星見酒⑥
ジークさんと丘に来て流星群を見始めて、だいたい1時間ちょっと経った辺りで夜空の流れ星の数が少なくなってきた。
どうも俺たちが来ていた時間が流星群のピークだったようで、ここから先は流れ星こそあるものの数はそこまで多くはないみたいだった。
それでも、俺が居た世界の流星群ぐらいの流れ星は流れるのだが……まぁ、さっきまでの凄い明るさで大量の流星群が流れる状態が一晩続いたりしても大変だし、このぐらいの方がいいのかもしれない。
「……そういえば、夜空の星に関して管理してるのはライフさんの部下なんですかね?」
「ええ、星の女神様……星神様が星々の法則を司っていると聞きますね。あとは、夜なので夜天神様も関係しているかと、どちらも上級神様で……スカイ様が統括している筈です。私も詳しくはしりませんが……」
なるほど、夜の空を司る神に星を司る神……その感じだと昼の空を司る神も居そうである。そして、そういった空に関連した神を統括するのが天空神であるスカイさんで、空も大地もひっくるめた大半の自然現象の統括がライフさんという感じなのだろう。
星神が祝福を行うと、星の祝福になるのかな? なんか響きがカッコいいというか、アメルさんとか凄いテンションを上げそうな気がする。
あれ? うん? なんか、頭に思い浮かぶ単語が……。
『極星神の祝福』
……あれ? なんでそんな単語が思い浮かんだのだろうか? 極ってどこから来た?
「……ジークさん、星の女神様って星神が正しい呼称なんですかね? 極星神とかではなく?」
「極星ですか? いえ、星の女神様は上級神の中では比較的知名度の高い神様ですが、極星という呼び名は聞いたことが無いですね」
「……そうですか……いや、なんか今唐突に極星神って言葉が頭に思い浮かんだので……」
「もしかすると、神族の間ではそう呼ばれていて、カイトさんはどこかでその呼び名を聞いたことがあるのかもしれませんね」
「ああ、なるほど、フェイトさんとかとの会話の中でサラッと聞いてたりって可能性はありますね」
もしくは、アメルさんと接することで眠っていた俺の中二スピリッツが目覚めてしまった可能性も……ま、まぁ、別に気にするようなことでもないか、いつか会う機会があれば聞いてみよう。
「……まぁ、それはそれとして、ジークさんこのままここで飲みます? それとも、一度家に戻って続きをしましょうか?」
「そうですね。ベルちゃんにずっと背もたれになってもらっているのも申し訳ないですし、そろそろ一度戻りましょうか……まだ果実酒の方は飲んでませんし、続きは帰ってからにしましょう」
「じゃあ、俺の部屋で飲みますか?」
「いいですね。私の目的とも合致……ああいえ、私の部屋よりはカイトさんの部屋の方が広くていいですね。カイトさんさえよければ、是非」
俺もジークさんも酒は割とゆっくり飲むタイプなので、まだワインもそこそこ残っているし、最初にジークさんが提案したリプル酒をまだ飲んでいないので、戻ってから飲みなおすという形で意見が一致した。
実際、まだ飲み足りないというか、もっとジークさんと一緒に飲みたいという気持ちが強いので、俺の部屋で飲みなおすのは大賛成である。
方向性が決まったことで、俺とジークさんは簡単に片付けなどをして、ベルに声をかけた。
その頃、遠い遠い……次元の壁をいくつも隔てた別の世界において、唐突にひとりの世界創造主がガタッと椅子から立ち上がった。
「いま、我の一番星が、我のことを呼んだ気がした!?」
『呆れを出力……《いや、間違いなく呼んでないと思うんだけど、というか面識ないでしょ?》……極星神はまだ快人様と会った事は無いと記憶している』
「い、いや、そうなんじゃが……いまこう、なんか、一番星と心が通じ合ったというか、そんな気がしたんじゃ……愛の共鳴的な?」
『重ねて呆れを出力……《誇大妄想はその辺にしておくべきだと思う。いろんなところから怒られるよ》……少なくともファンクラブは黙っていないだろう』
「ぐぬっ……う、う~ん、そうか、残念じゃ……一番星の要望であれば、我が順番を飛ばして会いに行けるかと……238番目か……我が一番星と会えるのはいつになるやら……」
たまたまその場にいたイレクトローネに呆れたように告げられ、幼子のように小柄な世界創造主……極星神はガックリと肩を落とした。
『仮に順番飛ばしが発生した場合、怒り狂う双極神との対面が待ち構えていると思うが……』
「……そっか、次はあのバケモノじゃったか……順番飛ばすにしても、我は双極神のあとでいい……いや、そもそも飛ばせないんじゃが……」
シリアス先輩「……な、七割で止まったか……だ、だが、サラッと部屋飲みに移行する感じの話に……よくない、本当によくない……」
マキナ「……『シリアス先輩の残りの部分はフルーツジャムになるように設定変更ビーム』……よしっ!」
シリアス先輩「なにジャムで味変しようとしてんだお前!?」




