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勇者召喚に巻き込まれたけど、異世界は平和でした  作者: 灯台


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依頼の品③



 1万本という本数は凄まじく、異世界出身の知り合いにお裾分けしても大量に余ることは間違いないので、消費方法を考えないといけない。

 いちおうこの世界でも高級キノコなわけだし、知り合いにお裾分けをすればある程度は減りそうではある。まぁ、とりあえずランツァさんが持ってきてくれたスピアマッシュを受け取ると、ランツァさんはグッとサムズアップをして笑顔を浮かべた。


「今年の収穫期は終わりましたが、また言ってくだされば来年の収穫期にお持ちしますよ!」

「あ、ありがとうございます」


 ……い、いやぁ、ランツァさんの心遣いはとても嬉しいのだが、さすがに来年までに消費し切るのは不可能だろう。なにせ1万本だ。毎日10本消費しても半分も減らない計算なわけだし、どう考えても来年までに足りなくなることはない。なんなら数年どころか10年以上持ちそうである。


「あっ、そうだ。簡単ですけどお礼を用意したんですよ。ランツァさんは食事とかはせずに水を飲むだけと聞いたので、高品質の水を用意しました」

「それは、気を使わせたようで申し訳ないですが、水は好きなので嬉しいです! そのような気遣いをしていただいて、ちょうえつ……きょうれつ……きょう……えっと……ありがとうございます!!」


 なんか、ちょいちょい難しい言い回しをしようとして失敗している感じがある。たぶんいまは「恐悦至極でございます」とか、そんなことを言おうとしたんだと思う。

 ブロッサムさんに近い方かと思ったが、どちらかというとこの愛嬌がある感じはティルさんとかラズさんに近いのかもしれない。


「他にランツァさんの好みのものが分からなかったので、水だけになっちゃいましたが……」

「いえ、水で十分です。私は精霊ですので、食事は必要ではありませんからね」

「嗜好として楽しんだりもしないんでしたっけ?」

「……嗜好として楽しむ?」

「え? いや、だから、えっと……生きてくうえで必須では無いですが、味とかを娯楽として楽しむ感じで……」


 あれ? なんかいま、未知の言葉を聞いたというような表情を浮かべたぞ? 明らかに俺の言葉に驚いた様子のランツァさんは、そのまま少し沈黙してポツリと呟いた。


「……その発想は無かったです」


 もしかして、ランツァさんって結構……あ、いや、それは考えるだけでも失礼だ。そ、そう、ストイック! 必要なこと以外にあまり興味が無かったストイックなタイプなのだろう。


「なるほど、だからカミリア様は紅茶を飲んだりしていたのですね」

「あ~えっと……カミリアさんの部下になるまで、あんまり他の精霊とは交流が無かった感じですかね?」

「そうですね。精霊というか、槍枝樹の精霊以外と交流はほぼ無かったです! 我々槍枝樹の精霊は、我々の住処さえ心地よい環境に保たれていれば、外に関心はないという感じでしたからね。閉鎖的と言うべきでしょうか? なので、最近までリリウッド様の配下にも加わっておらず、外と関わるのも年一回のスピアマッシュの販売のみなので……年に一日しか外と関わらない感じでしたね」

「そうだったんですね。じゃあ、他の精霊がどうしてるとかは知らなくて当然ですね。けど、それならリリウッドさんの配下になったのは結構大きな変化ですね」


 槍枝樹の精霊は、有翼族に近いというか……それよりもさらに閉鎖的なのかもしれない。話を聞く限りほぼ外界と関わることは無く、己たちのテリトリーだけを守って生活しているような印象を受ける。


「そうですね。私がリリウッド様に挑戦しにいってカミリア様に敗北し、カミリア様の強さと優しさに憧れを持ちまして、すぐに住処に戻ってリリウッド様の配下になることを提案しました」

「……反対はされなかったんですか?」

「いえ、もの凄くされましたね。ですが、少数ですが賛同してくれた者も居ました。そして反対する者も頭ごなしに否定するのではなく、これまでの槍枝樹の森の歴史を考え、リリウッド様の配下になることによるメリットとデメリットを提示し、りろせ……りるせいぜ……えっと……」

「理路整然?」

「それです! 理路整然と反対意見を述べてきましたね」

「なるほど、それで話し合いを重ねて納得させたわけですね」


 サラッと語ってるがそれは結構凄いことだと思う。ランツァさんがどのぐらいの年齢か分からないが、基本的に古い精霊ほど強いと言われる精霊族で伯爵級の実力者なので、かなり古くから存在する精霊だろうし、長く凝り固まった伝統というか、いままで外と関わらなかった槍枝樹の精霊たちの考えを変えるのは、相当に大変なはずだ。

 きっとかなり白熱した議論を交わして……。


「いえ、話が難しくてよく分からなかったので、『反対派を全員ぶちのめして』賛成多数で可決しました! そして無事に、カミリア様に挑んだ翌日にリリウッド様の配下に加わりました!!」


 暴力で解決しちゃった!? しかも、提案した翌日には配下に加わったって……行動力の化け物か?


 むしろ、この人の適正は界王配下ではなく、戦王配下なのではないだろうか……。




槍枝樹の精霊A「界王様が精霊の王たる力を持っているのは認めるし、傘下に下ることにメリットが無いとは言わないが、大きな変化とは相応に負担のかかるものだ」

槍枝樹の精霊B「そもそも、現状で問題なく槍枝樹の森は機能している。無理に変化を起こす必要は無いだろう」

槍枝樹の精霊C「その通り、細かく良い点と悪い点を挙げていくと、それぞれ……」

槍枝樹の精霊D「条件次第ではないだろうか? いまの状態を維持した上で、名目上だけ配下というのであれば問題はないように思う」

ランツァ「……なるほど……皆の意見は分かった(分かってない)。ではこれより先、私の提案に反対の者は拳を握れ……力を持って意見を示すといい!!」

槍枝樹の精霊E「ちょっ、待て待て待て……」

槍枝樹の精霊F「止めろ! お前馬鹿だけど、迸るほど馬鹿だけど、ぶっちぎりで強いから大精霊として代表になってるわけで、お前に敵うやつは……」

槍枝樹の精霊G「だから、とりあえず賛成しとけって言ったんだよ……この馬鹿が議論とか出来るわけないんだって……」

槍枝樹の精霊H「まぁ、結局その馬鹿が一番強いんだから、方針は馬鹿が決めて、我々はサポートに回るのが最善の形だと思う」

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― 新着の感想 ―
産みの親(作者)が、シンプルに馬鹿というから、余計に馬鹿っぽく、ぽく?見えるようになった。
2話続けて読ませていただきました。 なるほど、そんな話があったなと思い出した次第です。しかし、1万本も持ってこられても香織さんも困るだろうな・・・。 初登場の時は「まあ、実力があるならそういう行動…
反対意見?全部潰せば満場一致で賛成になる! 有り得んほど迅速にことが進む脳筋ってすげー
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