無かった。


(快人くんに時間があるようなら、大聖堂に付いてきてもらえるようにお願いしてみよう。まぁ、それはそれとして……肌が綺麗になったのは、正直嬉しいなぁ。わ、私、結構いい感じじゃないかな? いや、もちろん絶世の美女とかそんなレベルじゃないけど、そこそこ可愛いとか、割と綺麗とかってレベルぐらいなら行けるんじゃないかな?)


 祝福の詳細が分からない以上不安はあるものの、それはそれとして三十路を前にしてかなり気にしていた肌事情が明確に改善されているのは、素直に嬉しかった様で、香織はしばし鏡に映った自分の姿を見ながら嬉しそうな表情を浮かべていた。




シリアス先輩「こ、これは、どっちだ? 祝福関連の内容と松茸による胃痛展開なのか、一種のデート的な展開なのか……ど、どっちなんだ……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
シリアス先輩きた! デート回だな!
先輩、決まってるじゃないですか。 ど っ ち も
「神族の祝福に近いもの」…すみませんそれ言葉にしてないだけで基準が多分だけど(最高)神族の(本)祝福に近いものじゃないですか?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ